変わってきた、iPhoneと”母艦”ローカルPCの関係
同期（復元データのバックアップ）先がローカルPCであろうとiCoudであろうと、容量には限りがあるわけで、自動同期ってどうなんだろう？
ここで、iPhoneのデータの同期について、いまどうなっているのが、おさらいしておきたい。
◎iPhoneの自動バックアップは有効なのか？
というのは、第一に新機種に移行する際の復元トラブルだ。
iPhoneも何台目かになってくると、新機種に移行する際に旧機種のバックアップデータを使って復元するとトラブルになることもある。あれだけハードもソフトも機能が進化しているので、当然といえば当然だろう。
そのため、筆者もある時期からiPhoneとPCを自動同期はせず、「連絡先」はiCoudにバックアップし、アプリ類は基本バックアップをとらず、新機種にしたときにApp Storeからインストールし直すという形にしている。
第二に、iPhoneとiTunesの関係が変わってきたこと。
振り返れば、iPodのヒットに続けて登場したiPhone。いまではその流れを覚えていないくらい時間も経ち、進化を遂げている。…となると、その使い方も当然異なるわけで、iOS5になって単体でOSのアップデートが可能になり、復元データの保存先としてiCloudが使えるようになり、iPhoneと対になるiTunes搭載母艦が必要という鉄則（iPod時代からのもの）も崩れた。
写真もiCoudやGoogle Photoなどクラウドサービス、写真共有サービスを利用することで、ローカルのPCにバックアップする必要がなくなっている。また、iTunes Matchを使えば、PCのiTunesとiPhoneの同期は必要ない（できなくなる）。さらにいえば、最近になって続々と発表があった音楽の定額配信サービス。この種のサービスを利用すれば、楽曲ファイルをリアルに持つ必要すらない。
◎iPhoneはiTunesなしに使える!?
こうして、iPhoneはローカルPCから切り離され、独立して使えるようどんどん移行している。しかもストレージ容量を圧迫しないで済むわけで、これはうれしい。
とはいえ、iPhoneで撮影した写真や動画、ボイスメモなどのデータをPCで使いたいときはある。
いま、iPhone/iPadなどiOSデバイスとMac間の、最も簡単なファイル共有の方法はAirDropだ。AirDropは、OS X YosemiteがインストールされたMacと、iOS 8がインストールされたiOSデバイスで使える（双方でBluetoothをオンにする必要がある）。Macから「Finder」の「移動」メニューから「AirDrop」をクリック。すると、通信できる相手が検出されるので、ファイルなどダイレクトにドロップすればいい。iOSデバイス側からは写真やボイスメモなど、該当ファイルをタップすると「AirDropで共有」を選択することができる。
ただ純正アプリ以外ではこの方法は使えない。また、Phone4s以下の機体では使えない。そもそもMacのみという制限もある。SafariやDropBox、Evernoteなど、純正以外のアプリでも"AirDropに対応している"と言われるものもある。ただ、これは共有リンクを送信できるという形でファイルそのものを端末間でやり取りできるわけではない。
この場合はまだiTunesを使う必要がある。iTunesでは、デバイスの設定の「アプリ」タブから「ファイル共有」で純正以外のアプリ内のファイルを転送することができるようになっている。これは初期のiTunesにはなかった機能で、このことからもiTunesが「完全自動同期のためのもの」から「対象のiOSデバイスと個別にやり取りするツール」に変わったことがわかる。
このiTunesの変化は、これまでの流れからすると順当なのだろうが、本来の道筋としては、iTunesは完全にカスタマサービスが使うだけにしたいというところなのではないかと思う。将来的にはおそらくそうなるのだろう。
ただユーザーとしては、その際、iOSデバイスのアプリとのファイル転送の手段は確保しておいて欲しい。
それも、何も考えずに自動でクラウドに転送されているというものではなく、意識して必要なファイルを取り出すという形で。
無意識のまま、何でもクラウドに吸い取られてしまうのは嫌だし、必要なデータにはダイレクトにアクセスしたいものだ。
大内孝子
