平均視聴率17・2%、最高視聴率39・2%と、日本テレビの「24時間テレビ」は今年も盤石。ではあるが、そこかしこに“トホホな事態”が転がっていた。「もはや日本の奇祭」と斬って捨てたのは、タレントの伊集院光。78年の第1回からチャリティを旗印に続いてはいるが、番組の規模が大きいだけに「ツッコミどころ」も満載だ。

 その最たる例は、番組の顔である24時間マラソン。今年はプロレスラーの佐々木健介(46)ファミリーがリレーで120キロを走り、アンカーが“鬼嫁”こと北斗晶(45)だった。

 そして異変が起きたのはゴール目前のこと。画面の左上に残りの距離が表示されているのだが、エンディングまで1時間を切っても4キロというハードルの高さ。しかも、膝を痛めた北斗はヨチヨチ歩きに近いスローペース。これではゴールに間に合わないかと思われてから、最後の力を振りしぼってペースを上げたが、

「ちょうど2キロを切ったやさき、残り表示が1・99キロから、ほんの3歩ほどで1・38キロに“ワープ”しちゃったんですよ。例年、何かと疑惑がささやかれる24時間マラソンですが、あんな形で距離が縮まろうとは(笑)」(構成作家)

 番組終了間際に「映像の不手際がありました」と謝罪していることから、単純に残りの距離の計測ミスということになるが、

「これまでも必ず時間内にゴールしているわけではなく、萩本欽一やイモトアヤコは番組終了後に駆け込んだ。それはそれで後番組も含めて視聴率はハネ上がるので、今回の北斗のように『無理かもしれない』と思わせることは、視聴者をつなぎ止めるには得策。しばらく表示ミスをそのままにして、頃合いを見て修正したとも取られかねませんよ」(放送作家)

 結果、北斗は家族に見守られて無事にゴールを決め、歴代5位となる高視聴率を獲得したのである。

 その感動の前に「3歩で600メートル」の珍事もかき消された形だが、違和感を残したのは深夜の「ウルトラ暴露クイズ」のコーナーだ。平成ノブシコブシ・吉村崇が、我が家・杉山裕之を「ガチで嫌い」と言い放ち、さらには「この人、九州に飛ばされる」と、本人すら知らない内部事情を暴露。バラエティの枠を越え、不穏な空気が漂った。

「プロレスと同じで、ああいう仕掛けも双方の信頼感が必要。例えば吉本興業の芸人同士ならうまい切り返しもあったでしょうが、事務所が別だと危険な空回りになってしまった」(放送作家)

 もう一つ、偶然か故意か、あるバラエティ色の強いコーナーでは、現在週刊誌などを中心に娘のイジメ問題が噂される某大物女優が特別出演。男性のレギュラー出演者は皆、デレデレになってしまった。ところがコーナーの終盤、話の弾みで男性出演者の一人が女優に向かってではないが「イジメはいけない」という意味のことを口走ったのだ。

「一瞬、我々もドキッとしましたが、当の彼女は平然としたもの。そのあと自分から笑いを取りにいったほどで、ハートの強さを再認識しました」(日テレ関係者)

 テレビ業界にとっては全てが「おいしい出来事」なのだろうが、作家の麻生千晶氏はこう鉄槌を下す。

「そもそもチャリティと呼んでいるのがおかしい。タレントは仕事欲しさに必死でやるだろうけど、本来、善意を施すのなら、もっとひっそりとやるべき。偽善もはなはだしい番組です」

 バラエティに特化するフジの「27時間テレビ」と、実は大差なかったりして。