絡まりやすいイヤホン&充電ケーブル、「結ぶ」「巻く」で保管してもよい? メーカーに聞く
有線イヤホンやスマホの充電ケーブルなどをバッグに入れて持ち歩く際に、ケーブルが絡まることがよくあり、頭を悩ませる人が多いようです。SNS上では、「イヤホンのケーブルがよく絡まる」「かばんの中でケーブルが絡まるのがネック」「なぜ絡まるのか」「何とかしたい」といった声が上がっています。
中には、絡まないように、ケーブルを結んだり巻いたりした状態で保管する人もいるようですが、問題はないのでしょうか。パソコンなどの周辺機器の開発や製造、販売を手掛ける、エレコム(大阪市中央区)コンダクションデバイス課の横山敦之さんに聞きました。
断線や発煙などの原因に
Q.有線イヤホンやスマホの充電ケーブルをバッグに入れて持ち歩く際に、絡まることがよくありますが、なぜでしょうか。考えられる理由について、教えてください。
横山さん「ケーブルが絡まる原因はさまざまですが、持ち歩く際の振動によってイヤホンや充電ケーブルがバッグの中で動き、その影響で絡まりが生じることが多いです。
イヤホンのドライバー部分(音を反響させるための部品)や端子部分は重量があるので、振動でバッグの底に移動します。その際、ケーブルとケーブルの隙間を縫うように移動したり、結び目に入り込んだりする場合があります。そうなった状態でバッグから取り出し、ドライバー部分や端子部分を持って引っ張ってしまうと、ねじれたり絡まったりします」
Q.ケーブルが絡まないように、結んだり、巻いたりした状態で持ち歩く人もいるようです。問題はないのでしょうか。
横山さん「結び方や巻き方にもよります。結んだり巻いたりする場合は、できる限り緩く大きな円をイメージしてまとめると良いと思います。固結びのように強い力でケーブルを結んだり、巻いたりするのは良好な保管方法とは言えないので、控えてください。
強い力でケーブルを結んだり巻いたりすると、内部の銅線や被覆に強い力が加わるので、銅線の破断や被覆の破れにつながる恐れがあり、注意が必要です。また、見た目は問題がないように見えても、内部の銅線の一部が破断することによって電気が流れにくくなり、データの伝送速度や充電速度の低下、音質の劣化、ノイズが増えるなどの問題につながる場合があります。
結んだり、巻いたりした状態で長期保管した場合、ケーブルに癖がついて使いにくくなります」
Q.では、日頃から有線イヤホンや充電ケーブルを不適切な方法で結んだり、巻いたりした場合、どうなるのでしょうか。また、製品が断線した後も使い続けた場合、事故につながる可能性はあるのでしょうか。
横山さん「有線イヤホンや充電ケーブルが断線する可能性が高まると考えられます。ケーブルが完全に断線した場合、データ通信や充電ができなくなります。この場合、使えなくなるという問題はありますが、事故が発生する可能性は低いです。
問題は、見た目では分からない内部の部分断線で、例えば、ケーブルを動かすと、使えたり使えなくなったりする『接触不良』のようなケースです。こういう状態のケーブルを充電などに使うと、発熱や発煙、発火の原因となります。接触不良が起きた場合は、すぐにケーブルの利用を中止し、新しいケーブルに交換をしていただきたいと思います。
イヤホンの場合は、ケーブルに流れる電力が小さいので、発熱などの問題が起きる可能性は低いですが、音質の劣化やノイズの発生につながることが考えられます」
Q.有線イヤホンや充電ケーブルが絡まないようにするには、どのような状態で保管すればよいのでしょうか。
横山さん「有線イヤホンや充電ケーブルを絡ませないようにするには、ケーブルを巻くことができる『ホルダー』や『クリップ』といったアクセサリーの利用をお勧めします。ケーブルを円状にまとめた状態で厚みのない収納ケースに入れれば、絡まりにくくなります。
先述の通り、イヤホンのドライバー部分や端子部分が動き回ると絡まりの原因となるので、円状にまとめたケーブルにコネクタ類を固定するのも一つの方法です。長いケーブルの場合は、逆走巻きや8の字巻きをすることで、絡まりを防止することができます」