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歩合給から残業代相当額を引く仕組みが、事実上の「残業代ゼロ」であるとして、タクシー大手・国際自動車(kmタクシー)のドライバーらが未払い残業代を求めていた訴訟について、労働者側が3月10日、和解成立を発表した。

労働者198人の請求を全面的に認めるもので、会社側が解決金として計約4億円を支払う。4つの訴訟があり、和解日は2月4日に2件、9日と22日に1件ずつ。

この裁判では、仕事の能率を評価するとして、売上高に応じた歩合給から残業代相当額を引く「能率給」の是非が争われていた。

下級審の中には、名目上は法定の金額を下回っていないことなどから合法とした判決もあったが、最高裁は2020年3月30日、法定の時間を超えた労働に対する割増分として支払われるという労働基準法37条の本質から逸脱するなどと判断。そのうえで、残業代の金額を審理するため、高裁に差し戻していた。

●「成果か、時間か」の議論の中で…

成果で評価すべきなどとして、昨今は労働時間に応じて発生するという残業代の仕組みに疑問を投げかける声もある。

この点について、労働者側代理人の指宿昭一弁護士は、「労働時間に応じてきちんと払えとした最高裁の判断は重い」と改めて判決の意義を述べた。

そのうえで、会社の対応について、「最高裁判決を全面的に受け入れて、労働者の請求をすべて認める形で和解を成立させたことは評価できる」と話した。

なお、同社の賃金制度は最高裁判決が出る前に改められている。