自動車のカラーバリエーションが広がっているようです。白・黒・グレー・シルバーの4大「無彩色」は依然として大きなシェアを占めるものの、「有彩色」のシェアが拡大。ついに世界でシルバーが有彩色に抜かれました。

大きくシェアを伸ばした有彩色とは

 世界の自動車カラーのシェアに大きな変化が起こっているようです。2022年1月6日(木)、ドイツに本拠を置く自動車塗料メーカーのBASFが、2021年版のカラーレポートを発表しました。


クルマのカラーバリエーションが広がっている。写真はイメージ(画像:welcomia/123RF)。

 同社は毎年、過去1年間に全世界の新車に使用されたOEM塗料の色別シェアをまとめています。自動車カラーの定番といえば、白・黒・グレー・シルバーの「無彩色」。この4大カラーは2021年も世界で77%のシェアを持つものの、ある「有彩色」のシェアが拡大し、ついにシルバーを上回りました。

 その有彩色は「ブルー」です。

 BASFの2020年版レポートでは、シルバー8%に対しブルー8%と拮抗していましたが、2021年版はシルバー8%に対しブルーが9%になりました。

 BASFは今回、ブルーが人気を拡げるとともに、「レッドもまた人気が高まっており、世界の多くの地域で無彩色のシェアを奪っています」としています。

 地域別で見ると、EMEA(欧州、中東、アフリカ)では新車全体の27%に有彩色が使用され、なかでもブルーが14%でトップ。次いでレッドが7%です。相対的に無彩色のシェアが下がっており、ブルーはブラックの15%に、レッドもシルバーの9%に拮抗しつつあります。

なぜ有彩色人気に? 産業的な影響も

 BASFは世界全体の傾向について次のようにまとめています。

「2021年には自動車産業も回復するだろうという見方もありましたが、結果的にはこれまでにない新たな課題に直面することになりました。2020年と2021年に世界中の組立ラインで製造された自動車の総台数は、前年比で大幅に減少しました。そのため、世界各地で特定のカラー領域の人気がより鮮明になる一方で、長年人気があったカラー領域に陰りが見られました」


トヨタの燃料電池車「MIRAI」。ブルーは新エネルギー車のキーカラーに使われるケースが多い(画像:トヨタ)。

 なかでもブルーは、空や海を思わせるクリーンなイメージから近年、HV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)のアイコンカラーとして多用されてきました。それだけでなく、BASFジャパンのカラーデザイナーである松原千春さんは「かわいくなりすぎず、女性も選びやすい色」と話していました。

 ちなみに、世界のなかでも南米などはやや傾向が異なります。南米における色別シェアは、ホワイト40%、グレー18%、シルバー17%、ブラック10%、レッド6%、ブルー5%、ベージュ3%の順。鮮やかな色が好まれる傾向があり、無彩色のなかでもブラックのシェアが最低で、ブルーよりもレッドの方が好まれているようです。そのなかでも、ブルーのシェアは増加したといいます。

※一部(曜日表記)修正しました(1月10日9時40分)。