【戸塚啓コラム】面白くはないが、しぶとく勝ち上がる。22年を見据えながら勝つ森保ジャパンの真価
11年はドラマティックな試合が多かった。主力の出場停止でスタメンに抜擢された選手や、途中出場の選手が結果を残した。しかし、チーム全体の底上げが一気に進んだかと言えば、実はそうでもない。レギュラークラスが経験値を上げた大会である。
15年大会も状況は同じだ。ハビエル・アギーレは優勝するために遠藤保仁を復帰させ、ブラジルW杯を戦った選手たちで連覇に挑んだ。しかし、ベスト8に終わった。乾貴士がスタメンで、柴崎岳と武藤嘉紀が途中出場で起用されたが、4年前と同じようにレギュラークラスがさらに経験を積んだ大会と言うことができる。
11年や15年と比べて、今回のチームは経験の少ない選手が多い。ヨーロッパでプレーする遠藤航、堂安律、南野拓実、冨安健洋らも、アジアカップに出場するのは初めてだ。29歳の権田修一、28歳の酒井宏樹、27歳の原口元気らも、アジアの頂点を目ざす戦いにレギュラーとして参戦したことはなかった。
22年のカタールW杯を見据えて世代交代をはかるなかで、現時点で主力と見なされる彼らに経験を積ませるのも、確実に意味がある考えることはできる。
だからといって、イランに負けていいわけではない。今大会でもっとも安定感があり、かつ完成度の高い相手にどのような試合をするのかで、これまで戦ってきた5試合の価値が上がりも下がりもする。
関連情報(BiZ PAGE+)
1968年生まれ。'91年から'98年まで『サッカーダイジェスト』編集部に所属。'98年秋よりフリーに。2000年3月より、日本代表の国際Aマッチを連続して取材している