鼻毛チェックが肝心

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あ、課長の鼻毛が出てる。教えてあげたいけど......言えない――

仕事上のやりとりをするなかで、他人の鼻毛が出ていることが気になったことがある人は8割近くに及び、そのうち9割超の人が「指摘できなかった・しなかった」経験がある、という調査結果がまとまった。ビジネスマナーの観点からは、知らん顔をしているのと、何だかの形で指摘をするのとでは、どちらが望ましい行動なのか。専門家に聞いた。

気付いた人の9割が「指摘できなかった・しなかった」

調査結果は、家電大手のパナソニックが2018年8月27日、発表した。ビジネスパーソン男女500人に、仕事上の場面で「見つけると気になってしまう」他人の身だしなみについて聞いたところ(複数回答)、1位は「鼻毛が出ている」で59%、以下、2位「髪が乱れている」(53%)、3位「服が汚れている」(44%)と続いた。

さらに、他人の鼻毛が気になった経験がある人は78%で、このうち92%の人が「他人の鼻毛に気付いたにも関わらず、指摘できなかった・しなかった」経験があると答えた。全体の約72%に当たる計算となる。

次に、相手の属性ごとに「鼻毛が出ていることを指摘できるか」を質問すると、「誰にも指摘できない」という人が69%にのぼった。指摘できる相手の最多は「後輩」で、それでも30%と半数を大きく下回っている。2位以下は、部下(28%)、3位「先輩」(11%)、4位「上司」(6%)と続く。社外の人となると、さらにハードルが上がり、「外注先」は5位で4%、「クライアント」は6位で3%だった。

鼻毛発見にまつわるエピソードも紹介しており、上司の鼻毛が出ていることに会話の途中で気付いたが、「話がありがたい説教のような内容だったので、なおさら指摘しづらかった」という26歳男性もいたそうだ。傾向としては、「指摘した・指摘された」という話はほとんどなく、「後で自分で気付いた」というパターンが多い、と分析している。

調査は、インターネットを通じて7月12、13日に実施。20〜50代の会社員男女500人を対象とした。

調査結果からは、「気付いたけど、指摘できない」という人が多い傾向が浮き彫りになっている。結果発表の前後数日の日付のツイッターをみると、

「帰宅して気が付いたけど鼻毛が束で出てた。何で誰も指摘してくれないんだ」
「股間のチャックが開いていることは指摘できても、鼻毛はできぬわ...」

など、やはり、指摘が困難な状況がうかがえる書き込みが次々と見つかった。

「基本的には、教えてあげるのが優しさだと思います

では、実際に職場で鼻毛が出ている人をみかけた場合、どう対応すると良いのだろうか。企業へ講師派遣などを行っているクオリティアップアローズ(仙台市)のマナー講師、小藤弓さんに話を聞いた。

「基本的には、(出ていることを)教えてあげるのが優しさだと思います。そのまま商談に行ったりすると、本人も可哀想ですし、『担当者がだらしない』と会社のイメージが下がる可能性もあります」

ただ、具体的な対応方法は、相手との関係性で異なってくる。

(1)部下や後輩の場合:「積極的に教えてあげるべきでしょう。『鼻にちょっと...』などの優しい言葉がいいですね」。
(2)上司や先輩の場合:「相手の目線を見て自分の鼻を触るなど、ジェスチャーでさりげなく伝えてみましょう。口頭の場合は『差し出がましいようですが...』とクッション言葉を使うのもいいですね」
(3)初対面の人の場合:「これは難しいですね。言えなくてもやむを得ないでしょう」
(4)異性(女性が男性に伝える)の場合:「手鏡をそっと差し出すとよいでしょう。(男性が女性に伝えるパターン)これは想定しにくいですね」

最後に小藤さんは、伝える場合には、関係性に応じて「話し方」「声の大きさ」を工夫することも大切だと指摘。

「優しい言い方を心がけましょう。先にも触れたように、本題の前にちょっとした言葉、クッション言葉をはさむとよいですよ」