By Verónica Bautista

女性が自分のセクシーな姿をスマートフォンで撮影してSNSなどで公開するという行動には、「女性が差別されている」「社会的に弱い立場にある」といった原因が背景にあるのではなく、男女の間に存在する経済的格差が影響を与えているという研究結果が発表されました。

Income inequality not gender inequality positively covaries with female sexualization on social media | PNAS

http://www.pnas.org/content/early/2018/08/20/1717959115

Sexy selfies part of a complex game of evolution | UNSW Newsroom

https://newsroom.unsw.edu.au/news/science-tech/sexy-selfies-part-complex-game-evolution

There's a Disturbing Link Between Women Posting Sexy Selfies And Income Inequality

https://www.sciencealert.com/sexy-selfies-on-social-media-are-more-common-when-there-s-income-inequality

この研究結果を発表したのは、ニューサウスウェールズ大学のジェンダー心理学者で共同執筆者の一人であるKhandis Blake氏らの研究チーム。新たに発表された論文の中では、女性がセクシーな自撮り写真を公開して性的魅力を表現するという行動には、従来考えられていたような「女性を性的な対象として認識する抑圧的な文化」が影響を与えているわけではないことが明らかにされています。



論文によると、女性はむしろ無意識のうちに性的な要素を不平等な所得に対抗するための武器として使っていることが浮き彫りになっているとのこと。Blake氏は「若い女性がスマートフォンで自分のビキニ姿を挑発的にレタッチしている時、女性は不平等な家父長制に対する屈服のことを考えているわけではありません」「研究室での詳細なケーススタディを含むセクシーな自撮りに関する我々の研究からは、女性はその時、力強さや積極性、そして自分自身をコントロールしていることを感じていると思われます」と述べています。

研究チームはTwitterとInstagramに投稿された6万8000枚以上のセクシーな自撮り写真を集め、それぞれの写真の位置情報を特定しました。次に研究チームは得られた地理データに基づき、アメリカの5567の都市と1622の郡における男女間の所得の不平等格差に関するデータを収拾してデータを照合。すると、男女間の収入格差が大きい地域になるほど、女性が性的な自撮り写真を多く投稿する傾向にあることが判明したとのことです。



By Miroslav Vajdic

研究チームはさらに、美容院と女性向けアパレルの売上データを収集。すると、セクシーな自撮り写真が多い地域では、女性の外観に関連した商品やサービスの売上が他の地域に対して比較的高いことが判明したとのこと。

これらの結果から研究チームは、セクシーな自撮り写真と外観を向上させる女性の取り組みは、女性の間における激しい競争性を示す指標であると考えています。これについてBlake氏は「心理学では、経済的不平等は個人の相対的な社会的地位やあらゆる社会階層のレベルにある人々のステータスに対する不安をあおることがわかっています」と述べ、経済的な格差に起因する不安がセクシーな自撮り写真の背景に存在していることを示しています。

またBlake氏は「今回の研究結果は、例えばアメリカやシンガポールなど、女性の社会的地位の向上により『持つ者』と『持たざる者』のギャップが拡大している先進国の中で、女性がセクシーな自撮り写真を投稿するために時間と労力を費やす可能性が高いことを示唆しています」とも述べており、同様の傾向が113カ国のSNS投稿の分析から浮き彫りになっていることを明かしています。

今回の研究からは、女性のセクシーな自撮り写真は「自己執着」や「ナルシシズム」に基づいた行動ではなく、選べる手段がほとんどない環境の中で「外観」は女性が生活を改善するための方法の一つである可能性が示されているというわけです。Blake氏は「若い女性にセクシーな自撮り写真をやめるように説得することは、若者に対して自分の価値が時間とともに減少することを知りながらもその資本を捨てるように求めるようなものです」と述べています。



By Ellen De Vos