新潟2歳Sは過去データが示す2つの激走パターンから浮上する3頭に要注意
注目の2歳重賞、GIII新潟2歳S(新潟・芝1600m)が8月28日に行なわれる。
過去の傾向を見てみると、比較的堅いレースと言っていいだろう。実際、ここ10年の勝ち馬はすべて3番人気以内。1番人気も4勝、2着3回と安定した成績を残しており、直近2年は上位人気3頭がワンツースリーフィニッシュを決めている。
そして今年も、出走頭数が11頭と決して多くはない。その分、波乱が起こる確率は低いと見られる。
とはいえ、過去には伏兵馬が馬券圏内(3着以内)に突っ込んできたシーンが何度もある。3連単では好配当がしばしば生まれており、2012年には47万1970円、2015年には26万1060円といった高額配当も飛び出している。
ならば、穴馬の台頭を期待して、少しでもオイシイ配当を狙ってみるのも悪くはないだろう。そこで、過去の10年の結果を参考にして、今回のレースで激走を果たしそうな存在を探し出してみたい。
まず注目したいのは、前走のレース(地方競馬は除く。以下同)で後続に3馬身以上の差をつけて勝ってきた馬である。人気、人気薄にかかわらず、そういった馬の好走が目立っているからだ。
たとえば、2014年に6番人気で3着に入ったニシノラッシュ(前走の新馬戦で4馬身差)、2017年に5番人気で2着と好走したコーディエライト(前走の未勝利戦で6馬身差)、2019年に1番人気で勝ったウーマンズハート(前走の新馬戦で3馬身半差)、2020年に2番人気で勝利したショックアクション(前走の未勝利戦で4馬身差)、同3番人気で3着に入線したフラーズダルム(前走の新馬戦で4馬身差)、2021年に2番人気で3着となったオタルエバー(前走の新馬戦で4馬身差)らがそうだ。
3馬身差と言えば「圧勝」の部類。つまり、それだけ地力が高い証拠であり、重賞でも好走できることを、その結果が示しているのかもしれない。
そうなると、舞台やメンバーレベルはどうであれ、今年も前走で3馬身以上の差をつけて勝利を飾った馬には注意を払いたい。
このタイプで当てはまるのは、グラニット(牡2歳)である。
新潟2歳Sでの一発が期待されるグラニット
同馬はデビュー戦となった6月の2歳新馬(6月19日/東京・芝1600m)で3着となったあと、前走の2歳未勝利(7月3日/福島・芝1800m)で3馬身差の逃げきり勝ちを収めている。
未勝利戦の前走については「メンバーがラクだった」と見る向きもあるが、過去例からして、3馬身差以上で勝った事実は無視できない。一発の可能性は大いにあるのではないか。
次に着目したいのは、前走の上がりタイムである。というのも、過去10年で馬券に絡んだ30頭を見ると、すべての馬が前走でメンバー最速か、2位あるいは2位タイの上がりをマークしていたからだ。ちなみに、30頭中18頭は、前走でメンバー最速の上がりを記録していた。
その点を考慮すると、新潟2歳Sにおいてはとにかく、最後の脚がしっかりしていることが重要視される。ということで、今年も前走でメンバー最速の上がりマークした馬は積極的に狙っていくべきだろう。
出走メンバーの成績を調べてみると、該当する馬は5頭いた。アイスグリーン(牡2歳)、ウインオーディン(牡2歳)、キタウイング(牝2歳)、チカポコ(牝2歳)、ロードディフィート(牡2歳)である。
そのうち、穴馬候補を選出するとなると、キタウイングとチカポコか。
キタウイングは、デビュー戦となる2歳新馬(7月2日/福島・芝1200m)では4着に敗れるも、距離を延ばした前走の2歳未勝利(8月21日/新潟・芝1600m)では人気のバロックダンスとマッチレースを展開。ゴール直前でハナ差、前に出た。
メンバー最速となる上がりタイムは33秒4。出走馬唯一の33秒台をマークして、土壇場でバロックダンスをかわす粘り腰が光っていた。
チカポコは、前走で初陣となる2歳新馬(7月3日/福島・芝1200m)を快勝。道中4、5番手を進み、最後の直線で前を行く馬たちの間を割って差しきり勝ちを決めた。
上がりタイムは35秒0。目立った時計ではないものの、メンバー最速の末脚を披露してきっちりと勝ちきった点は評価すべきだろう。
いずれも牝馬で前評判は低いが、切れ味を秘めた牝馬が過去には何度も馬券に絡んでいる。「夏は牝馬」という格言からも軽視は禁物だ。
新潟2歳Sで好走し、のちにGIを制した馬が過去には何頭もいる。今年も名馬の誕生があるのか楽しみにしつつ、ここに挙げた面々の躍動によってオイシイ馬券がゲットできることも期待したいところだ。