2013年のWBCは、予選も含めれば28か国が参加する。前回は16か国だから、大きく増えている。WBCはMLBの世界戦略という一面がある。その観点で見れば、WBC参加国は、マーケットと言うことになる。

参加国の野球の現状と、市場を見て行こう。
大陸別に参加国を並べた。

WBC-ARMANAC




アメリカ大陸、カナダとアメリカは野球で見ると同じ市場になる。メキシコはメキシカンリーグという人気リーグがあるが、MLB傘下のAAAの扱い、ドミニカ、ベネズエラにはMLBのルーキーリーグがある。そうした国も含め、アメリカ大陸で、前回MLBに参加した国はMLBの傘下にあると言ってよい。
キューバはアメリカ大陸で唯一、MLBと無関係のトップリーグを持っている。
今回初参加のブラジル、コロンビア、ニカラグアはアメリカ大陸で残された未開拓の市場といえよう。サッカーの天下にどのように割り込むか。
アジア、参加する6か国はいずれもプロリーグがある。しかし、日本、韓国、台湾を除くリーグはまだぜい弱で、試合数も少ない。特に中国はMLBが力を入れているが、リーグ戦が突如打ち切られたりして不安定だ。
興味深いのは、日本、韓国、台湾のプロ野球選手の人口比がほぼ同じであること。人口10万人強に付き1人ということになる。
オセアニアはオーストラリアに加えてニュージーランドが参加するが実力は未知数だ。オーストラリアのトップリーグは、MLBの資本が入っており、ホームページもMLB、MiLBと同じ規格になっている。
ヨーロッパ。ここ十数年のうちにプロリーグは急速に整備されている(この表は不完全かもしれない。もう少しあるかもしれない)。イタリアリーグ、ボローニャに行ったGG佐藤のように、ヨーロッパ野球に身を投じる日本人も出てきている。GGは、解雇されたが、これから飛躍が期待されよう。試合数は少なく、サッカーとよく似た運営の仕方をしているようだが、このあたりも文化の違いが出て興味深い。なお、オランダ生まれのMLB選手の中には、アンドリュー・ジョーンズなどキュラソー出身の選手が含まれる。
かつてはヨーロッパでは野球先進国だったイギリスはプロリーグはなく、やや立ち遅れている感がある。
アフリカは南アフリカのみ。
WBCを実質的に運営するMLB、MLB選手会にとって、アジアが最大の市場であるのは間違いがないが、NPB、KBOが競合関係になるのか、提携先になるのかが不透明な部分がある。中国は魅力的だが、相手が本気で普及をする気があるのかどうか、という感じだ。
こうしてみると、アジアと並んでヨーロッパが非常に有望であることが分かる。人口はアジアの1/5だが、所得が高いうえに、プロスポーツを理解する土壌がある。MLBは、ややこしいアジアよりもヨーロッパを先に開拓しそうな気もする。

今回WBCに参加するすべての国の人口を併せると28億人。プロ野球選手は1.37万人ということになった。参加しない国にもプロリーグはあるし、プロ選手もいるが、ほぼこれが現時点のWBC世界戦略図だと言えそうだ。