ほとんどのスマートフォンにはiOSまたはAndroid OSが搭載されていますが、古いスマートフォンはメーカーのサポート終了によりアップデートを受け取れず、使えなくなってしまうことがあります。そんなメーカーサポートが終了した古いスマートフォンやタブレットにインストールして、再び使用できるようにするために開発されたモバイルOS「postmarketOS」の最新バージョンである「v.22.06」が、2022年6月12日にリリースされました。

postmarketOS // v22.06 Release: The One Where We Started Using Release Titles

https://postmarketos.org/blog/2022/06/12/v22.06-release/

postmarketOS 22.06 aims to revive end-of-life smartphones • The Register

https://www.theregister.com/2022/06/15/postmarketos_2206/

多くのサードパーティー製モバイルOSはGoogleが開発したAndroidをベースにしていますが、postmarketOSはそれらとは違い、LinuxディストリビューションのAlpine LinuxをベースにしたオープンソースのモバイルOSです。Linuxディストリビューションの中でも比較的軽量なAlpine Linuxを基に構築することで、メーカーサポートが終了した処理性能の低いモバイルデバイスにもインストールすることが可能で、デバイスの寿命をさらに延ばすことが可能となります。

postmarketOSの開発チームは公式サイトで、「私たちは新しい携帯電話を購入した直後にアップデートを受け取れなくなることや、AndroidとiOSに深く統合された、壁に囲い込まれた庭にもうんざりしています」とコメント。そこで、持続可能でプライバシーとセキュリティに重点を置いたモバイルOSとして、Linuxディストリビューションを基にしたpostmarketOSを開発したとのこと。

2017年に最初のバージョンがリリースされたpostmarketOSは、記事作成時点の最新バージョンである「v.22.06」において、実に200種類以上ものデバイスをサポートしています。対応するデバイスはスマートフォンに限らずタブレットや電子書籍リーダーも含んでおり、PINE64が開発したPinePhone、 Purism製のLibrem 5、Nokiaの物理キーボード搭載スマートフォンであるN900、ASUSのMeMO Pad 7、SamsungのGalaxyシリーズ、AmazonのKindle Fireシリーズ、ASUSのZenFoneシリーズ、ソニーのXperiaシリーズ、Google Pixelなど多岐にわたり、AppleのiPhoneにも対応しています。

postmarketOSがサポートするデバイスの完全なリストは、以下のページで確認することができます。

Devices - postmarketOS

https://wiki.postmarketos.org/wiki/Devices



海外メディアのThe Registerは、postmarketOSはすべてのデバイスを等しくサポートしているわけではなく、電話機能を利用可能なのはPinePhoneとLibrem 5のみであることを指摘。それでも多くの古いデバイスで起動し、Wi-Fiに接続することができるため、時代遅れのデバイスをサブ端末として復活させる役に立つ可能性があると述べ、オープンソースコミュニティによる助け合いも期待できるとしています。

「postmarketOSはまだ比較的初期の段階ですが、有望なプロジェクトです」「引退したタブレットの有効な代替手段を見るのは素晴らしいことです」とThe Registerは述べ、古いデバイスを復活させることは電子廃棄物の削減にも役立つと示唆しました。