30日、“新生ライブドア”について語る平松社長(撮影:吉川忠行)

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── 読売新聞社の渡辺恒雄会長やソニーの出井伸之最高顧問など、マスコミや経済界の重鎮とも面識がある。今後は、経団連会員企業の社長として、大企業的な財界活動を活発化させるのか。

 渡辺氏や出井氏からは、大変ありがたい応援の声明を頂いた。ひとつ誤解のないように言えば、私は財界活動をやったことはない。私が知り合ったのは、渡辺「読売新聞ワシントン支局長」(当時)、ソニーの出井「課長」(同)。たまたま巡り合わせで、渡辺氏が読売会長となり、出井氏がソニーCEOになった。私がもっとも尊敬する(ソニー創始者の)盛田昭夫さんもそう。

 私自身が財界といわれるようなところに、今まで行ったことはない。ただ無視してはいけない。財界の人たちから一人前として扱ってもらえるようになる。今回勉強したのは大人になることだと思う。個人的にもヤフーの井上社長や楽天の三木谷社長、GMOの熊谷社長とは非常に親しくさせていただいているし、尊敬する起業家、ライバルでもある。

 バランスというのは非常に大切。これからもいろいろな立場、コミュニティの人たちとおつきあいさせて頂きたい。

── 「堀江氏を経営陣に戻すことはない」としているが、まだ容疑の段階で司法判断は出ていない。ライブドアと堀江氏との今後の関係はどうするか。

 世の中もそうだったと思うけれど、私は大変すばらしい経営者だと本当に思っていた。今でもこういうことが起きたことは信じられない。

 おっしゃるとおり、まだ司法の判断はこの段階では出ていない。それに社長就任も、正式には先週の火曜日(24日)の取締役会で指名されたが、その前に堀江に「万一のことがあったら頼む」とお願いされた。

 しかし、堀江に頼まれた、友情がある、とかいうのとは全く別問題の社会的な問題を起こした。それは紛れもない事実。これから堀江が罪を犯していない、という判定が出るかもしれないし、出て欲しいと個人的には思っているが、私は「株式会社ライブドア」というパブリックカンパニー、上場会社で、大変影響のある会社の最高責任者になった。そこで、NHKのテレビでも「どんな司法の判断が出ようと、私が社長でいる限り、堀江のライブドアへの復帰はない」とはっきり申し上げた。

 これは打ち合わせたことではなかったので、その翌日、代表取締役の熊谷に伝えたら、賛同をもらった。

── 約22万人とされている株主に対し、今後どう説明するか。

 まずしなくてはいけないことは、社会からの信頼を取り戻すこと。社会とは、マスコミとか世論ではなく、まず株主、顧客、パートナー、従業員とその家族。そして、その他の社会がある。今回のことは日本だけでなく、世界にも大変大きく報道されているし、株主の20%は日本以外の方々でもある。

 そのすべての人たちからの信頼を取り戻すことが第一。その手段として、捜査に協力して真相究明を果たす。

 第2には、これまで無視していたわけではないが、結果的にこういうことになったのはコンプライアンス(法令遵守)、コーポレートガバナンス(企業統治)の面で認識が甘かったから。それを徹底的に強化する。

 第3には、大変な傷を負ったとはいえ優秀な社員が残っている。社員は経営において最も大切な資源。それと、お客様から信頼されている商品である金融商品、ポータルサイト、モバイルを含めたネットワークのサービスをさらに強化して、成長の鈍化がないように今こそ全社員一丸となる。

 われわれが直面しているチャレンジとは大変大きなものだが、私は不可能ではないと信じている。

【了】

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