早稲田実業vs広島新庄
お盆期間中であり、第3試合には甲子園にも近い大阪偕星学園、第4試合には春優勝の敦賀気比も登場するとあり、7時15分の時点で阪神甲子園球場は満員御礼。そして4万7千人の観衆がもちろんお目当てとする第1試合、早稲田実業と広島新庄の試合は定刻通り8時に始まった。早稲田実業・松本 皓、広島新庄・堀 瑞輝の両先発で始まった試合、序盤は静かな立ち上がりとなったが、3回を迎えたところからめまぐるしく動き始める。
3回表、早稲田実業の攻撃。一死一三塁で、打席には清宮 幸太郎。1球ファウルの後、ライト前へのタイムリーを放ち先制点を奪う。なおも一死一二塁で打席には4番・加藤 雅樹。加藤の打球はショートへのライナーとなり、清宮が戻れずダブルプレー。この回は1点にとどまる。だが続く4回、一死一塁からこの試合スタメンの宮崎 廉太がタイムリースリーベースを放つ。さらに渡辺 大地の犠牲フライで宮崎が還り、この回2点を追加し、3対0とリードを広げる。高い打力を誇る早稲田実業のワンサイドゲームになるのかと思われたが、ここから広島新庄が反撃に出る。
一死から定永 真亮、岩本 卓也が連続で四球を選び、さらに代打・松井 塁がヒットを放ち一死満塁のチャンスを作る。続く遠目塚 彪が放ったのは、初球をセンター前へ弾き返す2点タイムリー。すぐさま1点差に詰め寄る。なおも一死一二塁、堀の打順で広島新庄は代打・北谷 奨吾送り込む。その北谷が期待に応えるセンターオーバーのツーベースを放ち、2点を追加。代打攻勢で一気に逆転に成功する。さらに二死一三塁からダブルスチールを敢行。猛然と突入してくる三塁走者・北谷に慌てたか、早稲田実業捕手・加藤が二塁へ悪送球。この間に北谷が生還し、広島新庄が5点目を奪う。
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だが、ここで意気消沈しないのが今年の早稲田実業。点の取り合いなら受けて立つとばかりにすぐさま反撃に出る。5回表、この回先頭の清宮がヒットで出塁すると、加藤もヒットで続き、無死一、二塁。金子 銀佑が送りバントを決め、富田 直希がライトへ2点タイムリーを放ち同点。試合を振り出しに戻すと、6回表には一死一二塁から主将・加藤がセンターへ勝ち越しタイムリーを放ちガッツポーズ。試合の流れを離さない。
その強い気持ちは、守備にも現れる。6回裏、広島新庄は二死二塁から大深 穣がセンターへ大きな打球を飛ばす。同点かと思われたところで、早稲田実業センター・渡辺 大地がセンターの一番深いところ、フェンス際ギリギリの打球をフェンスにぶつかりながら見事キャッチ。早稲田実業がリードを保ったまま終盤へと突入する。
早稲田実業1点リードのまま迎えた8回裏、広島新庄はヒットと送りバントで一死一三塁とすると、ここまで再三守備で好プレーを見せてきた杉村 泰嘉がライト前へ抜けるタイムリーを放ち、起死回生。同点に追いつく。
そして9回表、早稲田実業はどうしても点が欲しいこの場面で、この回先頭の加藤がヒットで出塁。主将が自らのバットでチームを盛り上げる。金子がバント失敗するも、富田 直希が四球を選び一二塁。続く宮崎 廉太がライトへヒットを放ち、満塁のチャンスを作り出す。二死となった後、打席に入るのは、一度は好守で同点のピンチを救った渡辺 大地。ここで渡辺が放った打球はライトへの値千金のタイムリー。またも早稲田実業が勝ち越しに成功する。
早稲田実業はその裏の広島新庄の攻撃を、先頭打者ショートゴロの後二者連続三振に打ち取りゲームセット。早稲田実業が接戦を制した。1回戦とは打って変わって点の取り合いとなったが、むしろそういった接戦ならばお手の物といった試合運び。プレッシャーに打ち勝ち、3回戦へと駒を進めることとなった。
(文=青木 有実子)
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