「嵐」コンサート余波で学会が延期、大騒動 海外参加者はエアチケットのキャンセルができず・・・
アイドルグループ「嵐」のコンサート開催と日程が重複してしまったため、ある学会の大会が開催できなくなってしまった。総勢500人のゲストを予定していたが、ホテルや航空券の予約が取れず、お手上げになったからだ。
学会が大会開催の概要を公開したのは2014年10月。約半年間かけ準備をしていた。それが、15年4月30日の「嵐」のコンサート開催の発表で吹っ飛び、「一から準備をやり直すことになってしまった」と担当者は頭を抱えている。
今回は東日本大震災での復興をテーマとしたシンポジウムを計画
2015年9月20日、21日に仙台市の宮城教育大学で「第12回全国大会」の開催を予定していたのは日本質的心理学会。今回は東日本大震災での復興をテーマとしたシンポジウムを計画していたほか、海外から著名な学者を招く国際混合研究法学会との共同開催を予定、準備を進めていた。そうしたなか、15年4月30日に「嵐」の東日本大震災復興支援コンサート「ARASHI BLAST in Miyagi」が9月19日から23日まで「ひとめぼれスタジアム宮城」で開催することが決まったからだ。
日本質的心理学会の大会・準備委員長で、宮城教育大学の香曽我部琢准教授が「第12回全国大会」と「嵐」のコンサートの日程が被ることを知ったのは5月1日。その日、旅行会社から連絡があり、仙台市内のホテルが満室になってしまい、大会が行われる日は部屋が取れないだろうとの連絡が入った。2日後には、開催日の午前中の飛行機のチケットが予約で埋まっていた。もうどうすることもできず、大会の延期を決めた。
香曽我部準備委員長は15年5月8日に日本質的心理学会の公式ホームページで、開催日程を15年10月3日、4日に変更すると発表し、
「『嵐』のコンサートが宮城県仙台市で開催されることが5月1日に発表され、20万人以上の動員が見込まれるからです。現在、宿泊予約がまったくできない状態になっています」
と理由を報告した。開催日変更を発表するため関係各所との打ち合わせや連絡でこの数日間は地獄のような忙しさだったという。しかし、それだけでは終わらなかった。
国際混合研究法学会のシンポジウムは立命館大学に変更
共同開催するはずだった国際混合研究法学会は海外からのゲストが多いため、旅客機のチケットキャンセルができないなどの理由から日程は変えられなかった。共同開催は諦めることになり、国際混合研究法学会のシンポジウムは立命館大学での開催に変更された。共同開催の場合、参加者は500人と予想していたが、単独開催では350人ほどに縮小となる。また、仙台市から開催に当たって国際混合研究法学会に助成金が出ることになっていたが、それも失う事となった。香曽我部準備委員長はこの半年間やってきた大会会場の構成や、講師の日程調整、ホームページ作りなどの作業をやり直さなければならない、と無念さを隠さないが、
「嵐も復興支援のコンサートで来るわけですし、地元で楽しみにしている人も多いため、泣き事ばかり言っているわけにはいかないのかもしれません」
とも語った。
「嵐」が宮城県で単独コンサートをするのは2007年以来。震災後は初めてということで地元ではかなり盛り上がっているようだが、日本質的心理学会のように地元では「嵐ショック」などと呼ばれ、様々な影響が出ている。ホテルの中には予約が殺到したことによってシステム障害に見舞われ、大騒動になったところも。コンサート期間中には他の学会の大会も予定されているほか、プロ野球の楽天VSオリックスや、サッカーJ1のベガルタ仙台VS湘南ベルマーレといった試合もある。これからも「嵐ショック」は続きそうだ。