現地へ行くよりおもしろい!? 話題のオンラインいちご狩りを体験!
話題のオンラインいちご狩りとは?
例年であれば、3月はいちご狩りシーズンの真っ只中ですが、自粛ムードが高まる昨今は農園にお出かけするのがむずかしい状況です。2021年はいちご狩りを断念する、というご家庭も多いことでしょう。
しかし、そんな状況のなかでも注目を集めているいちご狩りが存在します。その名も「オンラインいちご狩り」。オンライン会議アプリ「zoom」を使ったサービスで、画面越しで農園の方のアテンドを受けながら、自宅でいちご狩りを擬似体験できます。小さな子どもがいる家庭でも参加しやすいと好評なんだとか。
私が体験したオンラインいちご狩りは……
参加したのは、岡山県笠岡市にある「しあわせ届けるいちご農園HappyComeCome」のオンラインいちご狩りです。
この農園の代表・塚口さんはもともと介護士として働いていて、農園をスタートしたのは4年前。末っ子の幸来ちゃんが障害をもって生まれたことをきっかけに、障害者の就労支援ができる場所を作ろうと農業をはじめたといいます。
とにかく土にこだわり、旨味がしっかりのったいちごが好評。通常なら株で増やすいちごを種から栽培するなど、先進的な取り組みにもチャレンジしている農家さんです。
現在は、種子繁殖型の新品種「よつぼし」をはじめ、約10種類のいちごを栽培中。女性に人気の「あきひめ」やジューシーな果肉の「恋みのり」など味わいもさまざまで、老若男女問わず、好みのいちごを見つけられます。
「しあわせ届けるいちご農園 HappyComeCome」のオンラインいちご狩りでは、30分間のいちご狩りを体験後、2パック分のいちごを自宅へ郵送してもらえるとのこと。ひとり当たりの体験料は3,500円(税・送料込)です。
想像以上の臨場感!オンラインいちご狩り体験レポート
オンラインいちご狩りは、農園の特徴をまとめた短めのムービーからスタート。ちなみに「しあわせ届けるいちご農園HappyComeCome」のある笠岡市は、岡山県でも一、二を争う生産地です。
ムービーが終わると、いちごの品種についての簡単な説明。塚口さんによると、「しあわせ届けるいちご農園HappyComeCome」ではさまざまな品種を育てており、20度以上の糖度を誇る、とてつもなく甘いいちごもあるそうです。スーパーで一般的に市販されているいちごの多くは10度くらいらしいので、かなりの差がありますね。
時期に応じて品種は変わりますが、この日は新品種「よつぼし」のいちご狩りを体験できるとのことでした。名前の通り、4つ星級の品質を誇る品種だそうで、あとでいただくのが楽しみです。
加えて、「参加者が食べ比べを楽しめるよう、珍しい白系の品種も数個入れて送るので、楽しみにしていてくださいね」と塚口さん。
いよいよいちごが育つハウスの中へ
ひと通りの説明を聞いたらさっそくハウスへ移動! 60mもの長さがあるというハウスを移動していく様子は何とも臨場感があって、思わずドキドキしてしまいました。
そんななかでも目を引くのが、ハウスのあちこちになっている真っ赤ないちご。気になったいちごがあれば、塚口さんが代わりに摘んでくれるのですが、どれもこれもおいしそうで、迷ってしまいます。
普通のいちご狩りは、近くに実ったいちごを手当たりしだいに収穫して、食べておしまいという場合がほとんど。オンラインいちご狩りの場合、その場で食べることはできませんが、農園の方からいちごに関するいろいろな話を聞かせてもらえるという魅力があります。
たとえば、おいしいいちごの見極め方。甘みの強いいちごを食べたいときは、先端からヘタまで真っ赤なものや、種が緑ではなく赤く染まっているものを選ぶと良いそうですよ。さらに「スーパーで買うならヘタが立っているいちごを選ぶと鮮度が高くておいしい」なんて話も聞かせてもらえました。
こういうヘタから種の部分までがぐっと伸びたいちごは、スーパーなどで販売される商品の規格からは外れてしまいますが、じつはとても甘みが強くおいしいいちごなのだそう。いちご狩りだからこそ見たり食べたりできる逸品です。
オンラインで教わった「いちごを上手に摘む方法」
オンラインいちご狩りでは、画面越しにいちごが選べるだけでなく、いちごを上手に摘むコツを詳しく教えてもらえました。無造作にいちごを引っ張ってしまうと、株元が傷んでしまうそうです。
ではどうやるのかというと、上画像のように、上から手を差し入れて、手首をゆっくり手前に折る。画面で見る塚口さんの動きをマネしてうちに、一緒に収穫しているような気分になりました。
こちらは完熟の状態がわかりづらいという白い品種のいちご。プロの目があれば、食べ頃をしっかり見極め、おいしいいちごだけを摘んでもらえます。
「少し赤みがかかった白いちごは甘みが際立ち、若干青っぽい状態の白いちごはマスカットのようにさわやかな口当たりなります」と塚口さん。自宅で味の食べ比べができるようにと、両方の白いちごを収穫してくれました。
マンツーマンに近い状態でいちごを選べるのは、ほかにはないプレミアムな体験と言えますね。
塚口さんのTシャツをよく見ると……
じつはこの日の塚口さんが来ていたTシャツには“SLAVES(奴隷)”の文字が。
「お客さまの代わりにいちごを狩る奴隷なんです(笑)」
と、茶目っ気たっぷりな塚口さん。始終、楽しい雰囲気でオンラインいちご狩りを体験できました。
あっという間に時間は過ぎて、気づけば2パック分のいちごが箱の中に。
いちごの選び方や収穫の仕方だけでなく、いちご栽培の特徴やおいしい食べ方まで伝授していただけて、いちごについてだいぶ詳しくなれた気がします。
いちご農園の塚口さんにオンラインインタビュー
オンラインいちご狩りの体験後、少し時間をいただいて、オンラインいちご狩りについて、塚口さんに聞きました。
塚口さん:
「オンラインいちご狩りをはじめたのは、たまたまオンライン会議アプリ『zoom』の研修を受ける機会があったからです。新型コロナウイルスの影響で、いちご狩りの体験にいらっしゃれないお客さまが多いので、何かできることはないかと思い、はじめてみました」
塚口さん:
「『オンラインでいちご狩りなんておもしろいの?』と思う方も少なくないでしょうが、実際に参加された方からは『楽しかった!』という声をいくつもいただいています。
ご家族で参加される方が多く、質問攻めにあったことがあります(笑)。お子さんからは『どんないちごがおいしいの?』といった質問や、年配の方だと『土はどれくらい寝かせるの?』といった栽培に関するアドバイスを求められることも。
30分が終わるころには、いちごについてかなり詳しくなっているはず。食育という意味で参加されるご家庭も多いように感じています」
ーー子どもにとって、生産者に直接話を聞ける貴重な機会。食育として見ても、確かに魅力的なサービスですね。今後の展開は?
塚口さん:
「お客さまから大変好評をいただいているので、自粛ムードがおさまってもオンラインいちご狩りは続けようと思っています。
関東を中心に、遠方の方のお申し込みが多いので、たくさんの人にいちごのおいしさを知っていただく良いきっかけになるのではないかと。
3月はいちご狩りのシーズン真っただ中。4月に向けていちごの量も増えますので、ぜひ多くの方に体験してほしいと思います」
オンラインいちご狩りを体験してみて
オンラインいちご狩りを体験した翌日午後には、自宅に2パック分のいちごが届きました。いちご狩りの体験中、塚口さんが「いちごは刺身と同じです」と話していたのですが、その言葉通り、鮮度の高いいちごは甘みや旨味、香りが強く、日頃スーパーなどで買って食べているいちごとの違いを感じることができました。
種がより赤いものは甘みが強かったり、同じ白いちごでも完熟度合いで爽やかさが異なったり。本当においしいいちごとはこういうものか……と感じながら、楽しんで食べることができました。このサービスを体験した利用者から「想像よりも遥かに楽しかった」「ぜひ多くの人に体験してほしい」という声が多いのもうなずけます。
場所を選ばず自宅で気軽に楽しめるうえに、小さい子どもでも楽しめるオンラインいちご狩り。これほど楽しく、有意義なサービスなら、今後は各地のいちご農園が参戦するのではないでしょうか。
そういえば、塚口さんも「ほかの農園さんが同様のサービスを始めたら参加したいです」と言っていました。いちご以外の果物狩りも含め、オンラインでのこうしたサービスは、コロナ禍の終息後も、新たなレジャーとして定着していく可能性が高そうです。
取材協力/しあわせ届けるいちご農園HappyComeCome
店舗名:しあわせ届けるいちご農園HappyComeCome
電話番号:0865-67-4425
最寄駅:JR西日本 山陽本線「笠岡駅」
郵便番号:714-0051
住所:岡山県笠岡市カブト東町196
市区町村:笠岡市
町域:カブト東町196
営業時間:9時~18時
定休日:不定休