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LIXILが実施した「家族時間の変化と住まいに関する調査」の結果によると、コロナ禍で家族時間が増加し、それによって“ファミリー・ルーティン”が変化したという。新たなルーティンとはどんなものか、詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】
「家族時間の変化と住まいに関する調査」を実施/LIXIL

コロナの流行前後で家族時間が増え、帰宅後すぐの入浴も増える傾向に

LIXILの調査で、「コロナ禍で以前と比べて家族の時間は変化したか」を聞いたところ、ほぼ4人に1人に当たる23.5%が、家族の時間が増えたと回答した。増えたと答えた人に聞くと、以前より1日あたり平均約4.4時間も増えている。家族時間が増えた比率を「在宅勤務」を実施している人に限ってみると、ほぼ3人に1人に当たる32.6%にまで高くなった。

では、家族時間が増えるとどうなるのだろう?調査結果を見ると、「家で家族と食事をする回数」や「掃除をする回数」などが増える傾向が見られた。

次に、仕事をしている人に、「帰宅後に行っていることの順番」を聞き、新型コロナウイルスの流行前と流行語でどう変化したかを比較している。流行前も流行後も、1番目に行っているのは「ご飯(食事)」だが、流行前(42.6%)よりも流行後(38.1%)のほうが減っている。逆に流行後に増えたのは、「お風呂(入浴)」で、17.8%→21.2%に増加している、

「子どもとの時間」や「自分の時間」にはそれほど大きな変化はなかったので、新型コロナウイルス流行後は、食事よりも入浴を優先させる傾向がうかがえる。

帰宅後に行っていることの順番(流行前と流行後の比較:有職者のみ)(出典/LIXIL「家族時間の変化と住まいに関する調査」より転載)

半数近い家庭で「帰宅後の消毒」と「定期的な換気」がファミリー・ルーティンに

「コロナ禍で増えた新しいファミリー・ルーティン(家族での約束・習慣)」について聞くと、「帰宅したら消毒」と「定期的な換気」が半数近くに上る家庭で行われていた。ほかにも、週末のまとめ買いや帰宅後すぐの着替え・入浴、飲食のテイクアウト、ネットショッピングの活用、使用後のモノの消毒が3位から7位になり、20%を超える比率に達している。

コロナ禍で増えた新しい家族の習慣(ファミリールーティン)として行っていること(複数回答)(出典/LIXIL「家族時間の変化と住まいに関する調査」より転載)

しかも、こうした新しいファミリー・ルーティンについては89.9%、つまり9割の人が今後も続ける予定と回答している。新しいルーティンは今後も定着していきそうだ。

玄関から洗面所までの13.3歩の間で、ウイルスや菌を持ち込む?

コロナ禍で、帰宅後の手洗い・うがいは必須になっているが、この調査で、いまの住まいの玄関から洗面所までの距離を聞いたところ、平均で13.3歩の距離だったという。

ちなみに、筆者のマンションの場合、玄関から洗面所の前まで6歩、中の洗面台までなら7歩ほどで行ける。実際に測ると洗面台まではほぼ3.5mだった。13.3歩ならこの倍近くになるので、ウイルスや菌を室内に持ち込むリスクのある距離は7m前後になると考えられる。特に、マンションよりも一戸建てのほうが、玄関から洗面所までの距離が長くなる間取りが多いと思われるが、意外にリスクは高いと思った。

となると、玄関でできるだけ消毒・除菌をして、室内に持ち込まないようにするのがカギになりそうだ。

コロナ禍で防音機能のニーズが高まる

調査結果で、筆者がもう一つ注目したのが、「防音機能が付いた部屋が欲しい」という結果だ。半数近い45.9%が欲しいというのは、かなり高い比率だと思う。家族時間が増えたことや在宅勤務が増えたことで、音を遮断したいというニーズが高まっているのだ。防音性能を高めるには、リフォームや住み替えなどを視野に入れる必要がある。

防音機能が付いた部屋が欲しいか(出典/LIXIL「家族時間の変化と住まいに関する調査」より転載)

コロナ禍で新しい生活様式が広がるにつれて、家庭それぞれのファミリー・ルーティンも変化している。そうなると、これまでは不満に感じなかった住宅の性能や間取り、設備などに不都合を感じるようになる。不都合を解消するには、模様替えなどをしてさまざまな工夫をすることも必要だが、大がかりなリフォームをしたり、別の家に住み替えたりする必要が生じることもある。

コロナがもたらした新しいファミリー・ルーティンは、住まいの新たな需要を生み出すことにもつながるようだ。


(山本 久美子)