「 回避性パーソナリティ障害 」
親しい対人関係を求めながら、傷つくことを恐れ、自分の殻に閉じこもり、他者との関係を避けるのが特徴です。

「どうせダメだ」「無理!」と思い込み、積極的な人間関係や活動を避けます。幼い頃から褒められず、いじめられ、苦労ばかりだったケースが多く、社会的引きこもり状態になりがちです。ここでは、回避性パーソナリティ障害の特徴と、このタイプの人への接し方を見ていきます。

回避性パーソナリティ障害の特徴


このタイプの人は、失敗や傷つくことを極度に恐れています。自信がなく「どうせ自分はダメだ」と、何もする前から思い込んでいます。
失敗も含めてさまざまな経験をする楽しみより、嫌な思いをする苦しみを心配し、何もしない方がまし、という気持ちが染みついているのです。
本心では人との触れ合いを求めていても、自信がなく、拒絶や否定によって傷つくことを恐れ、深い対人関係を避けています。他人の好意も、そんな自分へのとらわれから拒否してしまい、相手を傷つけることがあります。

幼少期のトラウマが原因になっていることも


回避性パーソナリティ障害の人は目立つことを嫌い、態度や物腰がおどおどし、精彩を欠いた印象を与えることもあります。また、うつ状態や不安障害で受診し、この障害が判明することがあります。
上に挙げたような「回避」の結果、長期間の引きこもりになる人も少なくありません。幼い頃から褒められたことがないとか、いじめや苦しい体験が多かった、あるいは、本人の意思とは無関係に親などが頑張らせすぎたことのトラウマが原因となっていることも指摘されています。

回避性パーソナリティ障害 接し方


本人の主体性や気持ちを尊重することが大切です。同じ試練や困難を乗り越えるにしても、自分の意志で主体的に取り組んだ場合と、嫌々ながらやらされたのとでは、まったく違った心境になります。そのことを体験することに意義があります。

反対に、周囲が先に判断して何かをやらせたり、手出しをしたりしてはいけません。求めていないものを与えるのは、回避性を助長するだけだからです。誰にでも回避行為はありますが、一時的にストレス源から離れ、休養すれば問題はありません。
ところが、そんな時に何とか頑張らせようと無理強いすると、回避自体が全般化・慢性化することになります。それが高じた結果が「長期のひきこもり」です。この障害が長引いている場合、義務感や責任感はプレッシャーになるので、周囲は焦らず、本人の意思を待つことが求められます。
そんな時、「どうしてできないの?」「やっぱり駄目ね」といった言い回しは禁句で、肯定的に根気良く接することがポイントなります。「いったん白紙に戻してリセットする」という取り組みも有効でしょう。

回避性パーソナリティ障害 克服


チャレンジが苦痛でないことを経験すること、失敗を恐れないことが大切です。何もしないでいること(=回避)が安全で苦痛がないわけではないことを本人が理解することがポイントとなります。
引きこもりは、豊かさの負の副産物でもあります。回避して引きこもっている場所が居心地のよいところだと長期化してしまうので、「必要に迫られて」「背に腹は代えられない」といった状況に自分を追い込むことで、回避の悪循環を絶つことができる場合もあります。

●山本恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院博士課程修了、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ 副社長