純烈 撮影/野村佐紀子

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 あれから半年──。誰もが予想しえなかった衝撃と、激動の日々。ただひたすらに歩み続ける彼らの今を、世界的写真家が切り取った。

【写真全20枚】ファンの人たちと触れ合う純烈やダンディな表情は必見

 かつて、ここまで短期間で、ジェットコースターのような日々を送ることになった歌謡グループが存在しただろうか。しかしこの半年、隠さず、逃げず、ただ実直に活動してきた4人にとって、未だ“夢の途中”でしかない。そんな彼らの今を、旬の人々を鮮烈に切り取ることで知られる写真家・野村佐紀子が見事にとらえた──。

 週刊女性PRIMEでは、メンバーそれぞれに今の気持ちを聞いた。

後上翔太
ごがみ・しょうた 1986年10月23日生まれ。東京都出身。179cm。

 紅白歌合戦に出られて、1月に注目が集まって……。それを踏まえたうえでよく「忙しくなったでしょう」と聞かれるのですが、うーん、そうとも思っていないんですよね。もともと僕自身、「これが成功」「これが失敗」とか、出来事に対してあまり区別しない方なんですよ。

 もちろん、以前よりテレビや雑誌の取材がたくさん来てくれるようになったし、出演者として呼んでいただけるようになりましたが、テレビ出演のときの「うまくリアクションできるかな」という気持ちと、いつもの健康センターの舞台での「お客様を最後まで楽しませないと」と思う気持ちを、どちらも緊張というなら、僕にとってはまったく別物ですしね。

 また、「今後の目標は?」とも聞かれるんですけど、すごく先のことって、いくら綿密な計画を立ててもその通りに行くかわからないじゃないですか。よく成功者の書いた本なんかに「達成したい目標は長期スパンで考える」と書いてあるんですが、その目標というのが、僕にはよくわからないんですよ。一方で、いつまでも打席に上がって日々ヒットを打ち続けることが目標という人もいる。“成功”ってどういうことなんだろう、って考えますね。

 確かに今は注目を浴びるようになりましたが、だからといって安定した、というわけでもないと思っています。本当に、この先何が起こるかわからないから。僕の場合、「幸せだな」「ほっとするな」と思う瞬間のために生きているような気がします。「幸せだな」と思う瞬間は、なんといっても寝る瞬間ですね(笑)。あと、僕、味にこだわりがないんで、ほっこりする温かいものを食べられたらそれでいいや、って思ってますし。ほっとする瞬間は、地方の仕事が終わって新幹線に乗る瞬間かな。

「純烈」自体がマイペースなんだと思います。「純烈」なんて熱い名前なのに、体育会系みたいな熱血漢がいない(笑)。紅白を目指すとか、お客さんを楽しませるとか、大まかな枠はあるけれど、それ以外は決まりとかないんです。それぞれの方法論でやっていると思う。楽屋は一緒ですが、ほとんど話さないですし。舞台上のトークとして活かしたいから(笑)地方から帰るときは、「オレどこそこで〇〇食べてから帰るから」なんて、別々の新幹線だったりしますからね。

 僕も「純烈」も変わっていくのかもしれない。でも、それも僕だと思うし、「純烈」だと思うんです。でも、純烈を続ける限り、「お客様を最後まで楽しませないと」という“枠”はなくならないと思います。

小田井涼平
おだい・りょうへい 1971年2月23日生まれ。兵庫県出身。188cm。

「忙しいでしょう」とよく聞かれますけど、まあ、今はしょうがないですよね。でも、去年の今ごろの方が大変だったと思いますよ。紅白歌合戦に出ていないから。「今年こそ絶対出たい!」って、いろいろ新しいことしてましたからね。そういう意味では、今年は紅白に出た後なので、気持ちに余裕があるような気がします。

(1月にメンバーが1人抜けたけれども)メンバーそれぞれに役割がありますからね。そういう意味だと、矢面に立たざるを得なかったリーダー(の酒井一圭)がいちばん大変だったんじゃないかな。それと事務所のスタッフね。

 僕はただ、「純烈」という列車に乗っているつもりでやってきましたから。運転はしてませんから。「純烈号は、次はどこに行く計画なのかな」くらいに思ってきましたから。その純烈号での僕の役割は、ガイドさんだと思っています。行先を決めるのは事務所やリーダーだから、決めたことに対して「これが純烈号ですよ〜。今回はこっちに行きますよ〜」って、紹介するのが僕だと。そりゃ、いきなりとんでもない方向に行き出したらさすがに「おいおい、これはこうちゃうかぁ」って言いますよ。でもそんなことはまだないですね。

 純烈号は、乗ってて楽しいですよ。ただ、楽しいからこそ、迷惑かけちゃあかんな、と思っているんです。いちばん年上ですから、体力の衰えも感じますしね。いつまでも乗ってていいんかいな、と。80になっても純烈やる!? それはあかんでしょう(笑)。

 新しい若い人を入れるときが来るかもしれない。純烈のセカンドキャリアをいちばん最初に考えるのは、ガイドである僕だとも思うんですよ。なんなら、ちょっと降りて、何年かしたらまた純烈号に乗せてもらう……なんてね。なんかメンバーものすごく増えてたりしてね(笑)。全然知らないメンバーばっかりだったりしてね。それはそれでおもしろそうですけどね(笑)。

酒井一圭
さかい・かずよし 1975年6月20日生まれ。大阪府出身。186cm。

 生まれつき身体は丈夫なんでね。まあ忙しくなりましたけど元気にしてますよ。(健康番組のダイエット企画で)メカブを食べるようになったおかげで、前よりちょっとやせましたし(笑)。メカブ、いいですよメカブ!

 年末に紅白出て、明けて(元メンバーの)友井(雄亮)のことがあって……。それで今でしょう。メンバーとスタッフは、仕事ぶりも人間性も変わってないんですけどね、ただ、その周りの風景がだいぶ変わりましたね。でも、これくらいの変化で変わってしまうような人間は、消えてしまうものなんですよ。今の変化に一喜一憂なんかしてられないです。何度も地獄を見ていますからね(笑)、いつも通り、お客さんを楽しませるだけです。

 全力で? なんてもともとしてないですよ。90点どころか80点でもない、お客さんに対して60点を目指すのが純烈なんでね。全力投球の100点の舞台なんて、僕らじゃなくて、僕らがチケットを買って観に行く方々がしているものです(笑)。

 僕らはその残りの40点で、お客さんを楽しませるために自分たちも楽しむ。毎回、100点差し上げていたら、余裕がなくなってしまいますからね。純烈観れて元気になれた、明日も頑張れる、ってのがいいんです。どっぷりハマッちゃダメなんです(笑)。僕は純烈の役割を「半日程度効くロキソニン」て言ってます。ガッツリ効いちゃいけないんです。ちょっとね、ちょっと楽になって毎日が楽しくなる存在でいたいんです。

 そんな純烈ですから、メンバーにも無理強いはしていません。「何時に起きろ」とか「〇〇しろ」とかいいません。お客さんを楽しませる方法は、それぞれのやり方でいい。でも、手を抜き出したら置いていきます。辞めてもらいます。

 最近は純烈みたいな感じの若い人たちも出てきてますね。若いとスタッフやしきたりなんかに太刀打ちできないこともあるから大変だと思いますが、頑張ってほしいですよね。あと、僕らは特撮ものとかやってからこちらに来たので、最初から何もなかったわけではないのでね。その分いろいろと地獄を見てきましたしね(笑)。

 最初から純烈なんか目指すな、って。世界とか、もっと大きな舞台を目指してほしい。純烈なんて踏み台でいいんですよ。もともと、お客さんをはじめ、みんなを支えてあげる存在なんですから。

白川裕二郎
しらかわ・ゆうじろう 1976年12月11日生まれ。神奈川県出身。185cm。

 確かに今、忙しいのかもしれないけど、ありがたいことですよね。去年の今頃には純烈のことなんてなんにも知らなかっただろう人たちが、「あ、純烈だ」とか言ってくれるんです。うれしいですよね。皆さんを裏切ってはいけないから、声をかけていただいたらどんなに疲れていても挨拶をするようにしています。

 やっぱり紅白歌合戦に出られたのは大きいと思います。何十年も続いている伝統の番組ですからね。テレビ出演や、こうやって取材もしてくださるメディアさんも増えたし。ここまで変わるとは思いませんでした。

 今年の初め、世間を騒がせるようなことがあって。「さあこれから!」というときだったのに、いきなり仕事が全部なくなってしまってもおかしくない状態になって。もうどうしたらいいかわからなかったですよ。でも、以前からよくしてくださっていた前川清さんにいろいろ面倒をみていただいて。梅沢富美男さんに声をかけていただいたり。そして、ファンのみなさんに支えられて……。おかげさまで今の状態になっているわけです。もう、疲れたとか眠いとか言ってられないです。

 ファンの方々からは、「夫を亡くして気力を失っていたけれど、純烈のおかげで立ち直れました」「病気だったけど純烈を応援して元気になれた。ありがとう」といったような内容のお手紙をいただきます。自分たちはみんなを元気にするのが仕事なんだから、ますます頑張らないと、と思いますよね。あと、純烈は僕たちだけじゃない。スタッフも、そしてファンの方々の思いも含めて「純烈」なんだ、と思います。

 おかげさまで忙しいのはいいことなんですが、悩みがひとつ。筋トレに行けてないので体脂肪率が24%になっちゃったんですよ! 一時期は9%を誇っていたのに……。もともと甘いものが大好きなので、仕方ないんですけどね。

 街中のお店とか、サービスエリアとか、ソフトクリームが売ってると行く先々で買っちゃう。プラス、仕事が終わった後にコンビニでアイスを買うと。そりゃ仕方がないんですけど。最近はさすがに節制しているんですが、また、ファンの方々が、おいしそうなお菓子を差し入れしてくださるんですよね……。それがまた珍しい高級な和菓子とかだったりすると、「ちょっとくらい、ま、いっか」って……。

 もうほんとまずいです! ファンのみなさん! 僕にお菓子の差し入れは禁止ですよ! 太った白川裕二郎は見たくないでしょ! 約束ですからね!

◆純烈
2010年に「涙の銀座線」でメジャーデビュー。2018年に初の単独全国コンサートツアーを開催し、年末のNHK『紅白歌合戦』に初出場。2019年1月より4名体制となる。名前は「純粋であり、かつ強く正しく節操や分別がある」「志を変えずに最後まで貫く」という意味を込める。

◆野村佐紀子
のむら・さきこ 1967年山口県生まれ。九州産業大学芸術学部写真学科卒業。91年より荒木経惟に師事。93年より東京中心にヨーロッパ、アジアなどでも精力的に展覧会をおこなう。主な写真集に『裸ノ時間』(平凡社)、『愛ノ時間』(BPM)、『夜間飛行』(リトルモア)『残夢 松本幸四郎』(Akio Nagasawa Publishing)などがある。8月23日から全国公開される映画『火口のふたり』(主演:柄本佑)では、作品内での重要役割となる写真を撮り下ろしている。

撮影協力:東京お台場 大江戸温泉物語、湯乃泉 草加健康センター
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