*写真は海賊のイメージです

写真拡大

女性に対する性差別だという声を反映して、米・カリフォルニア州にあるディズニーランドの人気アトラクション「カリブの海賊」から“花嫁オークション”のシーンが削除されることが明らかとなった。このニュースを受けフィフィは、歴史を覆い隠すことが子どもに与えてしまう影響について思うところがあったという。

「大人の感覚で選ばれた、綺麗なものだけを見せられる子どもの不幸」

 このニュースを聞いたとき、私は最初、日本で言われていることだと思ったのね。だけど、実際にはアメリカでの話なんだということを知り、驚きと残念さが入り混じった気持ちになりました。

 たしかにアメリカって、私自身住んでいたときにも感じたけど、色んな摩擦が起きないように、昔から人種や女性に対する扱いには敏感なところがあった。

 今回も、女性に対する性差別だとする声を受け、削除することにしたと言っているけど、私はそれは建前なんじゃないかと思うんだよね。

 むしろ、今回のケースからは“汚い歴史には蓋をしろ”という姿勢を感じます。

 移民を締め出そうとする政策が議論されている今この時期、入植者からはじまる、アメリカの侵略の歴史に蓋をするという今回の行動には、どうしても反発を覚えてしまうんだよね。だってアメリカってそれで出来たわけじゃん。そして、性差別を受けながらも、そのなかから女性たちは自立して今の立場を築き上げてきたわけでしょ。

 たとえ子どもに夢を与える世界であったとしても、子どもには多少刺激が強かったとしても、綺麗なものだけを見せるという姿勢ではダメだと思う。汚い歴史であったとしても、きちんと子どもの目にも晒すことは必要なんじゃないかな。それは子どもにとっても、教訓を学ぶきっかけにもなるわけ。

 たとえば日本だと、「はだしのゲン」がそうですよね。歴史観はいろいろ議論されている作品ですが、私自身、如何に戦争が残酷なものであるかということは、あの漫画を読んではじめて知りました。学ぶべき教訓を得るためには、人間の残酷さを示すことも時として必要なんだと思う。

 もちろん、そのとき子どもの心は純粋に傷つくかもしれない。だけど、それよりも、知らされないことの方がよっぽどショックですからね。

 知ったうえで、自分はどうやって生きていかなければいけないか、子どもなりにそれぞれが考えるはず。大人の感覚で、勝手に綺麗なものを選んで、それだけを見せていくということは、子どもにとって不幸なことだと思います。

「知るチャンスを大人が奪ってはいけない」

 大人の感覚で選ばれた、綺麗なものだけを見せられる子どもの不幸--このことは、本当に最近さまざまなシーンで痛感します。

 そんななか、7月2日に放送され好評を博した『地球征服するなんて 大アマゾン2時間半スペシャル』(テレビ朝日系)において、ナスDさんたちが部族の人たちの生活に密着する様子を放送する際、裸で生活する部族の人たちの姿をそのまま映したことには良い意味で衝撃を受けました。

 ある時期から、部族の人たちの裸にモザイクがかけられて放送されることが多くなりました。あえてモザイクをかけなかったということにね。

 裸を見せることで、子どもたちも一瞬衝撃を受けるかもしれない。だけど、その人たちの生き方を尊重するのであれば、逆に隠すというのは失礼なことだよね。

 私たちの価値観で不自然に覆い隠し過ぎてしまうことは、その人たちの文化を尊重していないことに繋がるんじゃないかなと思うわけです。恥ずかしいよって言っているようなもので。

 実際、番組の途中では、子どもと一緒に番組を見ていたお母さんの「ママ、明日、ここに行きたいと言われた」というツイッターを紹介していましたけど、こういうものを見て、子どもたちは知らなかった世界を学ぶわけです。知るチャンスを大人が奪ってはいけないと改めて思いましたね。

<構成・文/岸沙織>