福岡ソフトバンクホークス・千賀 滉大投手「世界のSENGA」を支える「腕振りの統一性」【Vol.1】

写真拡大 (全2枚)

 今年、日本中を熱狂させた「2017 WORLD BASEBALL CLASSIC™」(以下、WBC)。準決勝で敗れるも優勝したアメリカと大激戦を演じた侍ジャパンにあって、世界中に強烈なインパクトを残したのが福岡ソフトバンクホークスの24歳剛腕・千賀 滉大だ。

 では、WBCのマウンドで彼の胸中に去来していたものとは?そして外国人選手からも三振を奪えるストレート・お化けフォークを真に支えているものとは?WBCオールスターズ投手部門に選ばれた「世界のSENGA」が、「高校野球ドットコム」読者のために今、真意を語る。今回は3回連載で紹介!

 まず第1回ではWBC2次ラウンドのオランダ戦や、好投に至った要因であるストレートと変化球との腕振りを変えない意識について、千賀投手が自らの言葉で語ります。

「WBC2次ラウンド・オランダ戦5回裏」を振り返る

千賀 滉大選手(福岡ソフトバンクホークス)

――千賀投手に、まずはWBCで考えていたことを1つのシーンを通じて振り返って頂きたいと思います。 2次ラウンドのオランダ戦5回裏・無死二・三塁のピンチを背負って迎えた3番のサンダー・ボガーツ(MLBボストン・レッドソックス)。ここではどのようなことを考えていましたか?

千賀 滉大投手(以下、千賀):1点もやれない状況だったし「バットに当てられたら、内野フライにはならない。1点入れられてしまう」と思っていたので、三振しか狙っていなかったです。

――フォーク空振り・ストレート見逃しストライク・フォークでボールになった1ボール2ストライクから155キロストレートで見逃し三振。その前の配球も含めて外角低めのみで勝負しました。

千賀:ボガーツはその前もフォークに反応するなど「フォークへの意識がかなりあるな」と感じていましたし、(小林)誠司さん(読売ジャイアンツ)もその点は言っていたので。155キロストレートは「いいボールが行き過ぎた」と思いましたけど(笑)よく投げられたと思います。

――続いて4番のウラジミール・バレンティン(東京ヤクルトスワローズ)です。外角ストレートで空振り・ファウル。内角高めボールで起こして最後は外角フォークで空振り三振でした。

千賀:(小林)誠司さんが普段セ・リーグで対戦してデータを持っている中、いかに内角を使うかがポイントでした。2つ目のボールは内角を狙ってのミスだったんですが、そこでファウルが取れた。「ここでインコースを投げておけば大丈夫」と思えました。 一回体を起こしたボールも含めて狙い通りに三振が取れたと思います。

――3人目はこれまでの右打者から、左打者のディディ・グレゴリウス(MLBニューヨーク・ヤンキース)でした。

千賀:二死からでも1本打たれたら2点入ってしまうので、全く気は緩めなかったです。最初はフォークを引っかけたんですが、(小林)誠司さんがよく止めてくれて、「フォークに対するケアを打者がしているな」と思って外角にストレートを投げたら、少し中に入りながらも打ち取れた。 結果オーライではありましたけど、フォークの意識を相手が持ってくれていたことが、ストレートを効果的に使えた要因だったと思います。

ストレートが「10割」なら変化球は「12割」で腕を振る

千賀 滉大選手(福岡ソフトバンクホークス)

――今、おっしゃったようにフォークはWBCでも千賀投手の代名詞となりました。このフォークの使い方についてはどのように自分では考えていますか?

千賀:フォークは自分としては全て「決め球」です。ただ、相手のケアが強ければそれが見せ球になるだけのこと。「今のフォークに手を出さないということは、相当フォークをケアしているな」と感じた時に、フォークを続けるのか、それともストレートにしていくかを選択していきます。