桜丘vs早稲田実業
桜丘の原 悠莉が5失点を喫しながらも、粘り強いピッチングを披露し早稲田実業の強力打線を抑えた。140キロ台を超える速球投手として評判の原だが、想像以上にテクニックが長けた投手だった。
左足をしっかりと上げてから、間合いを取り、ゆったりと着地を行う。そこから左の股関節にしっかりと乗せてからしっかりと腕を振れる投手で、球速は常時130キロ中盤〜138キロだが、球速表示以上に勢いを感じさせる投手。さらに、スライダー、カーブ、シュート、フォークと変化球の球種も多彩で、コーナーぎりぎりに決まる。原が良いのは、走者を背負っても、自分の間合いで投げる意識で投げられること。間合いを長くしたり、短くしたり、嫌な雰囲気となっても、一度間合いを外したりと、いわゆる周りが見えている投手であった。
清宮 幸太郎から第1打席、フォークで空振り三振、4番野村 大樹から3三振を奪うなど、技ありの投球を見せた。
そんなテクニシャンから清宮はセンターフェンス直撃の二塁打、高校通算99号本塁打を打つのだからただ者ではない。改めて凄みが増している。
打線は2回表、一死一、三塁から併殺で1点を先制。3回表には一死一、三塁から松崎智有(3年)のスクイズが内野安打となり、1点を追加。続く3番中村 竜也(3年)の安打で、一死満塁のチャンスを作ると、4番鈴木啓介(3年)の犠飛で3対0と点差を広げ、その後も相手のミスを逃さず、14安打7得点と効率の良い攻めを見せていた。
原は8回裏、小西 優喜(3年)に3ランを浴びるも、最後まで気力を振り絞り、5失点完投勝利。早稲田実業を下した。
192センチの長身左腕・東海林碧波(早稲田実業)敗れた早稲田実業だが1人だけ面白い投手がいたので紹介したい。その名は東海林碧波(あおば・1年)。千葉北シニア時代は関東シニア5支部の代表選手として、第13回日台国際野球大会に参加している左腕投手だ。なんといっても目につくのが、192センチ76キロのすらりとした長身だ。手足が長く、さらに肩、肘の柔軟性も高く、投手として大事な柔らかさを持っている。
マウンド上の立ち居振る舞いを見ていても落ち着いており、自分の持ち味を発揮した。左スリークォーター気味から投げ込む直球は常時120キロ〜127キロと決して速くないのだが、コーナーに散らせることができており、想像以上に打ちにくい。そこから、90キロ台のスローカーブを織り交ぜる。同じ腕の振りから投げるので、愛知桜丘の打者が腰砕けになって空振りしてしまう姿が見られた。東海林は2イニングで1失点。1イニング目となった4回表にはアウトをすべて三振を取るなど、上々の投球を見せた。
まだ1年生で、体ができていないということもあってか、ボールにはまだ強さがない。だが体つきも大人の肉体へ変わっていく中で、ストレートも力強さとスピードが出てくるタイプだろう。早稲田実業どころか、東京都でもなかなかいない大型左腕タイプ。ぜひ大成することを期待したい。
(取材・写真=河嶋 宗一)
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