縦折りスタイルでファーウェイも「スマホの大型化」に参入、P50 Pocket登場
ファーウェイから「P50 Pocket」が発表になりました。サムスン、モトローラに次ぐ縦折り式のディスプレイを搭載した製品で、ディスプレイのサイズが2社製品より大きい6.9インチ。アスペクト比は21:9ながらP50 Pocketの開いたディスプレイサイズは、もはや一般的なスマートフォンの大型モデルと変わりません。こうなると「使わないときは縦にたたんでおく」スマートフォンも十分アリだなと思わせてくれます。
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ファーウェイは、例年春に「Pシリーズ」、秋に「Mateシリーズ」、間を縫うように「novaシリーズ」と3つの大きな柱がありましたが、2021年は夏にようやく「P50」「P50 Pro」が発売され、12月に「nova 9」「nova 9 Pro」が登場しています。ちなみにnova 9 Proはフロントに3200万画素カメラを2つ搭載するセルフィーモンスターで、novaシリーズの位置付けを明確にした製品になっています。
ネット上のうわさでは「Mate 50が2022年春に出るかも」といった話も聞かれますが、今のファーウェイの状況からするとカメラフォンのPシリーズを出すだけでも精いっぱいでしょう。novaシリーズはミドルハイレンジかつセルフィー重視のサブモデルとして展開を続けていくかもしれませんが、最新のチップセットやカメラを搭載するフラッグシップという位置づけのMateシリーズを出す余力があるようには思えません。
むしろサムスンがフラッグシップ機を折りたたみディスプレイ搭載の「Galaxy Zシリーズ」としたことで、Mateシリーズは「Mate X2」に代表される、折りたたみスマートフォンとして名前が引き継がれていくとも考えられます。
なお、今回登場したP50 Proも縦折りとはいえこちらも折りたたみ式。そうなるとMateの名前を付けてもおかしくないのかもしれませんが、新たに3200万画素のスーパースペクトラムカメラを搭載するなどカメラが強化されています。よってMateではなくPシリーズとして登場したのです。カメラ回りのデザインもP50、P50 Pro、P50 Pocketと3機種とも同じ外観に統一。大きな円を上下に配置したデザインを見れば「ファーウェイのカメラフォンだ」とわかるわけですね。
さてP50 Pocketの発表会では、ライバルとしてサムスンの縦折りスマートフォン「Galaxy Z Flip3 5G」が比較されたのは当然として、形状も性能も異なるアップルの「iPhone 13 Pro Max」もサイズやカメラが性能比較対象になっていました。P50 Pocketを開いた大きさはiPhone 13 Pro Maxよりも「薄く・幅が狭く・軽量で大画面」。縦折り式のスマートフォンは折りたたむとコンパクトになることが大きな特徴ですが、P50 Pocketはむしろ開くと大画面になることをアピールしようとしているのです。
ちなみにP50 Pocketと同じディスプレイアスペクト比21:9のスマートフォンと言えば、ソニーの「Xperia 1 III」が代表製品ですが、ディスプレイサイズは6.5インチ。より大きいディスプレイを搭載しようとするなら本体サイズも縦方向に長くなってしまいます。そのためXperiaはディスプレイをこれ以上大きくすることが難しそうです。
5G時代はいずれ動画コンテンツもフルHDから2Kや4Kへ、そして16:9から21:9へと移行するでしょう。そういった点でP50 Pocketは、シネマサイズで大画面化を実現した「5G時代のスマートフォン」と呼べる存在でもあるのです。ただ、Snapdragon 888を搭載しながらもアメリカの規制により通信速度が4Gまでとなっているのは残念なところ。
折りたたみスマートフォンは、横折り式のモデルなら「開けばタブレット、閉じればスマホサイズ」がうたい文句です。ところが実際、筆者はGalaxy Z Fold3 5Gを開いた状態で使っていることがほとんどです。つまり普段は小型タブレット、移動中はたたんで小さいサイズで持ち運ぶ、という使い方をしているわけです。
縦折り式のスマートフォンもたためばコンパクトサイズになるものの、P50 Pocketが提唱しているのはむしろ開いた状態で使うことであり、たたまずそのまま使っても普通のスマートフォンとして使える点が大きな特徴とも言えるのかもしれません。そして大きいサイズが持ちにくいと思った時はいつでも折りたたんでポケットに入れることができるのです。
P50 Pocketは、Galaxy Z Flip3 5Gやモトローラの「razr 5G」より大画面かつ高性能カメラを搭載し、スタイリッシュなデザインで「縦折りスマホ最高の製品」と言えそうです。
ファーウェイの横折り式スマートフォン、Mate X2は価格が高すぎることもあってGalaxy Z Fold3 5Gのライバル機にはなりえませんでした。しかし、P50 Pocketは、Galaxy Z Flip3 5Gを十分打ち負かせるほどの製品に仕上がっています。P50シリーズはグローバル投入されませんでしたが、nova 9シリーズは中国以外での販売も始まっています。P50 Pocketの各国への展開が今後どうなるのか、ファーウェイの動きを注視したいところです。
