ライブドア事件 新社長に聞く(上)
証券取引法違反容疑で前社長の堀江貴文容疑者(33)ら幹部4人の逮捕者を出したライブドアが新経営体制をスタートさせて、まもなく一週間を迎える。事件への対応、事業戦略の立て直し、22万人とされる株主への説明責任、大株主のフジテレビジョンとの提携存続問題など、山積する課題に“新生ライブドア”はどう取り組むのか。東京都港区の同本社で30日、平松庚三新社長(60)に聞いた。(聞き手:常井健一記者)
── 堀江貴文前社長ら幹部4人の逮捕について、どう認識しているか。
逮捕されて、現在は聴取を受けている。第一に、まだ司直の判定は出ていない。あれは白か黒かコメントできる立場にはない。それに直接答えることはできない。
しかし、ひとつわかっているのは、法律にはいろんな解釈がある。見る人によって、白であったり、灰色、黒など、ひとつの法律でも解釈が違う。逮捕された幹部らも、自分たちの解釈では「法律違反はしていない」と思っていたが、そこに問題があったと思う。
自分たちで判断しないで、常に客観的なセカンド・オピニオンを求める。そのうえで、判断するように。真相はまだわからないけれども、今回のことでしっかり勉強しようと、今日の幹部会でも言った。
── 「ライブドア事件」が日本社会に与えた影響とは。
これがどういう犯罪だったか、有罪か無罪か、ということは司直の判断を待ちたい。しかし、結果として世の中に大変な混乱を巻き起こしたことは、紛れもない事実。
ライブドアはもはや新興のベンチャー集団ではない。何千人という社員がいて、22万人の株主がいる。それだけの上場企業が原因となって起こした責任があるというのは、紛れもない事実で、大変なことだと思う。
私が直接関係していなくとも、ライブドアの責任者として、社会を混乱させたことについては、深く謝りたい。2度と起こらないような体制をつくるのが、私の最初の仕事と認識している。
── 東京証券取引所は適切な情報開示を求めているが、社内調査の状況は。
現実は、ほとんどの書類が東京地検に押収されていて、われわれで調査する材料が全くない。まず地検の捜査に会社を挙げて協力することが、第一。その次に、真相究明を図るということが大事。
われわれで真相究明をするのではなく、地検特捜部に全面的に協力する。
── ライブドアの事業は「虚業」と言われているが。
「虚業」と呼ばれているのは、こういうことが起きてからのこと。残念なことだが、オールド・メディアがIT(情報技術)の重要さを認識していない。こういうことが起きるから「虚業」と言われる。
われわれにはファイナンス、メディア、ネットワークというコアになるビジネスがある。それらを引き続き強化していきたいと思う。
ただ今回本当に反省すべきことは、誤解を受けること。私は自分がタレントになって、マスメディアに露出を図って宣伝し、名前やブランドの認知率を高めていく戦略は取らないし、取れない。しっかりとしたコアになるビジネスがあるのだから、それをきちんとマーケットに伝えていくことが私の使命。
── フジテレビジョンの経営トップとの会談の感触はどうだったか。
フジテレビだけでなく株主というものは大変大切な投資家。それらの大きな株主のひとつとして、フジテレビがいる。株主と言うよりも、将来的に一緒にやっていく戦略的なパートナーでもあると思っている。
27日金曜日に日枝久会長、村上光一社長、飯島一暢総合調整局長の3人にお目にかかることができた。私どもは熊谷史人代表取締役、清水幸裕上級副社長と3人で行った。30分ほど話をさせていただいた。
まず今回の騒ぎ、大変異常な事態を起こした事実について、心からお詫びを申し上げた。次に、フジテレビを安定株主として見ているだけではなく、両社でいろいろな協業をやっていける戦略的パートナーとして見ていることを伝え、今後もお願いしますと申し上げた。
── フジテレビからの提案はあったか。
具体的な話はない。フジテレビにとっても今後ライブドアとどう付き合っていくのか、ライブドア株を資産としてどう扱っていくのか、大変大きな問題だと思う。私がお伺いして、30分、40分、頭を下げたところで決まるものではなく、もっと大きなもの。
ただ、今後はもっとコミュニケーションや連絡を密にしていこうという話があり、私も「当然その通りです。これからもそのように致します」とお受けした。(つづく)
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自分たちで判断しないで、常に客観的なセカンド・オピニオンを求める。そのうえで、判断するように。真相はまだわからないけれども、今回のことでしっかり勉強しようと、今日の幹部会でも言った。
── 「ライブドア事件」が日本社会に与えた影響とは。
これがどういう犯罪だったか、有罪か無罪か、ということは司直の判断を待ちたい。しかし、結果として世の中に大変な混乱を巻き起こしたことは、紛れもない事実。
ライブドアはもはや新興のベンチャー集団ではない。何千人という社員がいて、22万人の株主がいる。それだけの上場企業が原因となって起こした責任があるというのは、紛れもない事実で、大変なことだと思う。
私が直接関係していなくとも、ライブドアの責任者として、社会を混乱させたことについては、深く謝りたい。2度と起こらないような体制をつくるのが、私の最初の仕事と認識している。
── 東京証券取引所は適切な情報開示を求めているが、社内調査の状況は。
現実は、ほとんどの書類が東京地検に押収されていて、われわれで調査する材料が全くない。まず地検の捜査に会社を挙げて協力することが、第一。その次に、真相究明を図るということが大事。
われわれで真相究明をするのではなく、地検特捜部に全面的に協力する。
── ライブドアの事業は「虚業」と言われているが。
「虚業」と呼ばれているのは、こういうことが起きてからのこと。残念なことだが、オールド・メディアがIT(情報技術)の重要さを認識していない。こういうことが起きるから「虚業」と言われる。
われわれにはファイナンス、メディア、ネットワークというコアになるビジネスがある。それらを引き続き強化していきたいと思う。
ただ今回本当に反省すべきことは、誤解を受けること。私は自分がタレントになって、マスメディアに露出を図って宣伝し、名前やブランドの認知率を高めていく戦略は取らないし、取れない。しっかりとしたコアになるビジネスがあるのだから、それをきちんとマーケットに伝えていくことが私の使命。
── フジテレビジョンの経営トップとの会談の感触はどうだったか。
フジテレビだけでなく株主というものは大変大切な投資家。それらの大きな株主のひとつとして、フジテレビがいる。株主と言うよりも、将来的に一緒にやっていく戦略的なパートナーでもあると思っている。
27日金曜日に日枝久会長、村上光一社長、飯島一暢総合調整局長の3人にお目にかかることができた。私どもは熊谷史人代表取締役、清水幸裕上級副社長と3人で行った。30分ほど話をさせていただいた。
まず今回の騒ぎ、大変異常な事態を起こした事実について、心からお詫びを申し上げた。次に、フジテレビを安定株主として見ているだけではなく、両社でいろいろな協業をやっていける戦略的パートナーとして見ていることを伝え、今後もお願いしますと申し上げた。
── フジテレビからの提案はあったか。
具体的な話はない。フジテレビにとっても今後ライブドアとどう付き合っていくのか、ライブドア株を資産としてどう扱っていくのか、大変大きな問題だと思う。私がお伺いして、30分、40分、頭を下げたところで決まるものではなく、もっと大きなもの。
ただ、今後はもっとコミュニケーションや連絡を密にしていこうという話があり、私も「当然その通りです。これからもそのように致します」とお受けした。(つづく)
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