FC東京に復帰したMF久保建英【写真:Football ZONE web】

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横浜FMへのレンタルから復帰 練習試合で得点を決めるだけでなく守備面でもアピール

 J1のFC東京は長谷川健太監督の下で2年目を迎え、23日にはリーグ王者・川崎フロンターレとの開幕戦を迎える。

 東京五輪世代のFW田川亨介(←サガン鳥栖)、韓国代表MFナ・サンホ(←光州FC)、ブラジル人FWジャエル(←グレミオ)ら新戦力を加えたなか、注目を集めるのが横浜F・マリノスへの期限付き移籍から復帰したMF久保建英だ。“外”でもまれた17歳は、チームスタッフの目から見ても逞しさが増したという。

 バルセロナの下部組織で育った久保は2015年に帰国。FC東京の下部組織で経験を積み、17年11月にFC東京とプロ契約を結んだ。長谷川体制となった昨季は、開幕戦の浦和レッズ戦に途中出場するなど、4試合で出番を与えられたが、プレー時間は計58分止まりだった。さらなる成長を求めてシーズン途中に横浜FMへの期限付き移籍を決断し、元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ擁するヴィッセル神戸戦で移籍後リーグ戦初出場を果たすとともに、J1初ゴールをマーク。横浜FMではリーグ戦5試合1得点の成績を残した。

 今年1月12日に期限付き移籍期間満了に伴い、FC東京復帰が決定。始動日には「自分がここで言っても始まらない」と成長はピッチでのプレーで証明していくことを誓ったが、沖縄キャンプ最終日に行われた名古屋グランパスとの練習試合(45本×4本)では右サイドハーフで出場してゴールを奪うなど、宣言通りキャンプでアピールして見せた。

 2015年からFC東京に在籍し、昨季まではU-23チームの監督として久保の指導にもあたった安間貴義コーチは、17歳のアタッカーの成長を次のように証言する。

「タケはこのチームで(試合に)出ようとしている。中締めとかボールへのプレッシャーとか、守備のルールを受け入れられるようになった。攻めと守りがあってサッカー。それをつなぐ切り替えとか守りが決して得意ではなかったけど、それを積極的にやるようになってきた」

「ポジションはもらえるものじゃなく、勝ち獲るものだという気概を感じる」

 長谷川監督の標榜するサッカーにおいて、サイドハーフは肝になるポジションの一つで、攻撃だけでなく、激しいアップダウンやプレッシングなどハードワークが求められる。昨季までは持久力やインテンシティーが追いつかず、MF東慶悟とMF大森晃太郎の牙城を崩せなかった。しかし、17歳になってフィジカル面でも変化が見られると安間コーチは証言する。

「例えば、ボールを奪って前に出ようとした時に、これまでは体を入れて奪われていた。でも、今はターンで前に出ようとした時に(相手に)ぶつかっても前に出られるから、ファウルをもらえるようになった。その違いは大きい」

 無論、決してポジションが約束されているわけでなく、サイドは東や大森に加え、新加入の韓国代表MFナ・サンホらがひしめく激戦区だ。それでも、安間コーチは久保の貪欲な姿勢を高く評価する。

「プロはやっぱり現場でもまれるのが一番。ポジションはもらえるものじゃなく、勝ち獲るものだという気概を感じる。今はタケも面白いと思う」

 成長はピッチの上で見せていく――。始動日に口にした“公約”を果たすべく、久保は勝負のプロ3年目のシーズンに挑む。(Football ZONE web編集部)