最新コロナウイルスはあのSARS(サーズ)の新型 有識者「封じ込めはほとんど不可能」収束へは長期戦に
3月14日放送の情報番組『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)にて、有識者による新型コロナウイルスの最新の見解が述べられた。
番組では、東京大学薬学部教授で脳研究者の池谷裕二氏に話を聞いた。コロナウイルスは元々動物で流行っていたものだが、動物から人に感染するのが認められてきたのが50年くらい前。論文としては1970年代から数が増えてきているという。新型コロナウイルス関連の論文も続々と発表され、わかってきたことを語った。
国立感染研究所のホームページにも記載があるが、コロナウイルスは日常的に人に感染する一般的な風邪のウイルス4種類 HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1 と、重症肺炎ウイルス2種類SARS-CoV 、MERS-CoV が今まで知られていたもの。
2003年頃に中国を中心に流行ったSARS(サーズ)、2012年頃に中東で発見されその後韓国で流行ったMERS(マーズ)が新型肺炎として混乱を招いたのを覚えている人も多いのではないだろうか。
そして、今回の新型コロナウイルスの正式名称はSARS-CoV-2(サーズ コロナウイルス ツー)。SARSに遺伝子が最も近い、SARSの新型(Ver.2)ということがわかってきた。よくニュースなど報道で目にするCOVID-19はウイルスの名前ではなく、感染したことによって起こる熱や肺炎などの症状の名称だという。
新型コロナウイルスは、当初はSARSのように肺など気道の深いところで感染が起こると思われていたが、実際は喉や鼻腔など気道の浅いところで感染して症状が軽いことが多い。逆に浅いところで感染するので会話などでも飛散しやすく、感染力は上がってしまう。しかし、症状そのものは軽く、本人も気づかないうちにちょっとした風邪程度で治っていく場合も多いそうだ。
一方で、気管支や肺など気道深くで感染することもあり、そうなると重い肺炎という重症化が起こるという。
収束の見込みは?
一般的にコロナウイルスは寒い時期に流行するはずだが、現時点で新型コロナウイルスは東南アジアや南半球の温暖な地域にも広まっているため、季節性の要素が少ないと考えられるようだ。池谷氏は、「暖かいところでも拡散しうるという特徴を備えていると封じ込めはかなり難しくなってきます」と語った。
そして、「人々の関心が向いておらずニュースにもならないので、すっかり消滅したと思われているかもしれませんが、あのMERS(マーズ)は今でも続いています」と述べる。2015年に韓国で猛威をふるったMERS。今は話題にならないが、年に一度ほどは中東で流行っているという。
さらに、「MERSは今回の新型コロナウイルスに比べると感染力はかなり低い。それにも関わらず、完全撲滅できていないんです。MERSよりも感染力の強い新型コロナウイルス、しかも世界にこれだけ広まってしまったものを封じ込めるというのはかなり難しい。ほとんど不可能であると私は考えています」と池谷氏。
これからの対応として、「一気に感染が広まってしまうと医療機関が崩壊してしまうので、医療機関がパンクしない程度に(感染スピードを抑え)緩やかに世間に広めていくというのが人類の取りうる最良の手かな、と思います。そして、毎年の流行病の1つとなっていくというのが私の見方です」と見解を述べた。
また、“日本は他の国に比べると感染者の増加がかなり緩やか。他の国に比べると死亡率も少ない”という前向きな見方も。
続いて、日本感染症学会指導医の水野泰孝氏も、「自然に収束していくのか、ワクチンや薬によって急速に収束に向かうのか、どちらが先かは読めませんけれど、完全に感染者がいなくなることは、なかなか難しいと思います」と、新型コロナウイルスとの戦いは長期戦になると予想した。
比較的に若者は少なく、高齢者になるにつれ重症化する例が多いSARSやMERS。新型コロナウイルスの場合はどうなのか、自衛のためにも常に情報を追っていった方が良さそうだ。
新・情報7daysニュースキャスターHP:
https://www.tbs.co.jp/Ncas/
厚生労働省・外務省
COVID-19に関するWHO・中国合同調査団による報告書(概要:仮訳)(注:2月28日にWHOに提出されたもの。)
https://www.mhlw.go.jp/content/000603535.pdf
国立感染研究所
コロナウイルスとは:
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/9303-coronavirus.html
日本小児科学会
新型コロナウイルス感染症に関するQ&Aについて
http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=326