せめて3日間戦えるように！－1.5回戦分しか弾薬のない自衛隊の現状 - BLOGOS編集部
※この記事は2013年01月04日にBLOGOSで公開されたものです
ブロガーのやまもといちろう氏が、初代内閣安全保障室長の佐々淳行氏、『ニューズウィーク日本版』元編集長の藤田正美氏と共に、国家論を軸に、外交、防衛、治安維持、食糧問題（TPP）・エネルギー問題などを考えるシリーズ国内海外 安全保障なう。石原慎太郎氏国政出馬の裏側や、危機管理についてお送りしました。（2012年11月6日放送）■出演
やまもといちろう氏（ブロガー、個人投資家、作家）佐々淳行氏（初代内閣安全保障室長）
藤田正美氏（ジャーナリスト、『ニューズウィーク日本版』元編集長）
アシスタント：木次真紀（元山陰放送アナウンサー）
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石原慎太郎氏・国政復帰の裏側
やまもと：本格的に解散風が吹いてきたなというところで、石原新党が立ち上がりました。石原先生が、ある意味英断といいますか、突然言いだされたように言われていますが、かなり以前から国政に出られる話はあったそうですね。佐々：長男の伸晃さんが自民党総裁選に敗れたら、自民党に怒りを抱いて突然東京都知事を辞めて国政に復帰する、といった印象を持っている方も多いと思います。
が、違います。元々、わたくしは第３回目の知事選選対本部長で、この時は死にもの狂いで知事をやろうとしていらっしゃいました。ところが３期目、色々な実績も残し、４期目に当たって深刻に悩んでいらして。年も年だし、そろそろ辞めて国政に復帰をしたい、このままじゃ日本はダメになる、そのためには４期目は諦めるかどうか、大変に悩んでいらっしゃいました。だから伸晃さんのはつい先日ですから急に知事を放り出したという批判はあたりません。2年くらい前から本当に日本は滅びてしまう、これは少年のごとき純真さ、そして愛国心からくるもので国の事を憂いている、というふうに考えていいと思います。
やまもと：辞任会見の時もそうでしたが、かなり強い使命感を持ってらっしゃるというふうにお見受けしましたが。
佐々：昭和20年８月15日、敗戦の日。彼は確か13歳だと思います。私は15歳で終戦を迎えたんですが、マッカーサーが占領軍総司令官としてやってきて、我々に心に残る厳しい批判をしたんです。日本は四等国であると。これは教育し直して、軍国主義をただしていかなければいけない、こうしてマッカーサーの戦後行政が始まりました。我々は一等国日本というのを誇りに少年期を過ごしてきました。これくらいの侮辱はなかったです、四等国と言ったなと。それで我々は元の一等国になってみせようじゃないかと。その頃の慎太郎さんは知らないですが、少年たちはそう思ったものです。
知り合ったのは昭和43年の11月ですから今から44年前。私は当時警視庁の警備課長をやっていまして、当時は990日間闘争という、全共闘との戦い、学園紛争、新宿騒擾など、ありとあらゆる街頭武装行動と戦っていました。日本大学の本館封鎖解除の警備で、西条君という第五警備機動隊の巡査部長が人の頭ほどの大きさの石を投下されて、頭骨が砕けて殉職しました。この公葬を警視庁でやったんですが、当時機動隊というのは公的暴力装置と赤旗に毎日書かれて、学生に対して暴力行為をふるっているということでマスコミもほとんど学生側についていましたし、世論も機動隊には極めて厳しかった。
その西条巡査部長には、若い未亡人と小さい子がふたりいたかな。そこに警備課長の私に石原さんから電話があったんです。彼当時300万票とって当選しまた芥川賞作家でもあり、時の人、一番輝いていた頃です。その彼が弔問に行きたいというので、１DKの小さな公舎にご案内したら。小さな仏壇の前でキチッと正座して未亡人に弔辞を述べていました。彼だけです、来てくれた国会議員は。
それで現場検証を国会議員として国政調査権でやりたいから、日大の現場を説明してくれというのです。それで連れて行きましたら、学生が悪いと行った。機動隊は暴力と世間はいうけど、これから僕は機動隊の肩を持つと言ってくれました。芥川賞作家で、太陽の季節ですよ、太陽の季節なんて我が機動隊の一番縁の遠いところにあるものです。この人は何かあるだと思って色々話してみると、私はマッカーサーの言った事が悔しくてしょうがない、一等国に戻そうじゃないか、それを政治家としてやる、というので、それ以来盟友になったんです。
慎太郎さんが40歳くらいの時のことです。そして彼の姿勢は治安、防衛、外交と一貫して今日までブレていません。今80才、もともと健康には自信のあった人で、1000m泳ぐ人です。それが体力が衰えて、最近ダメになってきたと。都庁の知事室まで昔はエレベーターなんか乗った事ないんだ、駆け上がったもんなんだ、それが今では疲れると言うんですけど。
やまもと：そりゃそーですよ。
佐々：だから私は言いました。あのね、80歳だよと。80の石原慎太郎に要求されるものは、決断力、危機予測能力、指揮・統率能力であるとか、こういうものが要求されている。まずは健康診断しろ、それで合格したら、国政だってあなたの体力ならやれるよ、あなたがやるなら応援するよとお伝えしました。
やまもと：百人力で出ちゃうわけですね。
佐々：そうして健康診断の結果、何でもなかったんです。記者会見で実にいいこと言いました。自分は橋下が育ってくるまでの間のリリーフ・ワンポイントだと。俺がまずやるからと、あれはいい言葉だと思います。それに彼自身は総理になれない事を知ってます。総理になりたい野望だとか言われていますが、政治情勢をよく分析したら、自民党が第一党になって政権に戻ってくるというように読むのが素直でしょう。それを助けて、自民党とも提携したらいいと思います。ちょうど橋下さんが石原さんとは組むけど、たちあがれ日本とはセンスが合わないから組まないと言っています。
やまもと：フシギな言い方ですよね
佐々：あれと同じです。自民党と組まなくても、もう一度お国のためにやると言っている安倍晋三さんと組めばいいんじゃないかなと思っています。
やまもと：今、橋下さんの話が出ましたけど、橋下さんの評価も非常に難しいと思う所があります。橋下さんの政治的なセンスは疑わないところですが、日本維新の会という団体となってくると、評価が大きく変わってしまうと思いますが
佐々：橋下さん自身は、会って話してみると視野が広い。ただ、彼が今で過ごしてきた人生は弁護士です。法廷弁護士としては優れた弁護士でも、治安防衛外交あるいは政治経済をマクロでやったことのない人です。という点はこれから勉強してもらえればいいと、石原さんも言っています。それで慎太郎が兄貴分として教えると言っています。
やまもと：石原さんが橋下さんにノウハウを叩き込むという、一子相伝的な
佐々：坂本竜馬は山内容堂に船中八策という、維新後の政党がやるべき八策を提言しました。それと同じことを今回は逆に。つまり、橋下さんがどちらかというと大政奉還をやろうとしているところ。我々昭和一桁、老・坂本竜馬が色々意見を言うと。僕らは本当に後継者が欲しいんです。あんな若いところから出てくるとは夢にも思わなかった。
やまもと：日本維新の会が支持率14から10くらいに下がったのは、竹島を共同管理すると言ってしまったことで、彼を支持していた一部の層が離れた要因があったのか。
佐々：世界で、二か国でひとつの島を共同管理している例があるかどうか。調べてみますと、ふたつありました。ひとつはスペインとフランスの間の、本当に小さな島。驚いた事にスペインとフランス政府は協定を結んで、1か月ごとに領有権を入れ替えるという、まったく遊びをやってます。もうひとつはアフリカにあったある地域は独立して、今はありません。
国際常識として、領土主権というのは、排他的でもっとも原始的なもので、お隣同士、１センチ枝が出たのってケンカしてます。国家間、民族間もみんなそうです。領土権は共同管理できない。これは常識なんです。その常識に外れたことを言いだしたからビックリしたわけです。
やまもと：その辺でかなり失望がありましたよね。
佐々：謙虚に反省して勉強しますって言っています。だから勉強をうんとさせたらいいんじゃないですか。
やまもと：第三極をめぐる話はものすごく重要になってくる中、石原さんが戻ってきた、というイメージがつきまとうんですが。
佐々：そもそも第三極というのはあるのか、ないと思います。だから慎太郎さんがどんなに努力しても、渡辺喜美氏のみんなの党、あるいは亀井静香氏の国民新党、これらを全部統合するというのは出来ません。時間がかかる。ですから連帯でいいんじゃないですか。
やまもと：ゆるーい連帯で。
佐々：それでいいんです。大きな問題、政策だけ一致をみて。たとえば日米同盟でいくのか、中国と組んで、アメリカから捨てられて中国と組んで生きるというのか。あるいは資本主義はどうするのか、社会福祉もどうするのか。消費税の場合、たとえばある部分目的税でもいいけど、地方地自体に振り分ける、これは橋下さんでもどうかなと思います。
やまもと：地域政党であるゆえに、どうしても言わざるを得ない感じですね。
佐々：またエネルギー問題に関して、次はメタンハイドレードなのか、シェールガスなのか、またはそれ以外なのか、大きな方針を示してから、原子力の問題を論ずるべきだと思っています。大きな政策を、大方向だけ決めたらいいと思います。
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国政に戻るなら「支那」はやめろ
佐々：それから日米同盟もどうするのか。アジア共同体で、日本海を友愛の海にして、ロシア、北朝鮮も含めて安全保障条約をと民主党の鳩山さんが言っていたことをやるのか。大きなところ、小異を捨てて大同につくという。私は中国を支那と呼ぶことに関しては小異だと思います、僕らの世代はそう習いましたが、国政をやろうと思ったら、相手が中華人民共和国と名乗っているものをわざわざ支那ということもない。小異を捨てましょうよ。この間のテレビ朝日のサンデープロジェクトに慎太郎さんが出ていましたけど、支那とは言わなくなった。木次：それは佐々さんの助言だったんですか？
佐々：僕の助言の中のひとつです。僕は中共でいいと思っていました、中華人民共和国ですし。
藤田：中国共産党ですしね。
佐々：それがまずいことに先日、石原さんを批判するような形で東京新聞に『佐々氏 支那と呼ぶな、国益に合わない』と出てしまいました。なぜ1979年をもって一斉に中国に変えたのか、中共から中国に変わった時にマスコミは説明してないでしょう。僕らが教わったのは支那なんです。
僕は1972年田中訪中の時の外事課長で、相手は廖 承志(リョウショウシ)でした。廖 承志との間で訪中の警備の打ち合わせをやりました。それまで中共って呼んでいたんです。中共って呼ぶと相手が嫌がり、外交交渉になりませんから、協定を結ぶために僕はその時から中国と改めたんです。そうすると僕が改めたのは、国益にそぐわないから僕が中共から中国にしたよというのを見出しになっていました。石原さんを批判したみたいになりましたが、彼は実に素直に受け止めて。日曜日にテレビを見ていて一種の感動でした、長い間の友情っていいもんだなと。
やまもと：思わぬところで発露してしまったんですね
佐々：あんまり意味ないよと、力んでみてもねと。あのガンコですぐ反発する、橋下さんもそうです。ものすごくナイーブなところがあって。だからお互いに共鳴しあうところがあります。
藤田：橋本氏も石原氏もそうだけど、中央集権という日本の統治機構を変えなければいけないというところに非常に大きな問題意識を持っています。しかし佐々さんは中央官僚そのものでいらっしゃった。現在の統治機構の官僚というのは、ろくなもんじゃないとお考えですか
佐々：私の見ていた範囲でいうと、外交と財政、これは中央官僚、外務省と大蔵省がほとんどすべて決めている、これはよくないなと思っていました。中曽根内閣は、治安防衛外交の補佐官制度を作りました。私はあの時に財政もいれたらどうか、ホワイトハウスには予算局がありますよと、大統領が予算全体をチェックできる機能を持っているが、日本にはありません。
だから財政担当の特別補佐官も必要じゃありませんかという意見を出していたんですが、大蔵省の反対で受け入れられませんでした。大蔵省は予算をつけていますから、各省に大蔵省の要員が派遣されていて、すべて大蔵省に第一報告義務があるんです。各省庁の情報を全部知っているのは大蔵省なんです。官邸ではないんです。そういう意味では中央官庁にいながら、中央官庁を打破せよと言っている石原さん、橋下さんの意見には賛成です。
また、橋下さんは少しずつ覚えてきてはいるけれど、治安防衛外交は広域に、トップダウンでやらないとできません。会議や委員会では片付きません。
治安防衛外交、危機管理は中央集権。内閣総理大臣の全責任で、官房長官が統率する、これが私の言っている改革論です。財源の配分に関してはおかしいです。道府県が全部東京に事務所を持っている、この二重行政。お金がかかるんです。やっぱり地方に交付税なり、地方に独自でやらせる。地方自治体の首長をやった人がみんな言っていますが、それは賛成です。そういう意味で、元中央官庁の官僚として、大蔵省と外務省はよくないと思うんです。それから地方自治体の言っていることも分かりますが、治安防衛外交危機管理、それをひとりで出来るか、できません。
藤田：そうすると、例えば日本の官僚制度をアメリカ的な、大統領が変わると3000人もの人間を入れ替える、政府のトップがごそっと変わるような政治任用制度を入れれば、いわゆる官僚によるガバナンスはなくなるわけですよね。
佐々：戦前、内務省が中心だった時代、その時代は政友会と民政党と、政権が変わると役人は全部変わりました。駐在所の巡査まで変わりました。日本選挙で与野党が入れ替わるびに役人の入れ替わりがあったんです。自民党政権の間はありませんでした。
藤田：55年体制が続いている間はね。
やまもと：民主党は政治主導、稚拙ではあれ、官僚から権限をきちんと政治の方に持ってこようという大義名分をたてて政権交代を果たしました。ただ結果としては惨憺たる状態で、統治能力が目減りしてしまう。そのあとも国益を失うような行為もまた一部でありながら現在に至ったというのは明確だと思います。ここでまた橋下さんが出て来られて、中央集権的な安全保障の体制を整えていく、ある意味ブレーキとアクセルを同時に踏むというようなハンドリングをしていくんでしょうけど、そういう形で最後まで走り切れるのか、非常に心配です。
藤田：橋下さんの言っている事の中で納得できるのは、基礎自治体を小さくする。例えば260万という大阪市を10くらいの区画にわけて、そこの各区は公選制の区長と区議会議員を置く。僕は横浜に住んでいるんで、横浜は人口368万の基礎自治体なわけです。現在の林文子横浜市長に分割した方がいいんじゃないですかという話をすると、そんなことをすると分割したところの格差ができるというんです。
例えば東京だって豊かな区と豊かでない区はあります。それには分配をしているんです。中央区だと人口は12万くらいしかいない、非常に豊かです。足立区は人口は多いけど豊かではない。そういうのを調節する機能はあるわけです。なぜそんなことを言っているかというと、東京で直下型地震が起きた場合、横浜も影響受けます。通信網が一時的に使えなくなって、その時に、港北区に貯蔵してある救援物資の配分であるとか人間の避難場所であるとか、そういうことを港北区長が判断できますかということを気にしているんです。
港北区長は横浜市長に連絡取ってからということに必ずなります。だけど連絡はとれない。その時にどうしますかということを気にしているんです。
やまもと：そもそも災害対策基本法は首長が管理することになってますよね。
佐々：知事は大規模になった時だけ出てきます。さらに数県にまたがるということになると国務大臣が総括的な広域災害対策に乗り出す。始まった時の初動措置は、いい例が東海村ＪＣＯの中性子漏えい事故がありました。この時の責任者は村上東海村村長です。それからさらにその上、橋本茨城県知事です。中央官庁では科学技術省が名目上管轄権を持っていますが、危機管理対策能力はないんです。
あの時はあまりに消極的権限争議、みんな俺じゃない俺じゃないって逃げる。それで村上村長が一生懸命やりました、場合によっちゃ30万人避難させなくてはならなかった、それを東海村の村長のわたくしがやるんですかって怒りました。治安防衛外交危機管理、原子力事故、こういう危機管理的なことは国がやらなきゃいけないのです。
ただ今度の維新の会でも希望を持っているのは、国政をやって地方自治で行政をやって、また国政に戻ってくる人間がいる。石原慎太郎のほか、横浜という難しいところの首長をやった中田宏、それから前杉並区長の山田宏。つまりそこで限界を感じた人が国に戻ってくるんです、慎太郎をはじめとして地方行政として細かいことも首長として知っています。そういう人間が中央官庁の大臣になると、すばらしいことです。それに期待しています。
やまもと：このあとの選挙で自民党の安倍晋三さんが首相になられる公算が高いと。佐々さんは安倍さんを推してらっしゃった。安倍さんが今後どういう政策をやっていくのか、また橋下さんとどういう連携があるのか、このあたりも伺っていきたいところです。
佐々：掲げている国家目標、あるべき日本の姿、おそらく橋下さんとは共通なんでしょうけど、あの人達は国際感覚があります。国際社会において名誉ある地位を占めたいと思っています。憲法前文の精神というのは、みんな共通してもっています。若いけれど58才の安倍さんも、マッカーサーに四等国と言われて悔しいと思った人です。今、世界中で尊敬される国にしよう、もう1回やらせてくださいというので、私はご協力しているんです。この間きつく申し上げたのは、我々が安倍さんを支持して、東条内閣の閣僚だった岸信介の孫だと猛烈な攻撃があったんです。それを支持するというのは勇気がいることなんです。以前のようなお友達人事をやったらダメ、それをおやりになったらおろさせて頂きますと言ったんです。
やまもと：それは何度でも言って頂いて。
佐々：あの人達は全く安倍さんの抱いている理想国家とは違うイメージでした。サロンコミュニストみたいな人が多かったんです。
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今後の日米同盟
木次：今日は米大統領選挙ですね。藤田：今回の場合は民主党が勝とうが、共和党が勝とうが対日政策という面では大きな変化は?
佐々：ありません。ただ対中国に関して、アメリカの国務省が冷静にやって紛争を起こさないように慎重に進める。我々が心配しなければいけないのは国防省です。ペンタゴンが何を言っているか。QDRという4年に1度出す国防報告書があるんです。これはもっと読むべきだと思います。
３年前に出た時、ホワイトハウスと国務省は親中、融和主義だったんですが、驚くなかれ、ペンタゴンは中国をはっきりと仮想敵としているんです。この脅威と戦わなければいけないと。日米あるいは米韓との軍事同盟を強化しなければいけない、オーストラリアも強化しなければいけない、海兵師団も1個師団、オーストラリアに漸進させると。それは今アメリカが現実に太平洋の防衛力強化にやっていることが書いてある。QDRは来年出ますから我々は重大な関心を持たなければならない。今年は中国も変わるし、日本を見捨てると書いてあるのか。
やまもと：温家宝氏の家族の手による蓄財問題もある。
佐々：江沢民と胡錦濤がまだやってる。重慶の薄市長の問題もある。今度も不正蓄財、スキャンダル合戦が始まっちゃった。一番の謎は、習近平が尖閣について中国海軍に押されて乱暴なことをやっていたのが、レオン・パネッタ国防長官が日本を支持すると言ったとたん、平和的にやりましょうと。それでも毎日領海侵犯されている。こんなバカなことはありません。領海侵犯されたら怒らなきゃ。それで水鉄砲合戦。台湾だと水かけて、中国にはかけない。
やまもと：機を見るに敏というよりは、完全なダブルスタンダード、ご都合主義ですよね
佐々：それからアメリカ国務省のカート・キャンベル次官補が同じことを言った。だけどあれをよく全文をお読みにならないで、報道は日本に都合のいいことだけを伝えた。第５条を尖閣に適用すると(ヒラリー・クリントン)国務長官も言ったし、国防長官も言ったし、国防次官補も言ったんです。
だからこれで民主党の対尖閣政策、ガマンしてやっていたのをアメリカが評価したと理解したのだと思います。でも違うんです。安保条約第3条が実効された場合のことをいっている。3条は武力攻撃に対して、日本が憲法の範囲内で自衛行動をとったときに米国は協力するということ。つまり、日本国が行政権、施政権を持っていて、尖閣列島を実効支配していて、もしそれを侵害する行為が行われた時には日本が憲法の許す範囲で所要の処置をとることが前提です。
それを一番激しく言ったのは前の副長官のアーミテージです。沖縄の無人島、日本が守ろうともしない名もなき島のために、アメリカの子供達がそこに行って血を流すという事を、その母親たちが承知しますかと言っている。まず日本が戦って第３条を施政権の及ぶ限り自分で守ることをやって戦った時に来ますよと言っているんです。それをマスコミは紹介しないんです。
やまもと：野田さんは島嶼部の上陸訓練を見送ったりしています。アメリカは衝撃的だったと思います。メッセージは伝わっていないということでしょうか。
佐々：伝わっていないのでしょう。今回のミソは離島奪還訓練だったんだけど、まだとられてもいないうちになんで奪還なの？って。私は申し上げました。まずは上陸されれないようにするのが先じゃないのかと。下がって取られてから奪還って。ものすごく難しいものです、奪還は。
やまもと：ここまで政治状況が動いた中で、中央集権なのか地方分権なのか、様々なモザイクが出てきますと、地方の財源はどうするんだ、人口も減っていく中で国土を守るのはどうするのが、次回さらに伺っていきたいところです。
藤田：僕の方からのご提案として、国防のハード、ソフトの面、それと経済の面もあると思うんです。エネルギー情勢が変わろうとしている。これが変わると国防の有り方もかなり大きく変わる可能性がある。
佐々：石油依存、石油はいつまで頼れるのかということですね、なんとかエネルギーで自立、自己防衛できるように。
やまもと：兵站ですよね
佐々：かりに勇ましく考えて、尖閣について安保条約第3条に基づいて自力で防衛をしたとしましょう。でも今、弾薬が1.5回戦分しかないんです。
やまもと：いざそうなってみると、恐ろしいことですね
佐々：せめて3日間戦えるようにしてくれ、財務省、弾頼むよって私は主張し続けているんです。今、1回戦、中国の海・空軍と通常戦力で戦うと日本は圧勝です。だけど残余の勢力として2回戦目が出てきたと、この時は我が航空戦闘機、護衛艦、積むべき弾薬は８トンしかないんです。３回目が攻めてきた時は弾がないんです。いかにイージス艦６隻持っていたって防ぎようがない。
せめて３日間戦えるようにしてくれ、それは理由があります。日米安保条約の了解事項で、大規模な侵攻に対してアメリカの大規模な来援を期待するとなっているんです。ベトナム戦争のころなら、アジアに80万の兵力がいたころ空母6隻、航空機2000機、陸は何個師団かがベトナムにいた。
当時はインド洋に展開している第７艦隊が戻ってくるのに空は時間で来る。海は日にちといったんです。ハワイの第３艦隊が応援にくる、これは日にちだと。陸は月単位。どんなに早くてもハワイの25師団が来るのは1か月。ワシントンの第9師団だともっとかかる。だから陸は沖縄の海兵1個師団で戦わなければいけないなというのが、アメリカの大規模来援の規模だったんです。それが今はアジア削減で空母１隻、航空機2000機。空が日になって、海が週に、陸は来ない。
やまもと：来ないですか
佐々：来るかもしれないけど１か月後です。だから３日は日本が自力で戦わないと。その前に日本がダウンされちゃうと安保条約は適用されませんから。これが僕らの安全保障政策ですけどね。
やまもと：残念な感じで、今日はおひらきに。
これまでの放送
・第１回 尖閣諸島問題から日本のシーレーンをどう考えるか？・第２回 韓国情勢とスパイ事情なう
・第３回 日本は領土・領海を守れるのか
出演者プロフィール
佐々淳行（さっさ あつゆき）初代内閣安全保障室長。
1930年生まれ。東大法学部卒業後、国家地方警察本部（現警察庁）入庁。在香港日本国総領事館領事、警察庁・警視庁の調査・外事・警備課長、 監察官などを歴任。1977年からは防衛庁に出向、防衛審議官、官房長、防衛施設庁長官などを歴任。1986年には内閣安全保障室長を務める。1989年、昭和天皇大喪の礼を最後に退官。
現在は、各省庁委員会の委員などを務めるかたわら、講演・執筆を通じて、「危機管理」思想の普及・啓蒙活動・政策提言を行なっている。
・佐々淳行ホームページ
藤田正美（ふじた まさよし）
ジャーナリスト。『ニューズウィーク日本版』元編集長。
1948年生まれ。東京大学経済学部卒業後、『週刊東洋経済』の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年、『ニューズウィーク日本版』創刊プロジェクトに参加。1994年～2000年、同誌編集長。2001年～2004年3月同誌編集主幹。インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテータとして出演。2004年4月からはフリーランスとして現在に至る。
著書に、「ドル帝国の崩壊」（監修）がある。
・@m_fujita2332 - Twitter
・藤田正美の世の中まるごと”Observer”
・藤田正美の時事日想 - Business Media 誠
やまもといちろう
ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
1973年生まれ。1996年、慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2000年、イレギュラーズアンドパートナーズ株式会社を設立。
著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」、「リーダーの値打ち 日本ではなぜバカだけが出世するのか？ (アスキー新書)」など。
・@kirik - Twitter
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木次真紀（こつぎ まき）
フリーアナウンサー。
1974年生まれ。元山陰放送アナウンサー。
・マイペース！ マイリズム！ 楽しく幸せにイキマショ！
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