新生ラツィオとウルトラスに不穏な空気! ヒサイとムリキがやり玉に…

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マウリツィオ・サッリ監督率いる新生ラツィオだが、クラブとサポーターの関係性はあまり良好とは言えないようだ。

昨シーズンのセリエAを6位でフィニッシュしたラツィオは、インテルに引き抜かれたシモーネ・インザーギ前監督の後任としてサッリ監督を招へい。先日のプレシーズンマッチでは快勝を収めるなど、大きくチームスタイルが変わった中で上々の滑り出しを見せている。

その一方で、一部選手を巡ってクラブとウルトラスの関係が悪化している。

昨シーズン限りでナポリを退団したアルバニア代表DFエルセイド・ヒサイは、エンポリ、ナポリ時代に指導を受けた恩師を追って今夏にラツィオに加入した。

本来であれば、新指揮官の戦術を深く理解し、セリエAでも経験豊富なサイドバックの加入はウルトラスにとっても歓迎すべきもののはずだったが、新シーズン恒例の新加入選手を歓迎するクラブの夕食会で問題が発生した。

ヒサイはこの場で新たなチームメイトを前に歌を歌い、その様子をスペイン代表MFルイス・アルベルトが自身の公式SNSで投稿した。

ただ、この時に歌っていたNetflixで配信中のスペインのテレビドラマシリーズ『ペーパー・ハウス』のテーマソングとして知られる“Bella ciao(さらば恋人よ)”が、ファシストを自認するラツィオのウルトラスの怒りを買ってしまった。

この曲はイタリアの独裁者として知られるベニート・ムッソリーニと対峙したイタリアパルチザンによって歌われた楽曲で、反ファシスト党による自由とレジスタンスの賛美歌として歌われるようになったものだ。

そのため、ヒサイに対してウルトラスはローマで最も目立つ場所の1つであるコルソフランシアの橋に、ヒサイを侮辱するスラングと共に「ラツィオはファシストだ」と書かれたバナーを掲げた。

さらに、一部の過激なサポーターは夕食会が行われたレストランに乗り込もうとしたが、すでにチームがレストランを去っていたことで両者が対峙することはなかった。

なお、今回の一件に関しては意図的ではなかったといえど、ウルトラスを刺激したヒサイの落ち度を指摘する声もあるが、クラブは「プレーヤーを保護し、個人的および政治的利益のために使用されている状況からプレーヤーを排除するのはクラブの仕事だ」との声明を発表。クラブとしてヒサイを保護する旨を伝えた。

また、ヒサイと同様にサポーターのやり玉に挙がっているのが、コソボ代表FWヴェダト・ムリキだ。

ヒサイと異なり、ムリキはサポーターを挑発するような行為は働いていなかったが、昨夏にフェネルバフチェから加入したものの、デビューシーズンにセリエA1ゴールに終わったパフォーマンスが批判を招く結果に。

先日の公開練習ではウルトラスを中心に一部サポーターが、ムリキに対して絶えず罵詈雑言を浴びせかけると、激高したサッリ監督がサポーターの陣取る場所まで向かい、「これ以上、ムリキに何か言ったら全員追い出すぞ」と一喝する一幕もあった。

こちらに関してはピッチ上での貢献によって批判を称賛に変えていくしかないが、ヒサイ同様にサポーターとの関係性は気がかりなところだ。