なぜ「エイプリル・フール(万愚節)」は4月1日に?まるでジョークのような諸説を紹介

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新元号「令和」の発表(平成丗一2019年4月1日)からもうすぐ一年……その日付が日付だけに「エイプリル・フール(≒この発表は嘘で、本当は別の元号)なんじゃないの?」と疑われるなど、とかく嘘やジョークが世に出回る4月1日。

「この元号、本当は令和(りょうな)って読むらしいぜ?」……もちろん嘘です。

ところで、どうして4月1日は「嘘をついてもよい日(エイプリル・フール)」となったのでしょうか。今回はそこのところを紹介したいと思います。

エイプリル・フールの起源はジョークばかり?

エイプリル・フール(四月馬鹿、万愚節)の起源については諸説ありますが、どれも確証がないため仮説の域を出ていないようです。

例えば、ヨーロッパの春祭り(3月25日〜4月1日)の最終日を馬鹿騒ぎでしめくくったとか、インドで煩悩が生じやすい春先(春分の日〜3月末日)に、欲望に負けた修行者をからかう「揶揄節(4月1日)」があったとか、フランスで行われる「Poisson d’avril(4月の魚:この時期によく釣れるサバの絵を、人の背中に貼りつける悪戯)」に由来するとか、その他ジョークのような話ばかり。

結局のところエイプリル・フールの起源は謎のままですが、こんな日に真実を突き詰めるのも野暮というものですから、話し半分に笑っておけばいいでしょう。

みんなで舁ぎ、舁がれて……ワハハと笑おう四月馬鹿

そんな中、日本にエイプリル・フールの習慣が伝わったのは大正〜昭和期とされ、当時の新聞には、こんな記事が掲載されました。

楽しい嘘にかつがれて、おっさんもワハハと大笑い。当該記事の写真。

「かついで舁(かつ)がれて ワ・ハァハァ(※実際の紙面は踊り字)と笑ふ『四月の馬鹿(エプリル・フール)』が訪れる」

わが國で俗に「四月馬鹿」とか「万愚節」とか譯されてゐるエプリル・フールは、厳格にいへばApril Fools’DayまたはAll Fools’Dayであつて、この四月一日に舁(かつ)がれたものがApril Foolなのです、この万愚節の起源については、随分議論もありますが、昔、一般に賑はつた春の彼岸祭り(舊い新年即ち三月廿五日にはじまつて四月一日に終る)に由来するものであらうとされてゐます。一體(いったい)、米國人は笑話を好むこと、笑話を作ること、恐らく世界一でせう、從つて、こんな万愚節の如きを見のがすはずがありません、この四月一日はどんなウソで舁(かつ)がれても腹を立てるのは野暮だといふのが不文律で、子供も大供(おおども。大人)もお互(たがひ)に舁(かつ)ぎ合ひます

※「大阪毎日新聞」昭和七1932年3月31日付

舁(かつ)ぐとは「担ぐ」に通じ、お神輿のように「ヨイショ」して=おだてて騙すことを言います。エイプリル・フールの嘘は人を楽しい気分にさせるのが目的ですから、騙して楽しい、騙されても楽しい、みんなが楽しくなれる嘘でなくては野暮というもの(もちろん、騙されて怒るのはもっと野暮です)。

何かと暗く、世知辛い世の中だからこそ、気の利いたユーモアで明るい新年度を迎えたいものですね。

※参考文献:
PHP研究所 編『今日は何の日−話のネタ365日』PHP研究所、2001年5月
ひろさちや『やじうま歳時記』文藝春秋、1997年2月