コロナ禍の就活がうまくいかない人の特徴とは (写真:EKAKI/PIXTA)

共同通信社によると、2022年卒入社の新卒採用に関して、採用数を2021年度実績より減らすと回答した企業は、110社中24社(22%)に上ったという。コロナ禍の影響が直撃した2021年度は、半数近くの企業が採用実績を減らしており、不況が続く業界を中心に引き続き採用を控える動きが続いている。


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筆者は、UZUZという就職エージェント会社で、新卒から20代の若手社会人向けの就活サポートを行っている。現場で2020年に始まったコロナ禍の影響を見ていると、共同通信社の調査同様、企業は新卒採用に慎重な姿勢を維持しており、しばらくは採用ハードルが上がることが予想される。

そのため、何となく就活するのではなく、「コロナ禍に合わせた就活」にシフトしなければ、就活をうまく進めることができないと考えている。ここでは、現場で就活サポートをしていて感じる「コロナ禍で就活がうまくいかない人の特徴」を紹介することで、就活生に少しでも警鐘を鳴らせたらと思う。

コロナ禍で就活がうまくいかない人の特徴

1. 情報収集が「口コミ」に偏重

就活において、情報収集は確かに大切だ。しかし、情報収集はあくまでも「行動するため」に必要なものであって、「情報収集で行動が完結(情報収集ばかりで行動がともなわない)」してしまってはいけない。また、情報収集のやり方を間違えると、収集した情報によって、行動から遠ざかってしまうおそれすらある。

現場で就活サポートをしていると、情報収集によって求人企業への不信感が募り、エントリーできずに活動が止まってしまっている人と会うことがある。特に「口コミ」にばかりにかたよった情報収集を行っている人は、企業のネガティブな情報ばかりを目にしてしまい、どの企業もブラック企業に見えてしまう。

冷静に考えてもらえばわかるのだが、就活の口コミサイトというのは「ネガティブな情報の溜まり場」だ。ポジティブな口コミもないわけではないが、基本的にはネガティブな感情のはけ口として使われているケースが多い。今までに選考を受けた人や会社を退職した人が、会社のポジティブな口コミをわざわざ書き込むケースは少ないと予想できる。

少し話は変わるが、就職サービスやエージェントを探す際、口コミサイトや紹介サイトを参考にする人がいる。しかし、その中には「アフィリエイトサイト」という広告サイト(広告主がお金を払って掲載、良い情報を載せてもらうサイト)の場合がある。

このように「口コミ」によって収集できる情報には、生の貴重な情報がある一方、ネガティブな情報や中立な立場ではない人が書き込んだ情報も混ざっている可能性が十分考えられる。取り扱いには注意が必要だと言える。

口コミサイトによって行動できなくならないよう、就活生には次のようなアドバイスをしている。

・口コミでネガティブ情報を収集したら、ポジティブ情報を意図的に収集する(バランスを取る)
・社員数が多い企業はネガティブな情報が多くなることは当然なので、「口コミ数」ではなく「口コミ率(口コミ数/社員数)」で評価する
・情報収集する際は「アフィリエイト(広告)サイト」かどうかを確認する

少しくらい条件に合わなくても「受けてみる」

2. 企業選びのハードルが高く「受け惜しむ」

受ける企業を選ぶ際のハードルが高すぎる「受け惜しみ人材」も就活では失敗しやすい。私は就活サポートを行う場合、自分の仕事選びの条件の6〜7割満たしていれば、その求人を受けるようアドバイスしている。条件を満たしている度合いがさらに低くても、時間に余裕があるのであれば、受けた方が良いとさえ思っている。

なぜかというと、選考を受けることには、次の2つのメリットがあるからだ。

・選考を受けることで、「選考経験値」を高めることができる(面接は練習よりも実践から学ぶことのほうがはるかに多い)
・企業ホームページや採用情報だけではわからない情報を選考時に収集できる(特に企業や働いている人の雰囲気は、実際に選考を受けないと収集しづらい)

最終的に「内定をもらえた企業」の中からしか入社企業を選べないことを考えると、条件を「十分満たす企業」だけでなく「ある程度満たす企業」も受けておいて損はない。多くの企業の選考を受けたほうが内定企業を増やすことができるし、選考中に情報収集ができることから、入社する企業を決断する際、より精度高く選ぶことができる。

手当たりしだいに全部の企業を受けろとまでは言わないが、「受け惜しむ」くらいなら「受けてみて判断」したほうがチャンスを逃さないので、おすすめだ。

3. 相談相手がいない

就活において情報収集ばかりしている人は失敗しやすいと前述したが、これは「情報の重要性」を否定しているわけではない。就活において、情報は非常に重要だ。

就活がうまくいかない人には「相談相手がいない」人が多い。同じ立場の就活生だけでなく、エージェントやOB/OGのような、仕事や就活の情報をより多く持っている人に相談できる人は就活をうまく進めやすい。就活について相談したり、情報収集する相手がいる人はその分、有利といえるだろう。

相談相手がいることには、もう一つ大きなメリットがある。それは、就活がうまくいかない場合でも、相談によってストレスを溜め込まないで解消できる点だ(相談というよりも愚痴や弱音を吐くことでストレスを解消し、精神を安定させる)。

孤独な状況で就活がうまくいかないと、モチベーションが下がってしまい、自信も喪失してしまう。本来であれば就活がうまくいくはずの人が、「孤独な就活」によって精神的に追い込まれてしまい、失敗するケースを数多く目にしてきた。

コロナ禍において、相談相手を探すことは一層難しくなっている。最近では就活生同士がTwitterの就活アカウントでつながったり、OB訪問支援サービス「Matcher」といったサービスで社会人、OB/OGとつながりを持つ人が増えている。このように、「相談相手を作る」ことも就活の必要事項と捉え、主体的に進めていくことが重要だと言える。

自分のやりたいことだけで選んでいないか

4. 仕事選びが「自分ニーズ」だけで「市場ニーズ」がない

これはコロナ禍になる前の「売り手市場」の頃から発生していたのだが、仕事選びが「自分ニーズ(自分のやりたいこと)」だけになってしまっている人は就活に失敗してしまう。「自分のやりたいこと」を仕事選びの条件として取り入れること自体は問題ないのだが、市場ニーズを完全に無視してしまっては、なかなかうまくいかない。

就活は、あくまでも「求職者と採用企業のマッチング」なので、市場ではどんな仕事(ポジション)にニーズがあり、企業はそのポジションにどのような人材を求めているのかを把握したうえで就活を進める必要がある。特にコロナ禍のような不景気の中では、「自分ニーズ」よりも「市場ニーズ」を優先して就活するくらいのスタンスが重要だ。

市場ニーズがないとそもそもの採用枠が少ない(選考倍率が上がる)だけでなく、不景気では雇用が不安定になる。自分がやりたいことであっても、就職できない、就職してもリストラになる可能性が高い仕事であれば、選ぶべきではないというのが私の意見だ。

5. 様子を見ていて初動が遅い

これはコロナ禍以前にもあったことだが、コロナ禍によって「とりあえず様子を見よう」という人がさらに増えたと感じている。

「コロナ禍の影響が判断できない」「何から手をつけていいかわからない」と言って様子を見ている人たちは、即行動に移している人たちに大きな差をつけられてしまう。

就活は以前にも増して早期化しており、採用解禁の3年生の3月よりもかなり前から選考インターンに参加し、内々定をもらう学生だけでなく、1年次や2年次から企業で長期インターンシップ(企業アルバイト)をしている学生すら出現している。

「様子を見る」という表現は、どちらかと言うとポジティブな表現として認識されているが、こと就活や仕事においては、「様子を見ている余裕」などない。何の狙いもなく様子を見るくらいなら、「やってみて情報収集する」ほうがはるかに効果的だ。コロナ禍のように周りの動きが見えない状況下においては、自分で行動し、情報を収集していく姿勢がより一層重要になる。

コロナ禍でも大事なことは変わらない

このように、コロナ禍での就活がうまくいかない人には共通の特徴がある。しかし、実はこれらの特徴は「通常時の就活」においても避けたほうがいいものばかりだ。

結局、次のように行動している人が就活で結果を出すことができる。

・情報収集だけが目的になっておらず、「行動につながる情報収集」ができている
・選択肢や情報収集の機会を少しでも増やすため、「選考を受けるハードル」を必要以上に上げない
・相談できる人を、受け身ではなく、自ら探している
・「自分ニーズ」よりも「市場ニーズ」に重きを置いて活動している
・「ただ何となく」様子を見ない(状況が読めなくても行動しながら活路を見出す)

もし、現在の就活がうまくいっておらず、悩みを抱えている人は、YouTubeのUZUZ就活チャンネルや、Twitterで相談を受け付けているので、相談してみてほしい。

就活は孤独な戦いだ。だからこそ、相談できる相手を自分で探し、悩みを一人で抱え込まないで済む環境づくりが重要だ。就活がうまくいっていない人が、少しでも今の状況を好転させ、納得いく就活をしてもらえればと思う。