自宅で仕事をする流れが急速で広がっていますが、「自宅ではなかなか集中できない」といった声もあります。
そこで、家事の効率化を研究している三條凛花さんに、自宅での仕事がはかどる「魔法の時間術」を教えてもらいました。カギは「1時間に3つ」です。


ついついスマホを見てしまったり、はかどらないことが多い自宅作業、どうすればいいのでしょうか?(※写真はイメージです)

自宅仕事がどんどん捗る!「1時間に3つ」の魔法



3行書く。
たったそれだけで、自宅仕事がどんどんはかどる魔法の時間術があります。新型コロナウイルスの影響でテレワーク中のご家庭も多い今、自宅での作業効率にお悩みの方におすすめしたい方法です。

●やることを3つだけ決めて集中する

スリークエストは私が考案した時間術。タイムリミットのなかで、優先して行いたいことを3つだけ選ぶというものです。ここでいう「クエスト」というのは「やること」を指します。ゲーム感覚で取り組むため、ゲーム用語からもってきています。

スリークエストを行うと、頭の中にある焦りや迷いがなくなります。そのため、目の前にあることだけに集中でき、効率がよくなるのです。

用意するものは紙とペンだけ。それと、時計が見られる環境です。
やり方は簡単。今日やることを3つ考えたら、それを書き出し、実際に動くだけです。
これだけでもう行動できるのですが、ここからは、「決める・書く・動く」のそれぞれのステップに分けて、詳しくご紹介します。

STEP1 決める

まずは、次の正時までに終わらせたいことを3つ決めます。
たくさんある場合は「これだけは終わらせたい」という優先順位の高いものや、短時間で終わるものを組み合わせます。
スタートは何時でもかまいません。とにかくゴールとなる次の正時を決めておきましょう。たとえば今が14時10分ならば15時がゴールです。14時50分でも同じく15時がゴールです。


※写真はイメージです

ここでとても大切なのは、時間内に終わりそうなことを3つ見繕うことです。
たとえば、14時10分から作業を始めるとしたら、15時に終わらせるため、メールを返信し(約10分)、資料の確認をし(約15分)、企画を考える(約20分)というように進めます。

一方、14時50分から始めた場合、なにができるでしょうか? たとえば、机の上を片づける、水分補給をする、メールを読むだけにする…というように、とにかく短時間で終わるものを選びます。わずかな時間でも、なにもせずに終わる10分と、3つ終わらせた10分では、その後の効率が大きく変わってきます。

STEP2 書く

3つのクエストを決めたら、すぐに行動するわけではありません。ここで大切なのが、集中できるようにすることです。

ほかのことに目が向かないようにする必要があります。ですから、メモ帳やふせんを用意して、そこに3つのクエストを書き込みましょう。


このとき、大きく書かず、できれば左側に寄せて、余白をつくっておきます。余白は思いつきをメモするための欄です。スリークエストを書いた紙は、目につく場所に置いておきましょう。そして、「これもやらなくちゃ」と思いつくことがあれば、余白に書き込んでいきます。


そうすれば、次の正時が来たときに、ゼロからクエストを考える必要がありません。1時間で終わりそうなものや優先順位を考えながら、選ぶだけでかんたんにクエストが決まります。
もしできれば、それぞれのクエストに目標時間を設定し、メモしておくとより進めやすくなります。

STEP3 動く

3つのクエストを決め、その内容を書いたら、いよいよ動いていきます。


ですが行動する前に、誘惑をなくします。雑誌、漫画、ゲームといった娯楽が目につかないようにします。スマートフォンは、それが必要な作業でない限り、充電器につないでおくなどして視界から消します。

下ごしらえも大切です。書いたクエスト用紙を見ながら、それぞれの作業に必要なものを考えます。そして、集めてきます。たとえばボールペン、定規、電卓などです。


必要なものがその場にないと、ムダに立ち上がる必要があります。そうしてムダに動いていると、集中力がきれてしまうのです。

このように、3つのクエストを決め、その内容を書いたら、誘惑を取り除いたり下ごしらえをてから行動に移します。
いきなり行動に入るよりもこの方が効率的です。文字にすると面倒に見えるかもしれませんが、大切なのは「決める→書く→動く」という順番だけ。

●スリークエストがもっとうまくいくヒント

スリークエストでは、3つだけ優先的にやりたいことを決めています。この「3つ」という数は、必ず守ってほしいルールです。これ以上増えると頭に入りにくくなり、少ないと達成感が減ります。
もしも、次の正時まで数分しかなく、メール返信しか思いつかなかった、というような場合は、言葉のトリックを使いましょう。「スマホを持ってくる」「メールを確認する」というように分けるのです。

一方、次の正時までに時間が余ってしまったとき。ゆとりがあるならば休憩時間にしましょう。次の正時が来たら必ず動き出すと決めれば、罪悪感も焦りもなく休むことができます。

また、自宅作業ならではのヒントですが、仕事とちょっとした家事を交互に持ってくるとより効率がアップします。
煮つまってきたときや眠くなってきたときのスリークエストに、掃除や洗いもの、洗濯もの畳みなどを加えるのです。デスクワークと体を動かす作業を交互に行うことで、集中力がきれにくくなります。

スリークエストは、紙とペンさえあれば、いつからでも始められます。自宅作業ならではの焦りや進まなさを感じている方は、ぜひ試してみてくださいね!

●教えてくれた人
【三條凛花さん】


ライター、整理収納アドバイザー。夫、長女、長男の4人+2猫暮らし。家事をムリせず楽しく続ける工夫を発信。著書に『もっと動ける私になる! 魔法の家事時間割
』(扶桑社)、『時間が貯まる 魔法の家事ノート
』(扶桑社刊)、『365日のとっておき家事 もっと暮らしやすい家と時短のしくみづくり
』がある。ブログ:「365日のとっておき家事」