鈴木愛【写真:浜田洋平】

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賞金女王争い、鈴木愛は渋野の“スター性”警戒「残り1%でも1%と感じない」

 女子ゴルフのツアー最終戦・LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップは28日から4日間、宮崎CC(6535ヤード、パー72)で行われる。賞金ランクトップを走る鈴木愛(セールスフォース)は27日、プロアマ戦で最終調整。単独2位以上で2年ぶり2度目の賞金女王となる25歳は、逆転女王を狙う渋野日向子(RSK山陽放送)を警戒した。

 鈴木は賞金女王争いで同2位の申ジエ(韓国)、同3位の渋野に追われる状況。単独2位以上に入るか、3位以下でも申と渋野の順位次第で戴冠となる優位な位置で最終戦を迎えた。3週連続優勝後の前週は2位。優勝争いした最終日は、17番第1打を池に入れて渋野に優勝を譲っただけに「とにかく集中力を保てれば。先週のように集中力がなくなると怖いので、集中力が大事になる」と鍵を挙げた。

 2年前は、キム・ハヌル(韓国)との女王争いに競り勝った。のしかかる重圧を背に戦ったことは、間違いなく今に生きている。「(賞金女王は)考えないようにしても考えてしまう。17年もこういうものがあった。1回経験しているのはかなり大きいので、そういうのを明日から見せたい」。前回と同様に逃げの展開となり「上に立っている方が優位。前回もそうだった。上に立っている方が気持ち的には優位。優勝で決めたい思いは強い」と栄冠を奪いに行く。

 女王まであと一歩。そんな優位な状況でも恐れを抱くのが“シンデレラ”の存在だ。渋野は5月に初優勝すると、海外メジャー・全英女子オープンを制した。一時は賞金女王レースから脱落したかに見えたが、前週の優勝で踏みとどまった。9月には最終日に8打差を逆転する奇跡を演じた。技術とメンタルの強さに裏打ちされた日米通算5勝の21歳。逆転賞金女王への“シンデレラチャージ”の雰囲気も漂わせる。

 彗星のごとく現れた渋野と3月のヨコハマタイヤPRGRレディスで同組となった鈴木は、当時の印象を振り返り、目に見えない力も兼ね備える若きスターを警戒した。

渋野を警戒「かなり勢いを感じる選手」

「プロギアで回らせていただいたけど、やっぱり急成長したなと思いましたし、その時もいいゴルフをしていた。今シーズン、優勝するかもしれないと感じていたので、別に驚きもなかったですし、こういうふうになるんだろうなとはちょっと感じていた。

 かなり勢いを感じる選手。(渋野の逆転女王が)残り1%でも1%と感じない運の強さ、引きの強さを持っている。勢いで来るんじゃないかという部分が大きいので、4日間そこに注意してやりたい」

 相手は渋野だけではない。韓国、米国で賞金女王に輝いた申は、15、18年の大会覇者。コースを熟知した経験豊富なベテランに対し、鈴木は「世界で50何勝もしていて、何を打ってもうまい。イメージの出し方が凄く上手。構えとか目線を見てもどんな球を打つか凄く感じられる選手。クラブの入り方、打ち方もそう。間の取り方も凄く上手ですし、見ていて凄く勉強になる」と凄みを語った。

 目標スコアは「できれば、(一日に)1つか2つ。あわよくば3つか4つ伸ばしたい。60台で回れれば」と設定。「まずは賞金女王になることが一番。悔いなく終わる。優勝して終われたら。4日間に懸けて成績が悪かったらしょうがない。賞金女王は後にして、4日間に集中して全力を尽くしたい」。2年前は重圧に押しつぶされそうにもなった。ツアー屈指実力者が成長と強さを見せる。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)