「さわやかな気持ちになりました」...カメを電車から救った水族館が出した、ちょっと素敵なプレスリリース
ポイントに挟まったカメ(須磨海浜水族園ウェブサイトより)
JR西日本の和歌山線では、毎年春から夏にかけて、列車がたびたびストップするというトラブルが発生していた。その原因を調べてみて、驚いた。なんと野生のカメが線路のポイント(分岐器)に挟まっていたのだという。
JR西日本から相談を受け、神戸市立須磨海浜水族園が調査に入ることになった。野生のカメの活動期は5月から8月。陸上を歩くカメが踏切を渡るとき、事故は起きるようだ。
2本のレールの間に落ちたカメが、レールに沿って進むうちに、やがてポイントにたどりつく。そして、ポイントの可動部の隙間に入り込む。ポイントが切り替わると、カメは挟まってしまう。そのため信号は変わらなくなり、列車はストップする、というわけだ。
さて、この問題をどう解決するか。「須磨水」のスタッフが知恵を絞って出した妙案とは、何だったのだろう?
「須磨水」のスタッフが提案したのは、○○?
U字溝におちたカメ(須磨海浜水族園ウェブサイトより)
「須磨水」のスタッフが提案したアイデア、それは「U字溝」だった。カメがポイントにたどり着く手前のレール下に、市販のU字溝を埋めておき、カメをそこに落下させる。レールの下で、安全に確保するという方法だ。
2015年4月、JR西日本はこのU字溝を、奈良県香芝市にある和歌山線五位堂駅構内の2カ所に設置した。すると、どうだろう。8月までに約10匹のクサガメやアカミミガメが溝から救出された。......ということは、10回近い事故が避けられたことになるのだろうか。
「須磨水」のウェブサイトには、次のように記されている。
列車の遅れを防ぐとともに、カメの事故死を減らす技術を誕生させることができたので、
JR西日本と当園、両者ともに、なんとなくさわやかな気持ちになりました。
「なんとなくさわやかな気持ちになりました」という文言がいい。動物たちのことを思いやる、園の心情がうかがい知れる。