<新刊レビュー>文豪による焼きそばの作り方、村西とおる借金録、冷蔵庫の教科書
タイトルそのままの”焼きそば文学”。(架空)
■『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』
(神田桂一/菊池良=著 979円+税 宝島社)
太宰治、三島由紀夫、村上春樹といった名だたる文豪たちの文体で「カップ焼きそばの作り方」が書かれた1冊。作家ごとに、その作家に“ありそうな”言葉で、カップ焼きそばの作り方が語られる。例えば、こんな具合に──。
村上春樹→《完璧な湯切りは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね》、芥川龍之介→《申(さる)の刻(こく)下(さ)がりの出来事である。下人(げにん)は六分の空腹と四分の好奇心とに動かされて、カップ焼きそばに手をかけた》……。
その作家の作品を知っていればきっと「わかる! わかる!」と、クスッと笑えるフレーズが満載。もともとこれ以前にもネットでは“村上春樹風に〇〇を語る”という話題は多く見られ、うがってみればそれをパク……いや、オマージュ、いや、本歌取り、いやこの場合は、本歌は文豪たちになるので、本歌取り“取り”となるが、内容はおもしろい。
頭を使わず楽しめる、それこそお湯を入れた後の3分間にでも読んでほしい1冊。
(文/週刊女性編集部)
借金50億円を返済しためげない男、村西とおるのカネにまつわるエッセイ集
■『裸の資本論 借金返済50億円から学んだおカネの法則41』
(村西とおる=著 1500円+税 双葉社)
AVの帝王と呼ばれる村西とおる監督の、カネにまつわるエッセイ集である。ただし「AVを作っていかにうまく稼ぐか教えます」なんて、軽い内容の本ではない。
幼少時代、両親がカネのせいで離婚したエピソードに始まり、1日12時間百科事典を売り歩いたセールスマン時代。裏本を作り逮捕されながらも数億円を荒稼ぎした話。任天堂の社長、つぼ八の創業者など各界の大物と互角以上に渡り合った話。すべてを失い50億円の借金を背負ったとき、債権者に深夜のダムに連れて行かれて「飛び降りてよ」と言われた話……などなど、常人では一生経験することがないであろう、カネにまつわる壮絶な経験談が連なる。
借金などで悩んでいる人はぜひ読んでもらいたい。きっと、自分の悩みなんて大したことないなーと、気が楽になるはずだ。カネの話をしながらも、監督は、愛や夢や死について熱く語る。人が生きるとはどういうことか? という本質に迫っていく1冊だった。
(文/村田らむ)
家事の手間や無駄遣いが激減!これがホントの正しい冷蔵庫の使い方
■『ひと目でわかる! 冷蔵庫で保存・作りおき事典』
(島本美由紀=著 1200円+税 講談社)
何げなく使っている冷蔵庫の賢いスーパー活用法満載の1冊。知っているようで知らなかった冷蔵庫の基本から、使いやすい冷蔵庫の作り方、食材別の冷蔵・冷凍保存法、解凍法、調理例、さらにはお手入れ法まで網羅しています。
“ひと目でわかる!”と謳(うた)うとおりページは写真や表を多用し見やすく工夫され、食材別の巻末索引も使いやすく高ポイント!
「家事は冷蔵庫を中心にまわっている」という著者・島本美由紀さんの言葉を借りれば、冷蔵庫が変われば家事は劇的にラクになるとか!? また正しい保存で食品ロスをなくし節約につなげ、ブームの「作り置き」もより長く美味しく保存するコツを紹介するなど家事の手間や食材の無駄をなくすテクもいっぱい!
本書は家事が少し苦手という人にはもちろん、ひとり暮らしや結婚祝いの贈り物にもピッタリな、あると便利な家庭の常備本といえそうです。
(文/松岡理恵)