韓国とオーストラリアが、アジアカップから姿を消した。1月25日の準々決勝で韓国はカタールに、オーストラリアはUAEにそれぞれ0対1で敗れた。

 スタジアムで見た韓国対カタールは、率直に言って低調な内容だった。決定機と呼べるシーンがなかったわけではないが、攻撃の鋭さや持続性が薄いのである。

 残り10分に近づいたところで、カタールがミドルシュートから先制した。リードされた韓国は慌ただしく攻めに出ていくが、カタールはゴール前を固く締めてきた。終盤のパワープレーも実らず、韓国は沈黙の時間を過ごした。

 0対1とされた直後にVARで得点を取り消されたが、ビデオアシスタントレフェリーによる判定に間違いはなかった。0対1のままカタールが押し切ったのは、決して波乱ではない。

 韓国は決勝トーナメント1回戦から、中2日で臨んでいた。しかも、延長戦まで戦っていた。試合間隔はカタールも同じだが、彼らは90分でイラクを退けていた。大会も5試合目となれば、わずか30分でもダメージの違いとして現われる。韓国を苦しめたのはVARではなく、試合日程だった。

 オーストラリアもふるわなかった。韓国と同じようにボール支配率では相手を上回るものの、決定的なシーンは多くなかった。

 失点はバックパスをさらわれたもので、端的に言えば自滅である。自分たちで試合を難しくしてしまい、そして大会から去ることになった。

 オーストラリアとUAEは、決勝トーナメント1回戦が延長戦までもつれた。オーストラリアはそれでも決着をつけられず、PK戦で何とかヨルダンを振り切った。

 中3日で迎えた準々決勝は、条件的には同じに映る。違いがあったとすればモチベーションだろう。

 元日本代表監督のザックことアルベルト・ザッケローニが率いるUAEには、開催国としてのモチベーションがある。オーストラリアには4年前の準決勝で敗れており、今回の対戦にはリベンジの意味合いもあった。

 UAEにとってはホームゲームだが、内容で圧倒することは求められていない。南半球からやってきた来訪者には、ロシアW杯アジア最終予選でも連敗した。試合翌日の地元英字紙が“アップセットの日”との見出しを打ったのは、メディアやサポーターの期待値や温度を表していただろう。

 日本がベトナムに1対0で勝利したゲームは、国内のメディアからあまり評価されなかった。

 森保一監督はスタメンを変えない。

 選手交代を引っ張る。

 交代選手もパターン化している。

 控え選手をより多く使っていないので、チーム全体の底上げができていない。

 流れのなかから得点できていない。

 そもそも、もっと点差をつけて勝つべき試合では──批判の種を集めると、こんな感じになるだろうか。
 
 どれもそのとおりだとは思う。今大会の日本は、グループリーグから準々決勝までの5試合すべてを1点差で勝利している。アジアカップでは初めてのことだ。1対0の試合がすでに3試合あるが、これもアジアカップ初である。
 
 その一方で、グループリーグから白星を5つ並べたのも、実は初めてのことである。過去4回の優勝への道のりでも、グループリーグでは引分けがある。
 
 こうしたデータから浮かび上がるのは、面白みにはかけるもののしぶとく勝ち上がっている姿だ。決勝トーナメント1回戦から準々決勝のベトナム戦までは、中2日で戦ったことを忘れてはならない。同じ条件で韓国は疲労を隠せずに散ったが、日本は勝利を逃さなかった。
 
 過去4度の優勝を振り返っても、結果と内容のどちらも周囲を納得させた大会があっただろうか。W杯の翌年開催となった11年以降が、比較対象としてふさわしい。