(株)JDSound(TDB企業コード:426006574、資本金300万円、宮城県仙台市青葉区二日町14-15、代表金希燦氏、従業員11名)は、2月5日付で事後処理を川畑真治弁護士(大阪府大阪市中央区北浜3-2-23、弁護士法人三ツ星、電話06-6222-3035)に一任、自己破産申請の準備に入った。

 当社は、2012年(平成24年)2月に音楽再生に特化したチップ開発を行っていた遊技機器会社に勤務していた前代表が、同社の仙台事業所の独立という形で、音楽再生機器の開発、設計を目的に(株)ファウディオとして設立(2015年4月現商号へ変更)。各種デジタルオーディオ機器の開発を手がけ、ギターエフェクターの回路設計・ソフトウェア開発、ハイレゾ音楽プレイヤーの開発設計、ゲーム機器の開発環境サポートなどを受託開発していた。2012年に自社開発した持ち運び可能なポータブルDJシステム「GO DJ」は、世界20カ国で1万台以上を売るヒット商品となり、仙台から世界に発信するベンチャー企業として注目。また、後継機「GO DJ Plus」の発売もあり、近年は売り上げも増加傾向を辿り、2018年12月期の年収入高は約1億3300万円を計上していた。

 しかし、設立当初より開発資金が先行し、生産販売量が少ないスポット受注が多いうえ、初期不良の発生などから財務面は脆弱で、同期において2期連続の債務超過に陥り、余裕のない資金繰りを余儀なくされていた。この間、金融機関からの借入金などで凌ぐなか、2019年にはクラウドファンディングで約7000人から約9500万円の資金を調達して製品化した、世界初USBフルデジタルスピーカー「OVO(オヴォ)」を発売、技術力の高さが評価されていた。こうしたなか、2019年9月に前代表が解任され、現代表が就任する事態となるなど、内部体制の混乱から対外信用は失墜、今年に入り従業員の大半が退社したため、事業継続が困難となり1月15日付で「事務所閉鎖のお知らせ」をホームページに掲載し、先行きが注目されていた。

 負債は2018年12月期末時点で約1億1900万円。