未払い残業代を求めて裁判を起こしたところ、雇用の継続を拒否されたとして、大手タクシー会社「国際自動車」(東京都)で働いていた60〜70代の社員12人と労働組合が、会社と争っていた訴訟は2月13日、東京高裁(川神裕裁判長)で控訴審判決があった。

一審判決が概ね維持され、全12人と労働組合に対する慰謝料と、12人中6人について雇用継続拒否から現在までの未払い残業代が認められた。会社に対する支払い命令は、計約4400万円。

●一審判決の枠組みは概ね維持

原告となった労働者は、当時の年齢ごとに(1)65歳の3人、(2)66〜74歳の7人、(3)75歳の2人、という3つの年齢帯に分けられる。裁判では、それぞれについて、雇用を継続しなかったことが適当かが争われた。

具体的な争点は「労働契約法19条」が及ぶかどうか。同条では、(1)契約を反復更新している有期労働者や(2)契約更新を期待することに合理的理由がある有期労働者について、「客観的に合理的な理由」などがなければ、会社側が契約更新を拒否できないとしている。

裁判所は一審同様、反復更新があったことなどから、有期契約だった66〜74歳の年齢帯については、社員の地位にあると判断。会社に対し、未払い残業代の支払いを命じた。

ただし、7人のうち1人については、休業期間が長いことから、雇止めは有効とされ、逆転敗訴となった。

それ以外の年齢帯については一審と同じ判断となった。65歳で定年後再雇用されなかった社員については、雇用継続の拒否を認めた。また、75歳の社員については高齢であることなどを理由に、契約更新への合理的期待は認めらないとした。

また、雇用継続の拒否は、原告らが裁判を起こしたことが理由だとして、一審同様、全12人と労働組合に対する慰謝料を認めた。

特に65歳の3人については、一審の10万円から増えて、100万円が認められた。

(弁護士ドットコムニュース)