関東を中心に展開する、立ち食いそばチェーン「ゆで太郎」をご存じだろうか。挽きたて、打ちたて、茹でたての「三たて」をモットーに、関東のみならず北海道や東北、九州、そして台湾にも展開しているチェーンだ。


その「ゆで太郎」だが、店舗は大きく2系統にわけられる。運営会社によって、「信越食品」(以下、食品)と「ゆで太郎システム」(システム)の店舗が、同じ屋号のもと共存共栄しているのだ。

そこで今回は、この「食品」「システム」の関係を調べ、どこが違うのか調べてみることにしよう。

そこには創業者同士の「ストーリー」があった

両者がどういう関係にあるのかは、システム公式サイトの「ゆで太郎の歴史」ページが詳しい。それによると、ゆで太郎システム社長の池田氏は、かつて弁当チェーンの本部で働いていたという。その当時、とあるフランチャイズ店のオーナーとして知り合ったのが、信越食品の社長、水信(みずしな)氏だった。

その後、水信氏は弁当店オーナーを辞め、かつてそば職人だった経験を生かし、1994年に「ゆで太郎」をスタートした。しばらくして、池田氏も弁当チェーンを辞め、約20年ぶりに水信氏と再会。「ゆで太郎」に興味を持ち、2004年にフランチャイズを専門にするシステムを設立したという。


ゆで太郎」店舗例(J-CASTトレンド編集部撮影)

つまり「ゆで太郎」直営店は食品、フランチャイズはシステムが運営しているというわけだ。両社は「もり」(320円)、「大もり」(370円)などの基本商品は同じだが、朝メニューの設定時間(食品は10時、システムは11時まで)など、メニューには多少の差がある。

「システム」にあって、「食品」にないもの

編集部のある麹町・半蔵門周辺は、食品運営の店舗ばかりだ。姉妹サイト「J-CASTトレンド」は2014年10月、編集部周辺の5店舗を食べ歩いたレポートを掲載したが、そのいずれも直営店。たまには違う気分を味わいたいと、最寄りのシステム運営店舗である、代々木東口店(東京都渋谷区)へ訪れ、「薬味そば」(460円)を食べてきた。


「薬味そば」は、食品にはないが、システムでは定番のメニュー。あげ玉とあぶらあげ、ネギ、ミョウガ、カイワレ、かつお節などをのせた、満足感のある逸品だ。直営店とフランチャイズを食べ比べることができるのは、「ゆで太郎」の魅力だろう。

以前、名古屋めしのニューカマー「台湾まぜそば」に影響された「台湾油そば」が期間限定で出た時には、わざわざ電車に乗って昼食に来たことも多々あった。あれはうまかったなあ――と思い出しながら、エビ天やかきあげなどがもらえる「21周年創業祭 無料クーポン券」片手に店を後にした。


ちなみに公式サイトのドメインは、食品が「yudetarou.com」で、システムが「yudetaro.jp」。「太郎」のスペルが若干違う。ちょっと違う、でもそこが良い。そんなところが「ゆで太郎」フリークの心をひきつけてやまない魅力ではないだろうか。