現代車以上に「人馬一体」の走りが楽しめる

 旧車に乗って30年以上。個人的な意見も大いに含めて、旧車の魅力について改めて考えてみよう。「今のクルマはつまらない」などの嘆きも聞こえてくるが、具体的にはどうなのだろうか。

 一番大きいのはピュアであるところだ。安全性うんぬんは別にして、車両重量は1トン切りは当たり前だし、エンジンも持てるものを限界まで出すべくぶん回すことができるうえに、アクセルもダイレクト。ハンドルも切っただけ反応してくれる。今でも人馬一体という言葉がよく使われるが、旧車はすべてにおいて高いレベルで人馬一体だ。

 デザイン性も大きなポイントだろう。メーカー毎の個性もはっきりとしていたし、いい意味でラインや面に無駄があるから、個性も出る。やはり今のクルマはデジタルで効率はいいのだろうけど、どこか無駄がない。

運転しにくいのも旧車の魅力

 まぁ、ここまではよく言われることだが、ここからはオーナー自らの主観的な旧車の魅力を紹介しよう。まずは壊れたり、よく調子を崩すのも魅力だ。プロに頼むにしても簡単なケアはできたり、してあげたほうがいいのが旧車だけに、いろいろと面倒を見てやっているうちに愛着がわく。問題がなくても日によって調子は違うし、冬場ともなれば始動にひと苦労というのも、同じく愛着につながる。

 そしてあえていうのが「運転しにくい」のも魅力だ。誤解を恐れずに言えば危ないこともあるのだが、ミッションが入りにくい、曲がらない、止まらない。ステアリングは重たくて、すえ切りなんて腕がパンパン。さらにはうるさいし、初期のFFは雨のコーナーでアクセル踏むとステアリングが暴れるだけでなく、横に飛んだりした。またFRも雨だとお尻が流れて怖かったり。

 でも、これらを乗りこなせるようになるのが旧車に乗る醍醐味だ。このあたりは今のクルマにはないのは確かだし、この点を魅力と感じないと旧車には乗れないかも。この微妙なところ、今のクルマを面白くするヒントが隠されている気もするのだが。