女子会・ママ会、完全予防マニュアル

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「すでに緊急事態も明けたので、新型コロナウイルスの感染対策を十分にやれば、そろそろ女子会やママ友会は再開しても大丈夫だと思います」

【写真】マスクの内側に柄がある、“ユリコノマスク”を外す小池百合子都知事

 と話すのは、精神科医、産業医で作家の奥田弘美さん。

女性にはコミュニケーションが必要

 自粛要請期間中は、「ズーム」や「スカイプ」などオンラインでの飲み会や懇親会が注目されたが、久しぶりに外で友人と会いたいもの。

 緊急事態宣言やアラートも解除され、飲食店の営業時間も延長となり、徐々に日常は戻ってきている。

「そもそも女性はコミュニケーション能力が発達している人が多く、他者とのおしゃべりが上手です。たわいもない無駄話だとしても、女性は楽しめることが多いです。

 その中でストレスを解消したり、“そうだよね”と共感しあったり、慰めてもらったり、安心したり、“頑張ろうね”と、活力をもらうところがあります」(奥田医師)

 そこで、自粛期間中に夫や子どもの在宅で、家事負担が増えストレスをため込んだ女性たちにとり、それを晴らすイベントは必要となる。

 ただし、「密を避ける」「人が少ない時間帯」など条件をつけたうえで、奥田医師はこう注意を促す。

「60歳以上のかたや、呼吸器疾患、高血圧、糖尿病、がんなどの基礎疾患があるかたは、ハイリスクなので、控えたほうがいいと思います。もちろん、そのような人と同居しているかたも、引き続き自粛したほうが安全だと思います」

 久しぶりの会合に心がときめくが、ほかには、どんな点に注意すればいいだろう─。

 “覚悟”と“了解”が必要だというのは、ウイルス学を専門にする日本医科大学の北村義浩特任教授。

「お互いに感染させても問題ない間柄であれば、いいと思いますよ。たとえ感染させても“恨みっこなしね”といえる仲間ですね」

 親しくない第三者がいる場で感染が起これば、後で“犯人探し”などのトラブルになりかねない。

店選びでの注意点

 会へ行く前には、次のような私たち自身の“自覚”も大切な要素だと北村特任教授。

「出かける前に、みずからの体温をきちんと測定するのは、もはや客としてのマナーだと思います。少しでも体温が高ければ、無理して外出しないことです。また、飲食を伴わない場所でやる場合は、できるだけマスクをして話す。大声で話さないといった心がけも大切だと思います」

 会場となる店選びも注意しなくてはならない。

「入り口に客用の消毒液があり、客の体温を測る機器もあったほうが。それに換気や店内の消毒をきちんと行い、飛沫防止のしきりがあれば、なおいいですね」(北村特任教授)

 そこまで徹底していれば、自分たち以外の客がいても、安心できるというもの。

 コロナ禍では、店の雰囲気や値段よりも、感染予防の対策ぶりを優先したほうがいいようだ。

 従業員がマスクを着用しているかも要確認で、

「客側が事前に確認できるかはわかりませんが、従業員の体温や体調管理もしっかりしている店舗がベストです」

 と北村特任教授。

 感染症専門医で東京・品川区の「KARADA内科クリニック」の佐藤昭裕院長は、“空間”に気を配るべきと話す。

「レストラン、ファミリーレストラン、居酒屋、喫茶店などどれもそうですが、混んでいない、密になっていない店を選ぶべきです。つまり、集客を絞っている店です」

 東北大学病院の感染管理室の徳田浩一室長は席の配置に注意を促す。

「換気のよさそうな出入り口に近い座席を選んだり、窓が開いていればそこに近い座席を選んだほうがいい。

 個室居酒屋であっても、換気がしっかりされていれば、リスクはそれほど高くないと思います。逆に屋台は屋外ですが、風よけのビニールシートがあれば密閉状態に。隣の席とも近いことが多いので、注意したほうがいいと思います」

 佐藤院長は飛沫を受けないように、「対面ではなく、ジグザグに座ることが理想」と補足したうえで、新たな飲食マナーを唱える。

「料理を食べる際は、大皿料理をみなが直箸でつつくのではなく、小皿に分けたものを食べる形が望ましいです。ポテトフライやスナック類などみなが素手で取って食べることも避けるべきで、お酒の回し飲みは論外です」

カラオケはまだハイリスク

 目を“外”にも向けることも佐藤院長はすすめる。

「密になりにくい場所として、屋外のテラス席が最適だと思います。また、飲食店での会にこだわらず、リスクが低い屋外でのハイキングなどで親睦を深めてもいいのではないでしょうか」

 徳田室長もこう話す。

「屋外の散策などは、身近な少人数に絞って行くのがいいと思います。オープンカフェでランチをする程度ならリスクは低いと思いますが、大人数が集まるパーティーなどは、まだやめたほうがいいでしょうね」

 一次会で盛り上がれば、二次会でカラオケと久しぶりに羽目をはずしたくなるかもしれないが、佐藤院長は慎重だ。

「カラオケはハイリスクですが、どうしてもとなると、最小限の人数で行き、換気がよくて、1人1本のマイクのところなら大丈夫でしょう。共用のマイクであれば、毎回、歌い終えるごとに、マイクを消毒してから渡すことですね」

 札幌では、日中に飲食店で楽しむカラオケの“昼カラ”で、高齢者を中心にクラスターが発生。40人以上の感染者を出したので、もう少し我慢が必要かもしれない。

 ママ友との会といえば、子どもが不在の間にというのが当たり前だったが、保育園や学校も全面的に再開には至っていない。

 ひとりで留守番させるわけにもいかず、同伴させる機会も増えるだろうが、前出の北村特任教授は首を振る。

「子どもを連れて行くと、それだけ人数も多くなり、密になります。特にマスクができない乳幼児は、できるだけ連れて行くべきではないです」

 “コロナとの共生”は、不自由なことも多いが、秋以降になれば再び大きなコロナの波が襲いかかってくるのは間違いなさそう。

 細心の注意を払いながらではあるけれど、気晴らしできるのは、いまでしょ!

【識者PROFILE】
◎KARADA内科クリニック 佐藤昭裕院長 
東京都品川区西五反田1−2−8 FUNDES五反田10階
電話……03-3495-0192