ネット選挙運動解禁！若者と考える選挙制度の問題点 - BLOGOS編集部
※この記事は2013年07月13日にBLOGOSで公開されたものです
ニコニコ生放送とBLOGOSがタッグを組んでお送りしている「ニコ生×BLOGOS」。公示日に放送された今回のテーマは「参院選。投票しないとどうなるの？」今月21日に投開票が行われる第23回参議院選挙。前哨戦と言われた６月の東京都議会議員選挙の投票率は、過去２番目に低い43.50％で、参院選も投票率が下がるのではないかと心配する声があがっています。
そこで番組では、ネット選挙運動解禁で大きな役割を果たしたNPO法人YouthCreate代表の原田謙介さん、そして、現役大学生、専門学生、20代の社会人を迎えて、政治離れが指摘される若者の投票率をあげるにはどうすればいいのか？を考えました。20代の若者のリアルな声から現代の選挙制度の希望と課題が見えて来ました。参院選、投票しないと若者の未来に希望はない！
【出演】
司会：大谷広太（BLOGOS編集長）
アナウンサー：佐々野宏美
コメンテーター：須田慎一郎（ジャーナリスト）
ゲスト：原田謙介（NPO法人YouthCreate代表）
上條渚（大学生）
瀬戸綾（塾講師）
崎山琴子（専門学校生）
選挙に行かないと罰金。これってあり？
佐々野：実際に参院選の投票率をあげるためにはどうすればいいのかということを考えていきたいと思います。BLOGOSでは、『参院選の投票率をアップ！あなたのアイディアは？』というテーマで事前にご意見を募集していました。その中からいくつかご紹介したいと思います。「投票をした人は、住民税の負担額をいくらか差し引き減額してくれるとか？言い方を変えれば、行かない人には住民税を増額するとか」「海外で実績がある“投票に行かないと罰金”投票率は９割台になるそうですけど、投票の義務化なわけで、日本でやるには意外に大変らしいですけどね」
大谷：反対意見としては、“棄権する”こともある意味で権利なので、罰金を課すのはどうかということがあると思います。
原田：罰金がある国は、オーストラリア、ベルギー。あと、ブラジルだとパスポートが取りにくくなります。つまり選挙に行くことが大事だと。
ただ、罰金制度のようなものを導入すると、「じゃあ、とりあえず行けばいいんだろ？」という人が増えて恐いですね。もしも、教育も合わせて行うのであれば、やってみる価値はあるんじゃないかなと思います。
大谷：投票に行くと、お店で使えるクーポンがもらえるという例もありますよね。
原田：海外でもそうですし、日本でも地域の商店街の商品が安くなるという事例は、各地で出てきてます。
大谷：ちょっといいことがあるなら、投票に行きたくなりますか？
崎山：それでも、無責任の１票を入れてしまうのは問題かなと思います。「罰則があるから、とりあえず適当に入れなきゃ」ってなっちゃったら、それはそれで、国は大変になっちゃうのかなと思います。それはどうなのでしょうか？
須田：選挙権というのは、選挙の権利ですよね。普通選挙というのは、近年になってから確立したもので、かつては、お金持ちの多額納税者だけが選挙権を持っていた時代がありました。女性が参政権を得たのも戦後の話になりますね。
そういう点から考えると、むしろ選挙権は、獲得してきたという歴史的経緯がある。そのために、苦労してきたという背景もあるんですよ。だから、普通選挙権を持っていること自体は前向きに捉えるべきじゃないのかなと。むしろ、そういった歴史をきちんと教えて欲しいなと思いますよね。
大谷：学校でも歴史的背景は習いますよね。ただ、なかなかその意味について深く考えたりはしないと思います。
瀬戸：深い意味までは教えないですね。
選挙をマジメに考えすぎる若者
原田：先程、崎山さんがおっしゃっていたように、「政治のことがわからないから、私が大事な１票を入れてもいいんだろうか？」と考える人は、やっぱり若い人に多いんです。若い人がちょっとマジメすぎるのかなとも思っています。年代が上に行くほど、難しいことは考えずに投票に行っている気がします。大谷：”わからないから、政治は賢い人や詳しい人にお任せしておけばいい”っていう感覚もありそうですよね。
原田：「私が行っていいんだろうか」と自分を責めてしまうのは、すごくもったいないと思います。むしろそれだけ真剣に考えているということでもあるので、わからない範囲内でまずは投票に行くしかない。
佐々野：去年の年末の衆院選では、白票が多かったですよね。
大谷：報道する側も考えなければいけないところはあるかもしれないですね。イケメン候補、美人すぎる○○とか。
崎山：「この人、かっこいいから入れよう」とか「この子カワイイから入れよう」みたいな、AKBの総選挙のようになってしまう気がしますね。
上條：私は顔で選ぶということはないんですけれども、やっぱり知識が少ないままで行ったら、メディアで一番名前の挙がっている人だとか、ネット選挙運動解禁もありますし、Twitterで「よく名前を見るなあ」というような人に投票してしまう可能性はありますよね。
須田：でもやっぱり、顔で選ぶという人は結構いるみたいでね。「顔」で選ぶというと違和感があるかもしれないけど、やっぱり第一印象というのは、人間であるから大切でしょうし。そういう意味では、私みたいのが選挙に出たら、すぐに落選だろうと思います（笑）
大谷：いやいやいや（笑）。あとは、タレント候補も毎回出てきますよね。
須田：過去の選挙戦の実績を全部細かく分析していくと、100人中３人は名前と顔が一致しただけで投票しちゃうんです。つまり、政策であるとか人間性であるとか一切関係ない。100人中３人いるわけですから、それだけで３％とれる。
大谷：それはあるかもしれないですね。１度会ったことがあるとか、街角で目にしたことがあると、知らない人よりは信頼できるかもしれないという心理が働く気がしますね。
須田：だから、タレント候補とかスポーツ選手がでてくる。そういう土壌があるんですね。
上条さん 写真一覧
期日前投票の課題は？
佐々野：他のアイデアも見てみたいと思います。「インターネットを使った選挙活動よりも、インターネットを使った投票制度を先に実現して欲しかった。インターネットを使った投票制度が実現されれば、投票率も上がるだろうし、開票速度にも貢献できると思うのだが」大谷：投票所は期日前も含め、夜８時までしか開いていないですとか、投票所まで行くのがなかなか大変という場合には、インターネットで投票が出来るようになると、スマホもありますし、もっと投票率が上がるのではないか、という話ですね。
原田：よく言われるのは期日前投票が夜８時に閉まるというのは早すぎると。もちろん、期日前投票のおかげで、投票に行く若い人が増えている面もあるんですが、夜８時では仕事で間に合わない人もまだまだいるので。せめて、夜10時とか夜11時までやってくれないと、投票に行けないんだという話ですよね。
期間中１日だけでもいいから10時や11時までに延ばすとか、今の時代のニーズにあったことを、もう少し進めて欲しいかなと思います。
あとは場所ですよね。コンビニはもちろんですし、大学生なら大学の食堂に投票所があったら、すごく嬉しいという話はよく聞きますね。
大谷：確かにそれなら授業の合間に投票に行けるので効果があるかもしれませんね。
原田：今度の参院選では愛媛県の松山大学に期日前投票所ができるので、松山大学の学生は、投票に行きやすいんじゃないかなと思います。
須田：地域の選挙管理委員会の決断だろうと思うんですよ。前例踏襲でやっていくとなると、なかなかそういったところも難しいのかなと。投票だけでなく開票作業もワンパッケージでやりますから。確実に着実にできるのかということになると、どうしても保守的になってしまうんですよね。利便性よりも確実性に軸足を置いてしまうと、なかなか冒険ができないのかなと。ですから、そういった点について、もっともっと声をあげたほうがいいと思いますよね。
生徒会長を決めるのも政治の勉強
佐々野：他のアイデアもみていきましょう。「小学生からのライブ擬似選挙。小３ぐらいから地方選、総選挙があるたびに政見放送を聞き、実際に討論をさせて実際の候補者相手に擬似投票をする（難しい部分は教師が噛み砕いて説明）候補者も裸の王様ではいられないという効果もある。選挙が身近になるし、ノウハウも身につく。」もう１つはこんなご意見です。「どうすれば選挙の投票率があがるのか以前に、義務教育の段階で政治経済の重要さをちゃんと教えない限り、政治に興味など持つはずないし選挙にも行かない。戦後の日本教育を抜本的に見直し、政治・経済がいかに重要なことかを指導すべきだと思います。」
この辺は、瀬戸さんいかがですか？
瀬戸：仰る通りだなと思います。
須田：義務教育とか教育の現場も確かに大事なんだけども、先程、家族と一緒に投票へ行ったというお話がありましたよね。やっぱり、家族の中で「選挙が必要だよね」というやり取りや会話は必要じゃないかなと思いますね。
大谷：親が行くのに付いて行く。これは子供であれば出来ることですよね。モー娘。の歌（※ザ☆ピ～ス!）でも、”うちでは投票に行って外食”するっていう歌詞がありますもんね。
須田：選挙の必要性というのは、ご両親と話されましたか？
上條：私は親から教わったところもありますね。みんなで車に乗って投票所行って、そのあと一緒に帰るという家族ぐるみで選挙に参加した。これは、実家暮らしということもあると思いますけれども、親との会話の中で政治に興味を持つこともあるので。
やっぱり何がつまらないって、知らないことが一番つまらないので、「ライブ擬似選挙」の意見もありましたけど、そういうことで興味を持っていくことが大切かなと思いますね。
大谷：前々回の番組で憲法を扱った時も、そういう話になったんですよね。「憲法」というのは、知識として習うけれども、どういう風に出来たとか、どういう意味を持っているのかという点は、子供のうちから議論したり勉強したりする機会が少ない。だから、「いきなり憲法を変えるって言われても。」ということになってしまう。
須田：私、びっくりしちゃったんですけど、番組が始まる前、ゲストのみなさんに「今の生徒会の生徒や学級委員の選挙とかどうなの？」って聞いたら、「完全に出来レースですよ」というんです。昔は、普通に選挙っぽくやっていたんだけど、今は最初から先生が決めてやっているんですか？
崎山：私の時は、立候補をしている方が自分で選挙活動をしていました。
大谷：生徒会長の席は１つしかないのに、やりたい人が複数いたわけですね？
崎山：そうです。生徒会長をやりたい人が複数いて、その中で誰がいいのかという“生徒総会”をやっていました。
原田：そういうことは必要で、小学生なら小学校の中、中学生なら中学校の中という生活範囲があって、そこに政治はあるじゃないですか。
投票率の高い北欧の国を見ていると、本当に学校から生徒会長に対して予算がついたりするんですよ。「この予算を１年間で○○に使います」といって、本当に選挙を戦うわけです。そうやって未成年のうちから、実際に自分の投票で生活が変わることを積み重ねていくのが大事です。それが20歳になった時、自分の生活範囲が「学校」から「国」に変わる。だから、次は「国のことをやろう」ということにならないと。20歳になって急に「国政選挙に行ってください」と言われても、それは無茶だと思いますね。
佐々野：「社会」や「公民」の授業を聞いたからといって、すぐに政治経済に興味はもてないですもんね。歴史は勉強するけれど、現代の政治に興味を持ちますか？
上條：そうですね。もたないですね。なんでかというと、新聞やテレビで報道される政治の話題って、つまらないと思うんです。あと、さっきコメントで「選挙のアニメを作ればいい」というのがあったんですけど。例えば、世界史を普通に学んでいてもつまらないけど、世界史の漫画は楽しいという人がいるじゃないですか。そんな感じで、アニメだったり漫画だったりして、選挙ストーリーをちょっとおもしろくしてみてもいいんじゃないかなと思いますね。
佐々野：実際、アニメや漫画から吸収するという方は多いかもしれませんね。
崎山さん 写真一覧
白票を投じることにも意味がある
佐々野：さて、他のアイデアも見て行きましょう。「投票に行くと得をするとか、投票に行かないと損をするかと、という仕組みはよろしくないと思います。棄権も立派な権利なのですから。投票に行きたいけど、時間的あるいは場所的制約で行けないという方々を援助するべきであり、例えば、鉄道の駅で早朝から深夜まで投票できるようにするべきです。あと、コンビニで24時間投票できるようにするべきです。」もう１つあります。「反対票を入れられるようにする。とか。投票率の少なかった地域からは議員を当選させないとか、当選最低得票の設定とか、不参加者に罰金とかいくらでも考えられるだろうに。投票率を上げたいなんて政治家が思っていないだけじゃん」
大谷：「投票率を上げたいなんて政治家が思っていないだけじゃん」ということについて、須田さんに解説していただきたいんですが。もしかすると投票率が上がることで、不利になるかもしれないと思う政治家の方がいるかもしれないですよね？（笑）
須田：もちろん、たくさんいらっしゃるでしょうね。さっき申し上げたように、既存政党、特に大政党。自民党であれば、農協や医師会といった団体・組織に大きく依存するんですよ。それが組織票なんです。民主党であれば、労働組合になりますね。
まず、組織票を固めてから、浮動票、無党派層を積み上げていくということをやるんです。むしろ、無党派層の方が大きくなってしまったら、組織票が埋没しちゃうわけですよね。そうすると、自分たちに都合の悪い選挙結果が出てきかねない。
かつて、自民党の元総理大臣が「無党派層は家で寝ていてくれ」と言って大ひんしゅくを買ったことがありましたが、そういう状況が生まれてくるわけです。だから、投票率が上がっても、喜ぶ政党ばかりといえば、必ずしもそうではないと思いますね。
組織を固めるために、カネも人も時間もかけているわけですからね。コストがかかっているんですよ。
佐々野：本当は、投票率をあげなきゃいけないのに、反比例するところが見えるのは矛盾しているなと思うんですけれども。
須田：若い人はそういうところに反発して、「だったら選挙に行ってやろうじゃないか！」という気持ちになって欲しいなと思いますね。
原田：「誰にも入れたくないから棄権」のように、政治をネガティブに捉えて棄権をしても、政治家側は「白紙委任だったね！」と思うだけなので、そこには違和感を感じますよね。
だから、「誰も入れたくない」とか「選べない」のであれば、投票に行って、白紙を入れるなり、自分の名前を入れる。これでも投票率にはなるんです。若い人の投票率が上がったけど、白紙が多いとなれば、「多くの若い人は、政治にはすごい興味を持って考えている。でも、今の政治とか今回の選挙に対しては、すごい反発があったんだな」と、政治家がすごく感じるんです。そうやって、若者が意思をみせないと。
若い人は投票にも行かない奴ら、となめられている状況なわけですよ。そこをなんとかしないと。
佐々野：実際に、みなさんは参院選に投票行きますか？崎山さんは初めての選挙になりますが？
崎山：恐らく母が行くので、一緒について行って、選挙デビューをしてみたいと思っております。
佐々野：投票にあたって、「どこを選んでいいかわからない」という話もありました。確かに、色々な争点があると思いますが、どこをみたいですか？
崎山：今何を改善するべきなのかということもわかっていないので、もう少し勉強したほうがいいですね。
上條：私、投票に２回しか行ったことがないんですけど、投票する時に「この政党がすごくいい」というよりも、「この政党とこの政党の考えていることがイヤだから、こっちに入れる」という気持ちが強くなってしまっているので、その辺の知識をつけないと「この党に入れたい」というところまでいかないと思いますね。
須田：知識をつけることも大事だけれど、「この人に入れたい」という魅力のある政治家がいないことも事実だと思いますよ。
選挙＝お祭りにすべき
佐々野：次のご意見をご紹介しましょう。「投票所前に屋台を出してお祭りにすればいいのに（笑）投票以外に投票所へ行く目的ができれば、何かのついでに…ってなって、投票率があがる気がする。」大谷：投票所って、確かにすごいあっさりしているんですよね。まぁ、目的は投票なので、それで十分といえばそうなんですけど、本当に投票箱しかない。
佐々野：順番通りに進んで出て行くみたいな（笑）
須田：投票に行くのは、楽しいもんじゃないよね！
佐々野：そうですよね。やっぱり何か楽しいことがあると「選挙に行ってみようかな」という気持ちになりますか？
原田：政治の「政」という漢字には「まつりごと」という意味もあるじゃないですか。本当は祭りのはずだし、日本だって、戦後最初の選挙の時は、花火がバンバン上がって盛り上がっていたはずなんです。
だったら、昔のように「祭り」として盛り上げることも必要ですよね。例えば、投票所は大体、小学校にあるので、その横の校庭でビアガーデンをやる。投票できるのは全員20歳以上なのでお酒も飲めるわけですから、政治の話をする場にしちゃえばいいかなと思っています。
せめて、投票所で音楽をかけるぐらいはやってもらいたいなと思っています。あと投票所付近を盛り上げて、みんながそこに集いたくなるような状況になればいいかなと思います。職員室みたいにシーンとした雰囲気で、すごく入りづらいですよね。
佐々野：入りづらいと感じますか？
上條：私も初めて行った時は、とても殺風景だし、こんなに何もないんだなと思って。投票箱と地味な机だけなんですよね。こんなにあっさりしているんだなと思って。もうちょっと“選挙に行くぞ”みたいなところがあってもいいですよね。
瀬戸：物々しい感じですからね。後ろを振り返りながら投票したことを覚えていますね。
佐々野：なぜか後ろから視線が突き刺さりますよね（笑）須田さんが投票権を持った時代から、投票所って雰囲気は変わらないですか？
須田：全く変わらないですね。あの通りだと思いますよ。ただ昔は、スリッパに履き替えなければいけなかったので、今は土足でいいなと思いますね。
佐々野：須田さんは投票率アップのアイデアってありますか？
須田：恐らく、行ったことがない人は、どこでやっているのかわからないのではないかと。投票案内状には書いてありますけど、あまりなじみのない場所ですよね。コンビニじゃないけれど、生活の範囲にあれば、「なにかのついでに行ってくるか」ということもありえると思いますけどね。
佐々野：コンビニで投票できるようになれば、劇的に変わりますよね。
須田：公共料金を払って、投票もできればいいと思いますね。
瀬戸さん（右） 写真一覧
立候補者の情報はどこから？
佐々野：みなさんからいただいた質問メールをご紹介いたします。大谷：「今日参加された方は、立候補者の情報を何で得ているのか教えてください」
上條：私は、テレビが一番大きいかなと思いますね。ただ今回からインターネット選挙運動が始まっているので、どんなものかというぐらいで、見てみようかなと思いますね。
崎山：私は、はっきりいって興味が無いんですよね。だから全然調べてもないですし、興味を持つにはどうすればいいんですかね。
須田：駅で街頭演説に遭遇したりはしませんか？
崎山：この前、駅のロータリーで安倍総理が街頭演説しているのを偶然見かけました。それはさすがに興味がわいて、思わず眺めてしまいました。
佐々野：演説の中身は入って来ましたか？
崎山：いや（笑）（スタジオ爆笑）
崎山：「この方が、安倍総理か～」で終わってしまいました。
瀬戸：私は自分の中で、国政選挙には行くと決めているんで、テレビやネットを見たり、新聞も読むんですけど、それは事前に行くと決めているから調べるだけで、選挙以外の時は、全く新聞とかも開かないですね。
佐々野：今、立候補している方たちの情報というのは、自分がその情報を取りに行かないと、自然に入ってこないということですか？
瀬戸：僕の中にはそういう認識がありますね。
須田：選挙だからといって、その政治家の情報を吸収しようとかじゃなくて。日常的に政治に関する話題とかテーマとかニュースには興味がありますか？毎日じゃなくてもいいから、１週間に１度ぐらいはそういうところに目を向けることはありますか？
上條：私は特に政治を見ようというわけではないんですけども、夜のニュースは見ます。あと、休日のお昼にお父さんが見ているニュース番組を一緒にみて、自然と入ってくるところはありますね。
瀬戸：新聞は、大体目を通すようにしているんですけど、その中で、政治だけを特に見るとかはないですね。新聞の中にたくさんある項目の１つになってしまっています。
大谷：ちょうどテレビの話題が出たので、須田さんにお聞きしたいことがあります。昨日までは盛んに「経済政策どうだ」と、テレビで報道するわけですけど、今は制約があるので、公示日以降になるとテレビでは深い話をしなくなっちゃう、できなくなっちゃう、という現状がありますよね。
須田：深い話どころか、公示を境に選挙報道がピタッと止みましたよね。これは異常ですよ。公職選挙法で一切取り上げちゃいけないのかというと、そんなこともないんだけども。やっぱり自主規制の問題で、どこかの政党を取り上げるんだったら、大きな政党から小さな政党まで１分、１秒たりとも差ができないよう平等に取り上げなければならない。本音をいうと、「めんどうくさいからやめとけ」と思っちゃうんですよね。
本来であれば、政治や選挙に関する情報が一番欲しいタイミングで、政治報道がなくなってしまうという異常な状況が起こっています。だからこそ、インターネット選挙活動は意味を持つものだと思いますけどね。
大谷：原田さんがオススメの情報収集の方法はありますか？
原田：各候補者のTwitterやFacebookのアカウントのまとめみたいなものがあるので、とりあえず、それをフォローしておくのがいいんじゃないかなと。１回フォローしておけば、情報が入ってくるので。
佐々野：ネット選挙運動解禁で、これまでのように夜８時までの選挙運動ではなくなりますもんね。
須田：逆に言えば、能動的に情報にアクセスしていかないと、なかなか情報が入ってこないということなんでしょうけどね。
大谷：今までは新聞をとっていると選挙公報が入っていて、そこにそれぞれの候補者の主張が入っているぐらい。でも、実際、投票所に行っても、名前と党名しかないので、それ以外の情報が一切ないということがあります。
ですから、今は、制度上できないと思うんですけども、例えば投票所にパソコンを並べて、そこで情報を検索できるようにするとか。情報を得られるような仕組みを選挙制度の中でも作ってもらうと、もうちょっと行ってみる気になると思います。
崎山：私、アイドルが好きなんですけど、例えば“選挙に行ったら握手できる”とかだったら、確かに行くかもしれないですね。でも、それこそ無責任な１票が入ってしまうような気がして。そこまでして投票率を上げる意味はあるのかなという気はしますね。
須田：街頭演説に行くと、イヤでも握手してくれますから（笑）グイグイきますから（笑）
写真一覧
時代錯誤の選挙制度の実態
佐々野：もう１通メールが届いています。大谷：東京都の男性から。「投票所をディズニーランドとか人気スポットに設置すればいいのでは？」ということです。さきほど、投票所に他の機能を持たせるという話はあったんですけども、便利なところだけではなくて、たくさんの人が訪れる人気スポットはどうですかと。
原田：投票所の場所の話になると、「現実的じゃない」という話になるんですけど、元々、昭和25年にできた公職選挙法のまま現在まできています。それが僕らの生活スタイルに合ってない投票や選挙の制度なので、そこはやっぱり変えていかないといけない。
夢の国についてはなんとも言えないですけど、みんなが行くような場所に投票所を構えるということも考えないと。それは、投票のハードルを下げ過ぎるということではなくで、生活スタイルに合っていない状況のままで、選挙が行われているので、そこを根本的に見直さないといけないかなと思っています。
須田：なぜ投票所がああいう形で決められているのかというと、開票作業との兼ね合いなんですよ。正確に間違いなく、かつスピーディー。だって、投票から数時間後に当選者が出るのはどう考えても異常でしょ。
実はそこには色々な工夫がされているんです。例えば、投票用紙。この紙を二つ折りにして投票箱に入れますけど、自然と開いてくるような紙なんですよ。そういうような工夫をして、すぐに開票作業が進められるような状況になっている。
だから、これディズニーランドでやっちゃったら、「これはどこの選挙区の投票用紙なんだ！」と混乱を招いてしまいますよね。
原田：運営がしっかり票を数えなければいけないというのはわかるんですけど、開票時間を隣りの自治体と１分１秒争うことは本当にわけが分からなくて。開票時間を早くしないといけないから、場所によっては投票時間が８時までじゃなくて、７時までのところだってあります。
今後、６年間の政治家を決めるのに、開票時間が１分とか１時間変わったところで全然意味がないわけで、選挙をやっている人達の自己満足なのかもしれないですけど、全然今の世の中に合ってないかなと思います。
だから、そういった点を見直して、どうやって有権者が投票に足を運ぶようになるのか、もっと真剣に行政と政治に考えてもらいたいなと思いますけどね。
佐々野：それでは、最後に須田さんから、「今回の参院選、投票に行かないと、こういうことが起こってしまうかもしれないよ」ということをまとめていただけますか？
須田：今回の選挙は、場合によって、３年間の白紙委任状を安倍総理に渡すのと同じ意味を持つ可能性があるわけです。確かにいいことをやってくれるでしょうし、それを期待する点もあるんだけども、それで本当にいいのかどうなのかということを考えなければいけない。そういった問題意識を持って、投票所に足を運ぶべきだと思いますけどね。
私はインターネット選挙解禁は、ものすごく大きな意味を持っているんだと思うんですよ。今までは求めてもなかなか情報がもたらされなかった。その候補者が何を考えているのか？どういう人なのか？それが今回から、求めれば夜中でも答えてくれるんですよ。
そういう点でいうと、政治、選挙、これからの世の中に対して問題意識があるかないかで変わってくるのかなと。じゃあ、今後の課題は、その問題意識をどうやってもったらいいのかということかなと思いますよね。
大谷：どの党も、どの候補者の方も色々な政策を打ち出しているので、100％自分にマッチする人を見つけるのは難しいと思うんです。でも、若い人なら、就職に関係する雇用の問題をどう考えているのかとか、子育て世代であればその対策をどう考えているのかということはネットで調べればわかるんですよね。Yahoo!のみんなの政治、GREEニュース、Ameba、Ustream、ニコ生、そしてBLOGOSも情報がわかるように様々な取り組みをしています。
須田：あと、候補者の方のネット選挙に対するスタンスをみれば、若者や無党派層とどう向き合っているのかが見えてくるんじゃないですか。
大谷：今回、ネット選挙運動は初めてなので、政治家のみなさんがネットの先にいるユーザーとどう向き合うのかという視点で見るのもおもしろいかもしれないですね。
「参院選。投票しないとどうなるの？」というテーマでお送りした今回のニコ生×BLOGOS。番組の中で「政治がわからないから投票に行かない。無責任な１票を投じたくない」という意見がありましたが、原田さんの言うように、これは選挙をものすごくマジメに考えていることの裏返しとも言えます。しかし、そういった人全員が今の政治に満足しているかといえば、決してそうではないと思います。不満もあれば、ここを変えて欲しいと具体的な意見を持つ人もいる。だけど、どこに投票していいかのかわからないし、自分の1票で国が変わるとも思えない。ですが、不満があるなら、しっかり声をあげることが大切です。虫歯になったら病院に行くのと同じように、政治の在り方に痛みを感じているのであれば、選挙を通じて声をあげなければ、いつまで経ってもその痛みは消えません。それが白票だとしても、声をあげていることにはなります。7月21日の投票日、政治家に私たちの声を届けるために、投票所へ足を運びましょう。
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