「剥脱性口唇炎」になると現れる症状はご存知ですか？原因・治療法も解説！
剥脱性口唇炎は、聞きなれない名前ですが乾燥が原因で起こるなど身近な症状の病気です。特に舌なめずり皮膚炎（口舐め病）を起こしやすい子どもにみられ、原因によっても治療法は異なります。自然治癒する場合もありますが、強い症状が出る場合や長引く場合は医療機関を受診しましょう。
今回はそんな剥脱性口唇炎についての概要や、原因、治療法などを解説します。
剥脱性口唇炎とは
剥脱性口唇炎とはどのような疾患でしょうか？
剥脱性口唇炎の症状は、くちびるの乾燥や、それに伴いくちびるに亀裂などを生じる湿疹性変化がみられます。口唇炎の症状のひとつで、明らかな原因がわからないことも多いといわれる病気です。ひとつの原因として、口唇表皮細胞のターンオーバーが急速に進むと起こることで知られています。中には皮膚疾患が先行したりすることがあるため、違和感を感じた場合は注意が必要です。舌なめずり皮膚炎で起こる口唇炎も剥脱性口唇炎に含まれます。
剥脱性口唇炎の症状
剥脱性口唇炎の症状にはどのような特徴がありますか？
主な症状の特徴は、くちびるの乾燥です。カサカサ程度で日常生活に支障がなければ気になりませんが、くちびるに亀裂がはいって痛みを感じることや、かさぶたができて剥がれ落ちてしまうなど、悪化するケースもあります。特に舌なめずり皮膚炎の場合はくり返し舐めてしまうためなかなか治らないのが特徴です。剥脱性口唇炎は普通の口唇炎と症状に違いがありますか？
口唇炎はくちびるに炎症や亀裂、皮めくれが起きる病気の総称のことです。今回の「剥脱性口唇炎」以外にも「アトピー性口唇炎」「接触性口唇炎」「肉芽腫性口唇炎」など様々な病気をまとめて口唇炎とよびます。症状はどれも似通っているので、これらを分類するのには症状だけではわかりにくいでしょう。口唇炎から分類するためには、原因による違いで分けられます。そのため、症状に違いがあるのではなく、口唇炎の中の原因別の症状の分類として剥脱性口唇炎がある、ということになります。
舌なめずり皮膚炎の症状
舌なめずり皮膚炎も剥脱性口唇炎に含まれるということですが、どのような症状がありますか？
舌なめずり皮膚炎の症状は、正常な部分と病変した部分の境がくっきりわかります。それは、自身の舌で患部を舐めることにより症状がでるので、舌が届く部分とそうでない部分で差がわかりやすくなるからです。病変部は紅斑がみられるので、目で見ても症状はわかります。皮膚の乾燥、亀裂、また角質の剥離もみられます。剥脱性口唇炎の原因
剥脱性口唇炎の原因にはどのようなものがありますか？
剥脱性口唇炎の原因は一般的にはっきりとした接触源がわからないものをいいますが、中には原因がわかるものもあります。乾燥が原因で起こるものや、他の病気が要因で引き起こされるものに大きく分かれます。乾燥が原因で起こる剥脱性口唇炎
剥脱性口唇炎の原因がわかるものとはどのようなものでしょうか？
くちびるを乾燥させる環境因子が原因になる場合があります。それは、低湿度や紫外線など、外気によるものです。また、くちびるを乾燥させる原因として口呼吸もあげられます。普段は鼻呼吸している人でも、風邪をひいて鼻が詰まると無意識で口呼吸になるので、そういった場合は注意が必要です。常に口呼吸を行っている人は特にくちびるが乾きやすい状態になるため、意識して鼻呼吸をするようにしていくことが大切です。
身体が脱水症を起こすことでもくちびるは乾きやすくなります。シェーグレン症候群などの唾液腺疾患の場合も口の乾燥が症状として現れるため剥脱性口唇炎の要因となりえるでしょう。
病気が原因で起こる剥脱性口唇炎
乾燥以外でも剥脱性口唇炎を引き起こす原因はあるのでしょうか？
糖尿病、甲状腺機能低下症、貧血などの場合は、治療で使用する薬剤の影響で剥脱性口唇炎を引き起こす場合があります。治療に使用する薬剤により、唾液分泌抑制が起こるからです。口が乾くことで、くちびるも乾燥する原因になりうるのです。アトピー性疾患が原因で起こる剥脱性口唇炎
体質的なものでも剥脱性口唇炎を引き起こす原因はあるのでしょうか？
体質的なものではアトピー性疾患によるものがあげられます。アトピー性疾患を持っていると、皮膚がアレルギー反応を引き起こすので、くちびるに症状が出やすくなるのです。これは、遺伝的な理由や栄養が原因に関係しているのではといわれています。舌なめずり皮膚炎が原因で起こる剥脱性口唇炎
症状でも出てきましたが、舌なめずり皮膚炎が原因で起こるものとはどのようなものでしょうか？
原因が「舌なめずり皮膚炎」によるものは、口の周りの舌が届く範囲に起こります。乾燥が気になると皮膚やくちびるを湿らせようと、舌で舐めることが直接的な原因になっているからです。ほとんどの場合は違いますが、一部では心因的背景が原因で舌なめずり皮膚炎を起こしているといわれています。剥脱性口唇炎の受診科目
症状から剥脱性口唇炎が疑われる場合、何科を受診したらいいでしょうか？
日常生活に支障をきたすような傷みや炎症がみられたら皮膚科、口腔内科を受診しましょう。軽度の場合も気になれば早めの受診で対処していくことをおすすめします。剥脱性口唇炎の検査
剥脱性口唇炎ではどのような検査を行いますか？
医療機関を受診すると、まずアトピーなどの原因がないか、問診を行います。問診によって原因がわかれば、その原因別で治療を行ないます。また、症状の出方によって程度を判断します。剥脱性口唇炎の治療
剥脱性口唇炎の治療には、どのようなものがありますか？
口唇炎は、ほどんどが自然治癒するため経過観察のみ行うこともあります。症状が重い、または長引いている場合は先ほど出た原因によって治療が変わります。原因不明の場合
原因不明のものが多いようですが、その場合どのような治療をする必要がありますか？
どの原因の場合でも、程度の浅いものは経過観察することが多いでしょう。その場合は乾燥を防止するため、保湿剤を塗る程度で自然治癒を促していきます。補中益気湯などの漢方薬が奏功した例もあります。
問診をしていく中でアトピー性が疑われたり、痒みが強く出ていたりする場合は内服薬を使用することもあります。症状が強く出ていたり、日常生活に支障をきたしたりする場合はステロイドの外用薬を使用していきます。症状が激しい、もしくはなかなか治らないときには、ステロイドの経口投与を考えなければなりません。
心因的原因がある場合
では、心因的原因がある場合の治療はどのようなものでしょうか？
一般的な口唇炎と症状は同じですが、原因が心因的の場合アプローチの方法が変わってきます。症状に対しての治療は先ほどと同じようにステロイドの外用薬を使用するなどですが、それと同時に心理的原因を改善する必要があります。そのため、カウンセリングや精神薬を使用して様子をみていきます。心因的原因が大きい場合、心の問題をケアすることで症状が軽くなる場合もあるのです。
剥脱性口唇炎の性差・年齢差
剥脱性口唇炎の発症に性差や年齢差はありますか？
皮膚疾患を持っている人がなりやすい場合があります。原因が舌なめずり皮膚炎のものは特に子どもに生じやすいです。編集部まとめ
剥脱性口唇炎は意外と身近に感じやすい病気です。くちびるの乾燥といった誰にでもなりうることから重度の痛みにつながる場合もあるので、少しでも気になったら早めに医療機関を受診することをおすすめします。
子どもの舌なめずり皮膚炎は本人が止めないと治らない病気のため、薬でケアをするのはもちろん、日常生活で舐めないように注意しましょう。
参考文献
口唇炎【東豊ひふ科】
口唇炎【歯科口腔外科塾】
心因的背景による剥脱性口唇炎の2例
漢方薬による剥脱性口唇炎の治療【ひぐち歯科クリニック】
なめまわし皮膚炎【埼玉県皮膚科医会】
