400万馬券再び!? 荒れる北九州記念は、「中休み」による高速馬場を先行して押し切る穴馬2頭を狙え
サマースプリントシリーズの第4戦、GIII北九州記念(小倉・芝1200m)が8月21日に行なわれる。
同シリーズ第2戦のGIII CBC賞(7月3日/小倉・芝1200m)と同じ舞台での開催ということもあってか、上位3頭を含めて同レースの出走馬が計7頭も参戦する。
このふたつの重賞は昨年も同じコースで行なわれ、北九州記念の1、2着馬はCBC賞からの転戦組だった。おかげで、今年も同様の臨戦過程を踏む馬たちが中心視されるが、今回はGI桜花賞(4月10日/阪神・芝1600m)3着馬で、前走のGIII函館スプリントS(6月12日/函館・芝1200m)を圧勝したナムラクレア(牝3歳)も参戦。上位混戦でハイレベルな戦いが予想される。
しかしながら、上位人気馬同士で決着するかというと、そうとは言いきれない。なにしろ、このレースはハンデ戦らしく波乱の連続だからである。1番人気は2008年の勝利を最後に13連敗中。過去10年の成績を見ても、2着が3回あるだけだ。
翻(ひるがえ)って、6番人気以下の伏兵が過去10年で7勝。2着、3着にも人気薄の台頭が頻繁に見られ、3連単の配当はすべて万馬券。2014年の395万3810円を最高に、2017年の107万8270円、2012年の99万7220円と、高額配当も頻繁に飛び出している。
となれば、今年もひと筋縄とはいかないだろう。そんななか、デイリースポーツの大西修平記者は"ある傾向"について、頭に入れておく必要があるという。
「今年と同様、直近2年の夏の小倉開催では、暑熱対策のために"中休み"があったこと。それによって、それ以前とではレースの傾向が大きく異なっているのです。
過去10年を振り返ってみても、2012年から2019年までは差し馬の活躍が目立っていて、逃げ馬が馬券に絡んだことは一度もありませんでした。それが、ここ2年は逃げたモズスーパーフレアが連続して馬券圏内(3着以内)に入線(2020年=2着、2021年=3着)。同馬が強い馬であることは大前提としてあるのですが、3年前のレースでは4着に敗れています。
また、昨年の1、2着馬はともに4コーナーで好位3番手にいたヨカヨカとファストフォース。やや重の馬場で前半3ハロンが33秒2と、決してペースが遅かったわけではありません。
こうした結果を見てもわかるように、連続開催だった2019年以前より、"中休み"が入ってからの小倉開催は後半戦も馬場状態がいいのは確か。馬券検討においては、今年もそうした傾向を考慮したほうがいいでしょう。
実際、先週の2歳オープン・フェニックス賞(小倉・芝1200m)では、1分7秒7という過去10年で最も速いタイムで決着。今の小倉の馬場がいいのは明らかで、穴馬候補としては、先行馬で高速決着に対応できそうな馬を探すのがポイントとなるでしょう」
そこで、大西記者はCBC賞組以外の馬に目をつけた。前走のGIIIアイビスサマーダッシュ(7月31日/新潟・芝1000m)で2着となったシンシティ(牝5歳)だ。
北九州記念での一発が期待されるシンシティ
「シンシティは、前走のアイビスSDでもハナを切ったほどのスピードの持ち主。千直競馬で外枠がプラスに働いたことは間違いありませんが、2着に粘ったのは今の充実ぶりを示したものでしょう。さらに、およそ2カ月ぶりの実戦を使ったことで、馬の雰囲気は前走と同じか、それ以上のものを感じます」
ただ、シンシティはもともとダートの短距離戦を主戦場としてきた馬で、芝に転じて好走したここ2戦はともに千直競馬。はたして、初の芝1200m戦にも対応できるのだろうか。
「確かに、芝1200m戦が未経験なことに加え、ダートのイメージが強いサウスヴィグラス産駒ということで、ここでは評価を落としそうですが、ダートの1200m戦では勝ち鞍があり、距離については十分に対応可能と見ています。
理想はハナを切る形。その点、同馬を管理する木原一良厩舎所属で、同馬の持ち味を把握している富田暁騎手が継続して手綱をとるのは心強い限り。芝1200mは初挑戦とはいえ、近2走で芝の高速決着に対応できるスピードは見せていますし、スムーズに先手をとれれば、押し切っても不思議ではありません」
大西記者はもう1頭、昇級初戦のディヴィナシオン(牡5歳)にも注目する。
「ディヴィナシオンは、前走の3勝クラス・佐世保S(7月23日/小倉・芝1200m)を勝った内容が圧巻でした。ゲートをスムーズに決められたことが一番の勝因ですが、好位で流れに乗り、最後はメンバー最速タイとなる上がり33秒5の末脚を繰り出して差し切ったことも目を引きました。
従来の後方待機から差す競馬ではなく、いい位置につけてもしっかりと脚を使えたのは収穫。新境地を開拓できた上々の内容でした。
函館帰りを考慮して、攻めが控えめだった前走は決して万全な状態とは言えませんでした。それでいて、難なく快勝したことを思えば、上積みが見込める今回はさらに楽しみが膨らみます。
昇級戦で、ハンデが1kg軽くなるのも好材料。前走でマークした1分7秒1の時計もさらに詰めることができるでしょう。相手は一気に強化しますが、小倉では5戦1勝、2着2回、4着1回、5着1回。掲示板を外したことのない相性抜群のコースで、好勝負は必至です。
鞍上も、馬の潜在能力を引き出す大胆な騎乗でファンを魅了し続けている名手・横山典弘騎手。前走のようにきっちりとスタートを決められれば、前々で流れに乗っての一発が期待できそうです」
夏の"荒れる"ハンデ重賞。ここに挙げた2頭が、スタートからわずか1分少々の間にオイシイ配当をもたらしてもおかしくない。