マンガ『BUNGO-ブンゴ-』の作者が
プロ野球春季キャンプを取材!
中日ドラゴンズ平田良介編〜

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『ヤングジャンプ』で連載中の野球マンガ『BUNGO-ブンゴ-』。中学(シニア)野球を舞台にした甲子園のための甲子園を超える死闘を描き、人気を博している。その最新22巻の発売を記念して、作者の二宮裕次先生がプロ野球チームの春季キャンプを訪問し、選手たちを取材した。


今シーズンの意気込みを語った中日の平田良介選手

 第3弾となる今回は、二宮先生がファンでもある中日ドラゴンズ平田良介選手にインタビュー。平田選手自身のことについてはもちろん、大阪桐蔭高の後輩で自主トレも一緒に行なった根尾昂選手についても話を聞いた。
              
二宮裕次(以下二宮) 今シーズンのチームとしての手応えはいかがでしょうか。

平田良介(以下平田) チームはすごくいいと思います。昨年も悪くはないと思っていました。あとは、投打がかみ合えばいいチームになるはずです。打撃陣も投手陣もいいですし。

二宮 期待が出来そうですね。今シーズンの平田選手自身の目標も教えてください。

平田 タイトルを獲りたいですね。平田良介という選手に箔をつけたいなと思っています。何か1つ、何でもいいからタイトルが欲しいです。何でもいいって言うとそんなことないだろってよく言われるんですけど、本当にタイトルだったら何でもいい。だって、例えば打点王を獲ったとして、「打点王じゃなくてホームラン王が良かった」とはならないでしょう。だから、なんでもいいんです(笑)。




二宮 タイトルを獲ることが第一にあるということですね。

平田 と言いつつ、矛盾しているかもしれませんが、個人成績には興味もなかったりするんですよ。優勝したいという気持ちが一番強い。だから、例えば優勝の懸かった試合でノーアウトランナー二塁の場面、僕の打順が来たとするじゃないですか。

 それが僕にとって今季最終打席で、ここでヒットを打ったら首位打者が確定しますと言われても、僕は右打ちをして、ワンナウト三塁の状況をつくりに行くと思います。それだけ個人成績に興味はありません。

二宮 個人成績には興味がないけれど、タイトルは欲しい。

平田 優勝が最優先というのが前提にありますね。でも、やっぱり僕が活躍しないと中日ドラゴンズは勝てないと思う。だから、優勝するために僕はタイトルを獲る。それで自分に箔をつける。それが今季の目標です。

二宮 なるほど、ご活躍を期待しています。平田選手といえば、昨年大きく打撃フォームを変えていましたが、何故あのように変えたのでしょうか。

平田 去年から腰を落とした構えにしたんですけど、理由として大きいのは、バットの素材がアオダモからメイプルに変わったからなんですよ。2年前まではアオダモを使っていて、アオダモがなくなるからメイプルにしないといけないと言われて、それでメイプルにしたんです。でも、なかなかうまいこといかなくて。オープン戦のときに重心を落として打ったらよかったので、そこから腰を落として打つようになりました。

二宮 アオダモとメイプルだと何が違うのでしょうか。

平田 しなりですね。バットがしならなくなりました。なので、打ち方を変える必要がありました。イメージで言うと、「運ぶ」イメージから「ぶつける」イメージに変わりました。アオダモの時みたいに球をバットに乗せるふうに打つと乗る前にポーンって飛んで行っちゃうので、重心を落として力をためてから一気にぶつけるようにしました。

二宮 バットの素材が変わるだけでだいぶ感覚的なものが変わってくるんですね。フォームを変えることに対して、怖さのようなものは感じたりするのでしょうか。

平田 今までもころころフォームを変えているので、怖さはあまり感じませんし、最近は自分のフォームに土台ができたこともあり、苦労もあまり感じなくなりました。若いときは自分のバッティングに土台がなかったから、フォームを変えると全部一からのスタートっていう感じだったんですよ。それが、数年前から土台ができるようになって、二からのスタートというか、フォームを変えるにしても、自分がこうやって打ちたいというイメージがあるので、ずいぶん楽になりましたね。

二宮 平田選手にとっての土台とはどのような部分なのでしょうか。

平田 ステップしてからボールにバットが当たるまでの間(ま)ですかね。その間を維持できるように構えやステップをどうしたらよいのかと考えられるようになったことがここ数年での大きな変化です。

 この間は変えてはいけなくて、ここが変わるとフォームが全て変わってしまう。振り出しからボールが当たるまでの形が安定したので、そこからはフォームを変えるにしても「振り出しからボールが当たるまで」っていう土台ができたから全てを変えなくてよくなりました。

二宮 平田選手ほどの人でもその土台ができたのは数年前なんですね。奥が深いです。以前お話をさせていただいた時に、新しく入ってきた新人の選手たちのスイングを見て、プロで通用するかが何となくわかるということをおっしゃっていたと思うのですが、ロスで合同自主トレをした根尾選手は今年どうですか。

平田 根尾はすごくよかったですよ。アメリカで久々に見て、「何か変えたの?」って聞いたら、「台湾でちょっと(コツを)つかんだんです」って言っていました。具体的には、早めにタイミングをとる、先に足を着いてから振るぐらいのイメージで振りに行ったらよくなりましたって言っていました。

二宮 そうですか。期待できそうですね。

平田 でも、キャンプが始まってからすぐは調子を崩していたみたいですね。あの感じだったら打つと思ったんですけど。きっと、まだアイツの中で土台ができてないんですよ。それでも、まだ若いですし、そこはこれから覚えていけばいいかなと思います。期待しています。