【世界の廃墟】かつてヒトラーも入院していた巨大な病院「ベーリッツ・ハイルシュテッテン・サナトリウム」
ベルリン郊外ベーリッツ。第二次世界大戦の終結の場となったポツダムから目と鼻の先にあるベーリッツですが、ここには巨大な軍事施設の廃墟があります。
それが今回ご紹介するベーリッツ・ハイルシュテッテン・サナトリウムです。
サナトリウムとは長期的な療養を必要とする人のための療養所のこと。
病院建設プロジェクトがはじまった当時、ヨーロッパでは結核、梅毒、アルコール中毒という3つの病気は「社会における災難」と考えられていました。
そのうちの1つである結核の治療には様々な議論があり、その中でもサナトリウム療法という治療方法が主流を占めていく事になります。
サナトリウム療法とは大気療法、安静療法、食事療法の三要素からなり、そのためサナトリウムは独特の形状をした病院建設が必要となります。
当時、ドイツにはビスマルク社会保険制度というものがあり、これによりサナトリウムの建設がすすみ、20世紀初頭には100以上ものサナトリウムがドイツ国内に整備されます。
その1つが今回ご紹介するベーリッツ・ハイルシュテッテン・サナトリウムです。
結核の治療施設として整備されたベーリッツ・サナトリウムですが、第一次世界大戦中は軍事病院として機能し、この地にアドルフ・ヒトラーが怪我の治療で入院した事でも知られています。
さらには第二次世界大戦中も、この病院は軍事病院として機能します。
当時、こちらのサナトリウムではその電力や生活用水など多くのエネルギーをまかなう為の巨大な石炭電力発電所が建設され、軍事病院併設の軍事訓練施設、さらにはレストランや映画館などが整備されました。
総面積200ヘクタール(東京ドーム約42個分)、施設数60以上を数える事からも、病院というにはあまりにも巨大な病院都市とも言える大きさであったことが分かると思います。
その後、ドイツの敗戦によって東ドイツ領内であったこの地はソビエト軍の支配下となり、現在は廃墟となってしまっています。
廃墟となった後、その退廃的な雰囲気が注目を集め、「戦場のピアニスト」や「ワルキューレ」などの映画のロケ地ともなった、ベーリッツ・ハイルシュテッテン・サナトリウム。
ガラスの割れた窓や色の褪せた建物から、当時は素晴らしいと賞賛されたに違いないほど豪華な作りが忍ばれるベーリッツ・ハイルシュテッテン・サナトリウム。
いかに人間が素晴らしい物を作ったとしても、100年も経たないうちに廃墟として朽ち果てていくその様は、まさに全ての物事は諸行無常であり、自然の力にはあらがえない、ということを強く痛感させられるに違いありません。
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名前 ベーリッツ・ハイルシュテッテン・サナトリウム( Beelitz heilstatten sanatorium )
住所 Str. nach Fichtenwalde 13 14547 Beelitz
行き方 ポツダム駅からRE7もしくはRB23でBeelitz-Heilstätten(ベーリッツ・ハイルシュテッテン)駅下車、徒歩10分程度(ベルリン市街地からは約1時間半程度)