略奪を繰り返す大海賊、華麗な手口で美術品を盗み出す大怪盗、政府打倒を目論む革命家、などなど。

世間を騒がせるお尋ね者に多額の懸賞金が掛けられるというのは、映画や小説なんかでもよく見る光景の一つだろう。

では、なぜ懸賞金を掛けるのか。答えは簡単、「なんとしてでも見つけ出したいから」だ。

そしてここにもまた、「なんとしてでも見つけ出したい」という思いから懸賞金を掛けられたモノたちがいた。彼らだ。


たしかに中々見つからないよね(画像はTaguNatsu(@NatsuTagu)さんのツイートより)

壁に張り出された8枚の手配書。手配書の上部には「WANTED」の文字があり、その下には、

「DEAD or ALIVE(生死を問わず)」

という穏やかではない添え書きが。掛けられている懸賞金の額も一律で1万ドル、日本円にして大体100万円ほどとかなりの高額だ。

さて、一体どんな大悪党なのかと思いつつ手配書をよく見てみると、本来は写真や人相書きなどがあるだろう部分には......え、片方だけの、小さな靴下?

実はこれ、家の中で片方だけが無くなってしまった子供用靴下の手配書だったのだ。

たしかに「中々見つからない奴ら」だ...。この手配書に対して、ツイッター上では、

「日常に遊び心を見出してて凄く良いですね!見習います!」
「最高です!!ウォンテッド増えていく予感しかないけどかわいい!」
「行方不明靴下、よくわかります......そして、指名手配のセンスの良さに驚くと共に、靴下の可愛らしさに癒されました」

といった声が寄せられている。

「靴下」じゃない、「賞金首」だ

話題になっているのは、奈良県下北山村在住で、糸のドローイング作品を制作する作家のTaguNatsu(@NatsuTagu)さんが2021年2月14日に投稿した画像。Jタウンネットは2月16日、TaguNatsuさんに詳しい話を聞いた。

注目を集めた「片っぽ靴下の手配書」は14日に自宅で作ったものとのことで、

「近頃、片方だけの靴下が増えてきていて困っていました。洗濯物を畳んでいるときに閃きました」

ときっかけを説明。その後、手配書を印刷して靴下と一緒に壁に貼ったという。ちなみに作る時には「サイズ感にこだわりました」とのこと。

「(実際に使ってみると)宝探しの気分で洗濯物を畳むことができます。おっ、こんなところに靴下の片方あったぞと嬉しくなりました」(TaguNatsuさん)


可愛い顔してとんだワルだ(編集部でトリミング)

ツイッターでの反響について、TaguNatsuさんは、

「同じ子育て世代のお母さんたちが反応してくれたのが嬉しかったです。

見方を変えると、毎日しんどい子育てがちょっと楽しいものに変わると思います。それが見てくれている方にも伝わったのが嬉しかったですし、やっぱりアートは人の心を豊かにするんだなと再認識出来ました。


わたしが個人的にツボに入ったリプライは、『私は伴侶が出てこない未亡人靴下を、また洗濯機に放り込むという無限ループをさせてる。』です。めっちゃ共感しました。


あと、色んなお家でうちの家の片方の靴下が見つかるのもツボでした」

とコメントしている。