他人の家を訪れた際に、下着を探し出して撮影。そして、元の場所に戻すーー。彼氏がこんな行為を繰り返していることについて、彼女から「逮捕されますか」と弁護士ドットコムに相談が寄せられました。

彼氏は彼女の実家を訪れた際に、彼女の母や妹の下着を撮影していたそうです。1つの下着について、置き方を変えて何枚か撮影し、プリクラなど顔がうつっている写真も合わせて撮影していたとのことです。

さらに、彼氏の会社の先輩の家を訪問した際にも、先輩の彼女の下着をタンスから取り出して撮影し、元の場所に戻していたそうです。

彼氏はこれらの行為を認めているのですが、犯罪になる可能性はあるのでしょうか。もし持ち帰ったり、汚したりした場合にはどうなるのでしょうか。寺林智栄弁護士に聞きました。

●住居侵入罪に該当する可能性

下着の写真を撮る行為自体は犯罪なのでしょうか。

「犯罪になるとはいえないでしょう。

しかし、そもそも下着の写真を撮ることが目的で自宅に来ているのであれば、居住者のプライバシーを侵害するものであり、正当な立ち入りとは言い難いので、住居侵入罪に該当する可能性があるのではないかと思います」

持ち帰ったり、汚したりした場合はどうなるのでしょうか。

「下着を持ち帰る場合にはもちろん窃盗になります。

汚した場合については、汚れ具合やどのような状況下で汚れたのかによって犯罪の成否が異なるのではないかと思います。

あまりにもひどく汚れてしまって、その後洗っても使えないような状況になった場合には器物損壊罪になるでしょう。

そこまでではなくても、例えば彼が身に着けることによって汚れてしまった場合にも、器物損壊罪が成立する可能性があります。過去の判例に、鍋に放尿する行為が、その鍋の効用を喪失させる行為だとして器物損壊の成立を認めたものがあります。

彼が身に着けることによって汚れてしまったような場合には、この例からすると器物損壊罪が認められることもありうるのではないかと考えます。

ただ、彼が行為を認めて、撮った写真やそのデータを捜査機関に素直に提出しているような場合には、逮捕される可能性は低いと考えられます」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
寺林 智栄(てらばやし・ともえ)弁護士
2007年弁護士登録。東京弁護士会所属。法テラス愛知法律事務所、法テラス東京法律事務所、琥珀法律事務所(東京都渋谷区恵比寿)を経て、2014年10月開業。2018年11月から弁護士法人北千住パブリック法律事務所(東京都足立区千住)。刑事事件、離婚事件、不当請求事件などを得意としています。
事務所名:北千住パブリック法律事務所
事務所URL:http://www.kp-law.jp/