ソーラー・ダイナミクス・オブザーヴァトリー(SDO)[日本語版記事]」は、われらが恒星を常時調査し、太陽で起きていることの全体像をとらえるために、さまざまな波長フィルターを通じて太陽を観測している。この紫外線(UV)フィルター画像では、太陽のコロナが強調され、端から吹き出る雲のような構造として見ることができる。黒っぽい部分は、コロナホールと呼ばれる領域だ。コロナホールは放射物の少ない領域だが、その穴からは、太陽風を構成する高荷電粒子が放出されている。PHOTOGRAPH BY SDO/NASA"> 1/6太陽を超クローズアップで見ることはめったにないが、この写真は太陽をじっと眺めるチャンスを与えてくれる。ここに写っているのは、彩層と呼ばれる太陽の領域だ。彩層は、3つある太陽の層の2番目にあたる。この写真では、暗い太陽黒点と細いフィラメント、それに「プラージュ」と呼ばれる明るい領域が見える(プラージュは「浜辺」を意味するフランス語からとられた名称だ)。太陽黒点は一時的な構造で、1日しか続かないこともある。太陽が黒点でいっぱいになるときもあれば、ほぼ完全になくなるときもある。興味深いことに、この暗い太陽黒点は、周囲の領域と比べて大幅に温度が低い。黒点が形成されるのは、複数の磁場が互いの周囲で歪み、ガスの流れを実質的に遮ることで、その領域の温度が低くなるためだ。PHOTOGRAPH BY A. DE BURGOS/ESA/ESAC/CESAR 2/6パーカー・ソーラー・プローブは、太陽を調査するための壮大な旅の途上にある。太陽は、太陽系のなかでも訪れるのがとりわけ難しい場所だ。言うまでもなく、その理由は太陽の熱さにあるが、引力という点でも難しい。というのも、太陽の引力が探査機を破壊しようと目論んでいるからだ。さらに、太陽に近づくにつれ、探査機に損傷を与える可能性がある「太陽風」(高荷電粒子の流れ)とも闘わなければならなくなる。パーカーがとらえた複数の写真を合成したこの画像は、探査機の計器のそばを通過する太陽風を示している。太陽との最接近時には、パーカーは時速43万マイル(約69万km)という驚くべき速度で移動しているはずだ。現在はまだそれほどの速さにはなっていないものの、自らの移動速度と、猛烈な勢いで通り過ぎる太陽風の狭間にいるパーカーは、まるで宇宙のジェットコースターに乗っているように見える。ところで、左上に見える小さな白い点は水星だ。水星によろしくと伝えてほしい。PHOTOGRAPH BY NASA/NAVAL RESEARCH LABORATORY/PARKER SOLAR PROBE 3/6パーカー・ソーラー・プローブは2018年に打ち上げられたが、それ以前は、クリーンルーム(無塵室)と呼ばれる場所で組み立てられていた。この画像には、クリーンルームで、NASAのエンジニアによってテストされるパーカーが写っている。パーカーは、太陽とその気候をめぐる理解に革命をもたらすだけでなく、探査機自体も画期的なイノヴェイションだ。ハイテクなカーボンフォーム製の耐熱シールドを備えたパーカーは、華氏2,500度(およそ摂氏1,370度)までの高温に耐えられる。それほどの高温にさらされても、耐熱シールドの内側は、華氏70度(およそ摂氏20度)という快適な温度に保たれる。PHOTOGRAPH BY LEIF HEIMBOLD/NASA 4/6欧州宇宙機関(ESA)の位置天文観測衛星「ガイア」は、地球への天体接近事象、とりわけ接近の可能性がありそうな小惑星に目を光らせている。この画像は、14,000個に上る既知の小惑星の軌道を表している。オレンジと赤の線のほとんどは、火星と木星の間にある小惑星帯(メインベルト)に位置する天体だ。ガイアがとらえる小惑星のほとんどは既知のものだが、これまで知られていなかった3つの地球近傍小惑星も発見した。この画像では、その3つが明るいグレーの環で示されている。近くにある地球近傍天体の正確な数を常に把握しておけば、どんなときにも役に立つ。そうした天体を追跡して研究できるだけでなく、地球に衝突する心配が生じたときに方向転換を試みることもできるからだ。PHOTOGRAPH BY ESA/GAIA/DPAC 5/6こちらの画像は、クリーンルームにある打ち上げ前のガイアだ。大きな円形構造は太陽シールドで、ガイアを絶えず影で包めるように設計されている。これがガイアの温度を調節し、宇宙にある放射線からガイアを守る。PHOTOGRAPH BY MANUEL PDOUSSUAT/ESA 6/6まだカボチャの季節ではないが、この画像の太陽は、まさにオレンジ色にふっくら熟したカボチャのようだ。NASAの太陽観測衛星「ソーラー・ダイナミクス・オブザーヴァトリー(SDO)[日本語版記事]」は、われらが恒星を常時調査し、太陽で起きていることの全体像をとらえるために、さまざまな波長フィルターを通じて太陽を観測している。この紫外線(UV)フィルター画像では、太陽のコロナが強調され、端から吹き出る雲のような構造として見ることができる。黒っぽい部分は、コロナホールと呼ばれる領域だ。コロナホールは放射物の少ない領域だが、その穴からは、太陽風を構成する高荷電粒子が放出されている。PHOTOGRAPH BY SDO/NASA

太陽はどのように“作動”しているのか──。その原理の大半は、いまだ謎に包まれている。太陽には独自の気候サイクルがあるが、それについてはまだ解明が始まったばかりだ。そもそも太陽の気候を構成する主要な要素である「太陽風」の正確な仕組みも、まだわかっていない。

「猛烈な“風”に抗って太陽に近づく観測機「パーカー・ソーラー・プローブ」の姿:今週の宇宙ギャラリー」の写真・リンク付きの記事はこちら

米航空宇宙局(NASA)が最近、太陽に向かって探査機を打ち上げたのは朗報である。太陽系の中心にある溶鉱炉の秘密が少し明かされるかもしれない。

2018年に打ち上げられたNASAの「パーカー・ソーラー・プローブ」は、数年かけて太陽を回る軌道に乗る予定でる。ひとたび軌道に入ったあとは、太陽風が生み出されている仕組みを正確に突き止めることが主要任務になる。太陽風とは、太陽の表面から絶えず吐き出されている高荷電粒子の流れのことだ。

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パーカー・ソーラー・プローブは、太陽の磁場も調査する。太陽の理解が重要なのは、そうした粒子や爆発的な放射が地球を回る人工衛星などに影響を及ぼし、通信の遅延や停電を引き起こす可能性があるからだ。

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