世界最大規模のアニメーション映画祭として知られるフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭2018の長編部門コンペティションに、細田守の新作『未来のミライ』が選出され、現地時間6月12日(火)に公式上映舞台挨拶が行われた。

現地時間の6月11日(月)にフランス・アヌシー市でアヌシー国際アニメーション映画祭が開幕。長編部門オフィシャルコンペティションに『未来のミライ』が選出された細田監督が現地を訪れ、大歓迎を受けた。アヌシー国際アニメーション映画祭は、1960年にカンヌ国際映画祭から独立してスタート。以来、世界で最も古く、最も大きなアニメーション映画祭として知られている。細田監督は2009年に『時をかける少女』で特別賞を受賞している。

映画祭初日にアヌシー入りした細田監督は、当日午後から早速メイン会場の「ボリュー」にてサイン会を行った。熱心な若いファンが細田監督のこれまでの作品のキャラクターのイラストをリクエストする姿も見られ、細田作品の人気がフランスに深く根づいていることが伺える。

公式上映は期間中6回実施されるが、その全チケットが早々にソールドアウト。6月12日(火)20:30から上映を行う映画祭メイン会場「ボリュー・グラン・サル」は、950名の観客で埋め尽くされ、上映前から高い熱気で包まれた。

細田監督は「『未来のミライ』は兄妹の話ですが、世界の映画のなかでも4歳の男の子が主人公なのはそうないでしょう。子どもだけでなく、昔、4歳の子どもだった人にも昔を思い出しながら観ていただけたら、きっと楽しめるのでないか」と作品を紹介。

上映が始まると山下達郎のオープニングテーマ曲に合わせて手拍子が起こり、早くも映画と観客が一体化。さらにくんちゃんの可愛い仕草に何度も笑い声が沸き、クライマックスには鼻をすすり、涙を流す人も。

今回初めて細田監督の作品を観たという初老の夫婦は、「どのシーンをとっても美しくグレート。子どもたちの可愛らしさに惹きこまれました」と。また、熱心な細田作品のファンで本作のために映画祭に訪れたという10代後半の女子学生は「家族のつながり、子どもの持つ繊細で複雑な心の描きかたが素晴らしかったです」と興奮気味に語り、別の女子学生も「細田監督の映画はどれもですが、『未来のミライ』はとりわけ個性的。子どもにとってはエンタテイメントなのに、大人にとってはインテリジェンスなところもあってとっても気に入りました」と話していた。

さらに、翌日6月13日(水)には、細田監督が登壇する記者会見が行われ、前日の舞台挨拶の大盛況を受けてか、メディアから熱心な質問が相次ぐ。劇中のお父さんと細田監督を重ねての質問や、くんちゃんやミライちゃんの住む家の構造やアニメーションの表現の可能性についてまで。海外のメディアの『未来のミライ』への関心の高さを感じさせた。なお、映画祭の授賞式は現地時間6月16日(土)夜に行われる予定。

細田守監督 コメント

舞台挨拶を終えた感想

11年前に『時をかける少女』で初めてコンペティションで上映されて、その後の『サマーウォーズ』以来のアヌシーでした。(上映のあった「ボリュー・グラン・サル」は)あらためて大きな会場だなと思いました。そこにたくさんのお客さんがいらして、上映後にはとても大きな歓声と拍手をいただけました。上映中の反応もすごくよく、笑いもたくさん起きて。素晴らしくいい反応で、本当にうれしかったですね。

映画『未来のミライ』は7月20日(金)より全国東宝系にて公開

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