あんこコーヒーで健康に、元気に

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コーヒーもあずきもそれぞれ、さまざまな健康効果がわかっていて、医師の立場からおすすめできる食品です。意外な組み合わせに思われるかもしれませんが、あんことコーヒーは相性がよく、相乗効果も期待できます」

こう話すのは、福岡県みやま市にある工藤内科の院長、工藤孝文先生だ。工藤先生は、これまでにも「緑茶コーヒー」など、手軽に摂れて健康によい組み合わせを数多く提案してきた。

そんな工藤先生が今回新たに紹介するのは“和”のあんこと“洋”のコーヒーを組み合わせた「あんこコーヒー」。

「この組み合わせに驚く人もいるかもしれませんが、あんこコーヒーは、名古屋や一部の地域ではわりと親しまれています。名古屋発祥のコメダ珈琲店では『小豆小町』として通常メニューにありますし、スターバックスも今夏、愛知県限定で『愛知でらうみゃあんこコーヒーフラペチーノ』を発売しました。ですから、あんことコーヒーの組み合わせは突拍子もないものではないのです」(工藤先生・以下同)

■レジスタントスターチは腸内環境を整える最強食材

和菓子に欠かせないあんこは、日本人にとって親しみ深い食材だ。

あんこの原料であるあずきは、もともと食物繊維が豊富で、ごぼうの約5倍、さつまいもの約9倍の量が含まれているといわれている。また、ゆでると、あずきに含まれるでんぷんがレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)に変化し、食物繊維の量も5割増しになるのだそう。

「食物繊維には腸の善玉菌の栄養になる水溶性と、腸にたまったゴミを掃除して排せつさせる不溶性の2種類がありますが、レジスタントスターチは、この両方の機能を兼ね備えていて、腸内環境を整えながらしっかりと栄養を与えることができる、“最強食材”なのです」

また、レジスタントスターチには、糖尿病や肥満を防ぎ、脂質異常症の改善を促す働きもある。

そのほかにも、あずきにはタンパク質、カリウム、ビタミンB1や葉酸などのビタミン類、鉄分、あずきの赤色を出すサポニンやイソフラボンなど、さまざまな栄養素が含まれている。

「カリウムにはナトリウムを排出して血圧を下げたり、むくみを軽減する働きがあり、ビタミンB群は脳神経の働きを助け、疲れにくい体にしてくれます。サポニンには抗酸化作用に加えて、活性酸素を除去してシミやシワなどを予防するアンチエイジング効果、悪玉コレステロールを下げて血流を改善する働きがあることわかっています」

さらに、鉄分は貧血の予防や改善、イソフラボンは女性ホルモンのバランスを調整し、更年期症状を緩和したり、骨粗しょう症や冷え性の予防に有効に働く。

つまり、あずきは健康だけでなく、美容面でも頼りになる優秀な腸活食材なのだ。

一方のコーヒーはというと、カフェインの覚醒作用がよく知られているが、ほかにも大腸を刺激して便痛を改善させる効果があるといわれている。さらに、コーヒーにはポリフェノールのクロロゲン酸も豊富だ。

「クロロゲン酸には抗酸化作用だけでなく、血糖値の上昇を抑えたり、脂肪を燃えやすくして動脈硬化の予防にも有効に働きます」

また、腸内の善玉菌のエサとなって、腸内環境を整えるコーヒーオリゴ糖にも注目したい。

■あずきとコーヒーの組み合わせに抗酸化作用が

このように、あずきもコーヒーも、それぞれの健康効果は単体でも十分優秀なのだが、整腸作用、血糖値コントロール、動脈硬化抑制、抗酸化作用など、組み合わせることで相乗効果を発揮する。

「特にコーヒーのクロロゲン酸とあずきのサポニンとイソフラボンのポリフェノールは、一緒に取ることで抗酸化作用が高まり、老化防止の働き、美肌効果が倍増します」

健康だけでなく、美容の観点からもおすすめしたいあんこコーヒーだが、作り方はとても簡単。

ブラックコーヒーにスプーン1杯のあんこを混ぜるだけだ。コーヒーはインスタントでもかまわないし、あんこは好みでこしあんでもつぶあんでもかまわない。あんこが沈みやすいので、飲むときはスプーンで混ぜながらあんこも食べきりたい。

実際の味はというと、ほんのりとあんこの香りが混ざった、柔らかい甘さのあるコーヒーといった感じ。

ただ、あんこには砂糖が入っているので、入れすぎには気をつけよう。ブラックコーヒーが苦手な人はミルクや豆乳を少し加えてもよい。小腹がすいたときのおやつにもなる。最初は意外な組み合わせに思えるが、慣れてくると飲みやすくなる。

寒さが厳しくなるこれからの季節に早速、試してみよう!