旬の素材を使った毎日の料理や、時季ならではのおいしい食べ方をつぶやくツイッターアカウント、「きょうの140字ごはん」(@140words_recipe
)を運営する文筆家の寿木(すずき)けいさん。

使いたいと思う食材や道具、そしてだれかへの贈り物は、四季に導かれるものだそう。
寿木さんから季節のあいさつに代えて、読者の皆さんへ「今日はこれを手に取ってみませんか?」とお誘いします。

出会いと別れの多い3月は、贈り物の季節でもあります。
今回は、身近なスーパーで見つかる贈り物を教えてもらいました。

スーパーマーケットで贈り物を探す




「アルチェネロ」の有機トマトピュレー。200gのパックに小分けされているので便利

●ちょっとした贈り物探しは、スーパーが吉

友人へのちょっとしたサプライズやギフトを探すのに、スーパ―マーケットはとても重宝する。

会社帰りに食材を買うついでに見てまわれるし、なにより、おしゃれライフスタイル系セレクトショップに頻繁に行くことは難しい日々の慌ただしさのなかでは、本当に心強い存在だ。
あらためて棚をよく見ると、なかなか個性的なものがそろっていて、しかも200円台〜高くても600円程度。このくらいの価格なら、もらう側だって気をつかわないだろう。

ピンとくるものがあったら、まず自分で買って食べてみる。おいしかったら、次はだれかのために買う。近所のスーパーや会社の近くの店など、頻繁に立ち寄る店は3〜4軒に絞られてくるけれど、店ごとの特色がかなりはっきり分かれていて、背後にいるバイヤーさんの顔を想像するのもおもしろい。

今日は、実際にリピート買いしている“おいしいギフト”の一部をご紹介する。

●使い勝手のよい有機トマトピュレー


ケチャップのコーナーを歩いていて発見

・アルチェネロ 有機トマトピュレー

トマトが嫌いな人はあまりいないだろう。パスタに、スープに、ときに、ウォッカを割るのにだって、オーガニックのピュレーのストックがあると日々の料理が本当に助かる。中身は3つに分かれているから、一度に使いきらなくてはならないプレッシャーもない。

私は時間のない朝は牛乳でのばして塩少々でととのえてスープにしたり(子どもも大好物)、ひとりの昼食のパスタソースにしたりしている。パルミジャーノをたっぷりかければ、ごちそうになる。

●スパイスが効いたホットチョコレート


これからの季節は、冷たくしてもおいしい

・ブラウンシュガーファースト 有機ホットチョコレート

ココアやコーヒーの棚で見つけたのがこちら。有機のココアパウダーとココナッツシュガー、そして、有機のシナモン、カルダモン、ショウガ、ブラックペッパーの4つのスパイスが入ったパウダーを、牛乳に溶かして飲む。人工的な甘いものを飲むと罪悪感を抱いてしまうのだけど、これなら大人にも子どもにもおすすめできる。

●筋トレ好きなあの人に、グルメなササミ


常温で持ち運べる。レモン味、タンドリー風味など、味つけのバリエーションも豊富

・株式会社丸善 プロフィット ささみ

シリアルバーや栄養補給系食品の棚で見つけたのが、ザ・タンパク質、ササミ。真っ先に思い浮かんだのが、トレーニングが日課の美しい女友達。これならバッグのなかに入っていてもかわいい。

●映える、笑える、本格的なグルメ缶詰


乗り換え駅の構内にある成城石井で見つけたゴルゴサーディン

おなじみの缶詰メーカー、はごろもフーズにこんなグルメ缶詰があるのを発見。「シーチキン とろ」は肉厚でやわらかく、いつもの料理がエンタテインメントに変わる。ゴルゴサーディンは、クスっと笑ってもらいたくて。

気合いの入った豪華なホームページ「BARゴルゴ
」もぜひ見てみてください。

●ラッピングは100円ショップとハギレを活用

スーパーマーケットだから、ラッピングは当然自前で。小さな贈り物の極意は、「買う」と「包む」を暮らしの一部に取り入れてしまうことだ。「贈りどき」を逃さず、気楽に続けられるように手抜きすることも大切だと思う。


スタイやシーツカバー、チノパン(左から二番目)など、思い出の布の端っこがタンスにどっさり眠っている

子どもが生まれてから、スタイや洋服などいろいろなものをつくってきたので、ハギレがたくさんある。割れものや丸いものを包むのには断然、布が便利。


全部100円ショップで買ったもの

100円ショップで見つけた、私なりのラッピンググッズはこんな感じ。


ササミのような薄くて軽いものは紙封筒へ。マスキングテープは絵を描く気分で2色使い

薄くて軽いものは業務用の封筒に入れる。もともとは仕事の請求書発送用にストックしていた、どこにでもある茶封筒だけど、無駄がない美しいデザインを生かさないテはない。


薄くて型崩れしにくいものは、小分け用のジッパーつき袋に。中身を見せたいときにも、いい。ギフトを取り出したあとも捨てずに使ってもらえる

白と黒のジッパーつき袋は、旅行にも便利だし、細かな紙アイテムの小回りが効く。ギフトにも使える! と贈り物用のスタメンに昇格。
マスキングテープは子どもの工作遊びによく使うので、ついでに自分用にも購入。封筒を閉じるだけでなく、はり方や色合わせ次第でアクセントになる。


ビンものにクルッと巻いてみたら、ご覧のとおり、なんかほっこりしてて、いい。てっぺんでつまんで紐で結わえたり(真ん中)、巻き終わりの先端を布の隙間に差し込んで、あえて飾りをつけないアレンジもシンプルで気に入っている

耐久性のある紙紐は、ビビッドな色を選ぶと見た目にメリハリがつく。

●スーパーの冒険に出かけてみて

スーパーマーケットは、普段の料理に欠かせない野菜や肉を補充するための一大食糧倉庫。「私には関係ない」といつもはとおりすぎている棚も、立ち止まって見てみてほしい。

贈りたい相手を思い浮かべながら歩くと、商品の方からこっちを呼びにくるような不思議な瞬間もある。

スーパーで探す贈りもの。おいしいだけじゃなく、だれかの「手抜き」や「健康」、「息抜き」の助けにもなるのだから、「時間」そのものをプレゼントしているとも言えるのだ。

スーパーって本当に、おもしろい。

【寿木(すずき)けい】

富山県出身。文筆家、家庭料理人。最新刊『いつものごはんは、きほんの10品あればいい
』(小学館刊)が好評発売中。初めての書き下ろし随筆集『閨と厨
』(CCCメディアハウス刊)が発売中。趣味は読書。好物はカキとマティーニ。
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